第10世代コアを搭載したMacBook Proがようやく本領発揮?
Final Cut Pro X問題
2020年5月4日に発売された13インチMacBook Pro 2020モデルにおいて、Final Cut Pro Xが使用開始10分ころで、カーソルがレインボーマークになってそのままフリーズしてしまうという問題が発生した事が一気に情報として広がり、その後、同じ第10世代コアを搭載したMacBook Air 2020年モデルでも同様の問題が発生する事が確認された。
この問題がいろいろと波及し、同じ動画編集ソフトのAdobe Premiereでも発生する事が確認された段階で、結構な人が本製品の購入を見合わせたり、返品したり、或いは買替えるといった動きを見せたのだが、一昨日、この問題に一つの光明が見えた。
それが「FileVault OFF」という方法で、Mac独自のデータストレージ暗号化機能を解除する事で、その問題が回避できる、という対処法だった。
どうも、この「FileVault」という機能が第10世代コアの機能とぶつかった形で、ストレージアクセスの際にトラブルを起こしていたのが原因なのではないか? と考えられる。
この情報が出た途端に、問題が解決した、という話が広がるのだが、そのタイミングにちょっと遅れて、MacOS Catharinaのバージョンアップ「macOS 10.15.6」が発表され、それを適用した事で本問題が解決した、という情報が広がった。
おそらく、この新しいアップデートで暗号化部分を見直したのではないかと予想されるが、今までMacBook Pro 13インチ2020年版を買い控えていた人は、ようやくこれで安心して購入できるようになる。
ストレージ暗号化
今回の問題に関して、まだその詳細がハッキリしたわけではないのだが、ストレージを暗号化してセキュリティを高めるというのは、ここ最近のOSに搭載されているスタンダードな機能ではあるが、これが原因でトラブルを起こすという問題はMacに限らずよく聞く話である。
Windowsでも、この機能と同じようなものとして「BitLocker」というドライブ暗号化技術があり、ソフトウェアのアップデートなどでたびたび問題を引き起こす。
時にディスクアクセスに問題を起こすこともあれば、アプリケーションのインストールに問題を引き起こしたりする事があり、セキュリティを高めたが故に利便性を失ってその必要性に疑問を投げかけられるのが、こうしたストレージ暗号化技術である。
私も今問題を起こしているVAIO Duo13で「BitLocker」を設定していた時があるが、これを設定していたが故に、VAIO Updateが完了せずに途中で止まるという問題に幾度とも出会ってきた。
セキャリティ技術ではあるので、必要から生まれた技術とは思うが、今のままだとWindows Vistaと同じような末路を辿りそうな機能に見えて、実に気の毒である。
思い残す事無く
さて、今回のアッブデートで、レインボーカーソル問題が完全解決という事であれば、これでいよいよx86アーキテクチャの最後のMacBook Pro 13インチを安心して購入できるというものである。
何より、Windowsを仮想化して使用出来る最後のMacBookになるかもしれないワケで、その意味もより高くなるというものである。
ARMアーキテクチャのApple SiliconはIntelコアよりも高性能という話もあるが、Windowsを動作させるとなると話は別である。
Parallelsを使うにしても、VMwareを使うにしても、或いはBoot Campを使うにしても、x86コアで直接Windowsを動作させる方が動作は軽いわけで、MacOSとWindowsを両方コントロールしたい人には、今一番有力な選択肢となる事は間違いない。
ARMライセンス
Apple Silicon搭載機は、噂では年末に出るかもしれないが、その他の噂でいけば来年春~夏にかけてMacBook Pro版が登場する、とされている。
そのスペックは現行機種よりも上、とされている噂がほとんどだが、ARMアーキテクチャそのものにもいろいろ暗雲が立ちこめてきたような噂もある。
それが、一部の企業へのARMライセンス料の値上げという問題である。最大4倍にする、という噂もあり、もしこれがAppleにも適用されればAppleはCPU単価が一気に引き上げられる事になる。
以前は、Apple Siliconにする事で製品単価が下がるかも知れない、という予測をいろいろな媒体が予測していたが、もしこの値上げ問題がAppleに波及したとするならば、AppleはARMアーキテクチャ採用によっても製品単価を下げる事ができない事になる。
Appleほどの生産量ならば、ARMもおいそれと値上げを宣告できないとも思うが、今までと同額でいられるかというと、そこはまた別の問題である。
いろいろな情報が錯綜しているが、とりあえずIntelコア搭載のMacBook Pro 13インチが欲しい人は、今まさに買い時かもしれない。