いよいよx68エミュレーション動作に対応したとなると、Apple SiliconでWindowsを動作させられる?
Windows on ARM
Microsoftは、現時点でSQ1というSoCを搭載したSurface Pro Xという製品を発売している。
これにはARM用Windowsが搭載されており、32bitアプリケーションはエミュレーション動作するものの、64bitアプリケーションについてはネイティブアプリケーションしか動作為ないという問題があった。
この問題を解決すべく、Microsoftも開発を進めていたようで、9月30日(現地時間)、つまり日本では10月1日のまさしく今日、ARM用Windows10で、x64アプリのエミュレーション動作について11月よりInsider Program向けに公開することを発表した。
これによって、今後ARMアーキテクチャ環境のWindowsでも問題なく通常のWindowsプログラムが動作する事ができるようになると、いよいよx86コアでなくてもWindowsが普通に動く時代がやってくると考えられる。
しかも今回、MicrosoftはSQ2という上位のSoCを発表し、Surface Pro Xの最上位機種を発表した。Microsoft自身もARMへ注力していく方向性は間違いないものと思われる。
Apple Silicon
ご存じの通り、AppleもMacに対してApple Siliconに切り替える方向で進めている。
Apple SiliconはiPhoneなどにも使われているAシリーズのSoCなので、そのアーキテクチャはARMである。
細かい仕様の違いはあるものの、ARMである以上、このWindows on ARMが今より動くとすると、Apple Silicon搭載のMacでも、Boot Campのような使い方や、仮想化ソフトでWindows on ARMを動作させる事はできるかもしれない。
問題はそうした開発にどれだけ注力するか、というところだが、仮想化ソフトメーカーとしては柱になるビジネスでもあるので、おそらく何とかしてApple Silicon MacでWindowsを動かしたいと考えるのではないかと予想する。
ただ、AppleとしてはiPad OSやiOSとの親和性に注力している側面が強いので、Apple製Boot Campの可能性は低いかも知れない。
現在Intelコアを搭載したMacBook Proを使っている私からすると、しばらくはMacとWindowsとの共存は現状で問題がないものの、今後の事を考えるとこの動きはしばらく注視したいところである。
SQ2
前述したMicrosoftのSQ2だが、詳細情報がわからない。
具体的なスペック情報が公開されていないようで、詳しい性能が予想できない。
Qualcommが「Snapdragon 8cx」を発表しているが、9月にこれの第2世代モデルが追加された。ところが、こいつは5Gモデムがセットになった製品なので、今回発表されたSurface Pro Xの上位版に搭載されたSQ2とは考えにくい。何故なら上位版はまだ4G LTE対応止まりだからだ。
であるので、それに使われるSQ2がQualcommの第2世代モデルではないだろうと予想できる。となると、SQ1の性能向上版に留まる可能性が高い。
なのでSQ1を搭載した以前のSurface Pro Xを購入した人は、今度の新型の型落ちになるという意識は持たなくてもよさそうである。
今回発売された上位版は高クロック動作版ぐらいに考えておけばよいだろう。
という事で、いよいよARM版Windowsも稼働するソフトが大量に増えてくると考えられる。
これによって、あらゆる選択肢が選べるようになると、何が最適解かを見出すのが難しくなる反面、自由な構成で環境を構築できるようになる、とも考えられる。
広がる未来が明るいものである事を祈りたい。