選別品というよりは安定化か?
数%の性能アップ?
AMDがクロックを向上させたデスクトップ向けRyzen 3000XTシリーズを発表した。
販売されるのは「Ryzen9 3900XT」と「Ryzen7 3800XT」、「Ryzen5 3600XT」の3モデルで、発売日は7月7日になる。
価格は据え置きで、それぞれの「Xナンバー」と同じ価格になり、AMDは明言していないが、私の予想では従来の「Xナンバー」からの入れ替えになるのではないかと考えている。
基本的に3モデル全てで言えるのが、コア数やスレッド数、ベースクロック、キャッシュ容量、TDPはそれぞれの「Xナンバー」と同等で、異なるのがブーストクロックのみになる。
僅かだが100MHzだけ向上しており、冷却性能に合せてブーストされた際に、従来よりも高性能を叩き出す仕様と考えれば良い。
ただ、温度管理の仕組みに手が加えられているのかまでは未確認なので、ブーストされる時間が調整されているのかは不明である。
結果的にベースクロックのみの上昇なので、全体的な性能向上幅は数%レベルではないかと考えられる。
こうした背景から考えられるのは、製造レベルで歩留りが良くなった結果、選別品としてより高クロック動作が可能なコアが製造できるようになった、という事ではないかと思う。
何故このタイミングなのか?
今回のRyzen 3000XTシリーズが7月の今のタイミングで発表された理由は何なのだろうか?
というのは、AMDとしては2020年内にはZen3アーキテクチャの次世代製品を投入する、というスケジュールを以前から謳っていたからだ。
あと半年もすれば、次のアーキテクチャ製品が登場する予定なのに、この末期になってベースクロックが僅か100MHz向上した製品を投入する意味がどこまであるのか、という点について、それを疑問に思うのは私だけではないと思う。
一つ言える事は、つい最近Intelが第10世代コアとしてComet Lake製品を投入した、という事である。
AMDとしては、依然として第3世代Ryzenの優位性は揺るがないものと考えているとは思うが、Intelが新製品を出してきたので、テコ入れした、という可能性がある。
というか、私としてはおそらくこれが理由ではないかと思う。
Intelは14nmという製造プロセスなので、どうしても消費電力にハンデを背負うが、同時に動作クロックに関してはかなり高い設定で動作させられる状況にある。
なので、性能を出したいとなればどうせ引き上がる消費電力を犠牲にして高クロック動作させればよい話なので、AMDとしては少しでも高クロック動作できるコアを用意するという選択肢がもっともライバルに対して有効になる。
なので、歩留りなどの関係を見据えた結果で、今回のようなXTモデルを投入したのではないかと予想できる。
Zen3に関しては、一部ではライバル不在の状況からスケジュールを後ろ倒しにするのでは? なんて声もあるようだが、株価への影響などを考えれば後ろ倒しのするメリットが考えにくいので、トラブルがなければ予定通りではないかと思う。
なので今回のXTモデルはライバルへの多少なりの牽制、という感じに私は見ている。
これから自作する人向け
という事で、私の予測が正しければ、今回のXTモデルはあくまでもライバルであるIntelへの牽制という事で、これからRyzenを使って自作する人向けの製品ではないかと思う。
Zen2のRyzenは現時点でもその性能は健在で、Intel製CPUと互角以上の戦いができるレベルにある。
今回のXTモデルでさらにテコ入れする事で、選択肢としてRyzenを選ばない理由はないでしょ? とユーザーに訴えかけているのではないかと思う。
実際、単独アプリケーションの動作速度は、Intelコアの方がまだ若干速いケースはあるのだが、現在のオペレーションではほとんどが複数のアプリケーションを動作させる事が前提で、徐々に単一のアプリケーションもマルチコアに対応してきている事から、Intelの絶対優位は崩れてしまっていると私は考えている。
安定して複数のプログラムが多数動作する方が、結果的に運用環境を安定化させると思われるので、私的にはより多コアかつ高速メモリへの対応が進んでいる第3世代Ryzenの方が有利なのではないかと思う。
ま、このあたりは運用方法と考え方次第で、意見は分かれていくので、好きな方を選ぶのが良いと思う。
というわけで、今すぐAMD構成の自作PCを組みたい人は、より優位な選択肢が増えた、という事になる。
私の場合はZen3が登場するのを待つ事になるだろうと思っているが、ノートPCの需要もある事から、予算的にどうなるかは未定である。