どう考えてもPS5デジタルエディションへの対抗製品。価格は二の次、普及第一戦略の行き着いた先の結果だと思う。
発売前に価格改定
Microsoftが次世代ゲーム機である「Xbox Series S」の価格を32,980円から29,980円へと価格改定した。
発売前にも拘わらず、価格改定に踏み切った理由は、おそらくPlayStation5デジタルエディションを意識したものと思われるが、もともと米国では299ドルでの発売だった事を考えると、上位モデルと同じく1ドル100円レートでの販売に踏み切った、という流れである。
これで「Xbox Series S」は、ほぼNintendo Switchと同額になったわけで、次世代ゲーム機としてはハードルがまた一つ下がったと言えるが、ここ最近のMicrosoftの日本市場への力の入れ具合は今までとは全く異なるものである。
遊び放題サービス Xbox Game Pass を国内投入し、日本も米国と同時発売したりと、日本市場を今まで顧みなかった状態とは真逆を進んでいる。
米国市場は昔から価格最優先で見ているユーザーが多く、次世代機でも安いとなると、スペックを重視しない層を多数取り込めるチャンスがある。
つまり、こういう事である。
「PS5もXboxも高いヤツと安いヤツがあって、安いヤツは両方ともディスクレスになっている。でも安いヤツで比べるとPS5は399ドルだがXboxは299ドルだ」
このような考えで解釈すると、ならXbox Series Sを購入しようか、となるわけである。
そうした流れを日本の中に求めたのかどうかは定かではないが、日本国内にもそうしたスペックというよりは価格で次世代機を見ている層がいるだろう、という観点から、PS5デジタルエディションと明確な差を付けるために価格改定した可能性がある。
本当の狙い?
あと、私がXbox Series Sを見て思ったのは、言うほど4Kという解像度を必要としている層がいるのか? という事である。
未だにフルHDで十分と、テレビそのものを4Kにアップデートしていない家も多いハズで、そういう人にしてみれば4Kの能力は不要だったりする。
ならフルHD、もしくはWQHDレベルの解像度を処理できるぐらいの性能で廉価版があれば、そちらの方がマッチングする、という人は結構な数になるのではないかと思う。
Xbox Series Sは、まさしくそうした層を狙ったモデルで、Microsoftはそもそも性能で勝負を仕掛けていないような気がしてならない。
そしてMicrosoftの本当の狙いは、PlayStation Plusのような有料会員の獲得にあるのではないかと私は思っている。
たとえば、PS5に関して言えば、PlayStation Plusに加入する条件としては通常版であろうとデジタルエディションであろうと無関係である。いや、もっといえばPS4でも良いのである。
Microsoftからすれば、遊び放題サービス Xbox Game Passに加入してくれるユーザーが増えれば、継続して売り上げられる事になるので、ハードウェアで一定の逆ざや状況になっても回収できると踏んでいるのかもしれない。
ハードの普及によりサービス加入者の増加を狙う、という路線ではないかと私は見ている。
天王山は未だ見えず
正直、PS5が市場を獲るのか、Xboxが市場を獲るのかは全くわからない。
というか、私からするとどちらも倒れて欲しくはないのだが、最終的には決定的な差をつけての勝敗にはならないと見ている。
日本国内で言えばPS5が優勢かもしれないが、米国は再びXboxの方がシェア率は高くなるような気がしている。
そして全世界でみれば両者拮抗という事になるのではないかと思うのだが、それは各々のハードとソフト、サービスの充実度の結果ではないかと思う。
もし、SIEが市場をもっと獲りたいと考えるなら、それはPS5でPS1~PS3までのタイトルのエミュレーションが可能になった時ではないかと思う。
おそらくそれで市場はひっくりかえる。過去資産を活かせるという事は、それだけの魅力だという事である。
だが、現時点でSIEはPS1~PS3の互換性は否定している。なので、最終的には市場によって差はあるものの、拮抗する結果になるのではないかと予想している。
というわけで、発売までまだ1ヶ月以上もあるのだが、価格改定された事でバランスがまた崩れそうである。
最終的にどうなるのかは誰にもわからない。今はただ、その結果を静かに末だけである。
そもそも抽選に当たるとは思えない状況だが(爆)