秋葉原では売り切れの文字が目立つようになったとか…。
世界的供給不足
半導体が足りない。
それも致命的なまでに足りない。
今までこのような事は経験した事がないのではないかという程、半導体が足りない。
それは何もPCに限った話ではない。
自動車産業までもが、半導体不足で生産を減らしているという話が出るほど足りていない。
最先端プロセスで製造されているものに限らないレベルで足りていないという事そのものが、既に異常事態ではないかと思う。
この半導体供給不足によって、一部では値上がりの話が進行していて、PCパーツで言えば中古品買い取りの強化まで行われる始末である。
ビデオカードに関して言えば、実は既に1月末ぐらいから値上がりが深刻化していて、モノによっては5万円近く値上がりしているモデルもあるという。
例えば、価格として7万円くらいのミドルハイクラスのビデオカードが12万円という、ハイエンドクラスの価格で売られているワケである。
これを異常事態と言わずして何と言おうか?
(あくまでも極端な例なので正確ではないが…)
不足している理由は?
この半導体不足となっている理由とは一体何なのだろうか?
一つはコロナ禍の影響でテレワークが増え、急激なPC需要が生まれ、そこでPCに使用する半導体が不足し始めたのが理由。これにより、生産ラインの取り合いが始まったワケである。
そしてもう一つは米国の一部中国企業への制裁があり、調達先として台湾に集中した、というもの。これにより、台湾TSMCに注文か殺到し生産ラインの取り合いが始まった。これは主に自動車産業で起きた事だ。
さらに、最先端製造プロセスの需要の増加も原因と言える。5Gという通信インフラに対する需要と、最新ゲーム機に必要となる半導体が、共に最先端製造プロセスで作られる半導体に限られている事も理由になる。これも裏返せばコロナ禍の影響で需要が増大しているとも言える。
また、中国での自動車産業の回復が早まった事も理由に数えられるかも知れない。
当初、コロナ禍で自動車生産が落ち込むと予想された際、生産を減産したのだが、思ったよりも早い段階で自動車生産が立ち上がり、増産が必要となったのだが、その時には既に他に半導体ラインが喰われていた事もあって、全体的にそれらを取り返す事が難しくなつてしまっている。
結局は一部のメーカーに生産が一極集中してしまっているというのが一番大きな理由なのかもしれないが、それ自体が情報的に信用がおけるところでないと生産できないという、米国と中国との対立に起因しているので、この問題の根底には国家間の信用問題が大きく影響しているという事なのかもしれない。
2021年に回復?
これらの問題がいくつかからみ合って、結局全体的に半導体不足に陥っているのが今の状況だが、ではこれらがいつ回復するのか? という事に関しては、ほとんどの場合で2021年前半までは不足が続く、と業界は予想しているようである。
では後半は大丈夫なのか?
私は、おそらく後半になってもそうそう不足状況は回復しないように思っている。
いや、今よりはマシかもしれないが、それでも安定供給にまでは程遠いように思える。
理由は、結局生産量そのものが増加しないと不足が解消されないからである。
特に最先端製造プロセスが必要な分野は、そもそも生産できる工場が限定されるので、潤沢に製品が出回るまでに時間がかかるという事そのものに変化がないと考えられる。
また、コロナ禍の影響で生産がドン詰まると、開発速度との速度乖離が発生し、製造品が普及する前に次の開発品が出来上がってしまう。これでは製品スキップが起きる可能性もあり、開発メーカーの体力を奪う事になりかねない。
正直、ここまで半導体不足になる事は、ほとんどのケースで想定外だったのではないかと思う。
生活スタイルが変わったことで特需的に必要になった側面もある。
この半導体不足は、世界が大きく変わろうとしている最初の変化点なのかもしれない。となれば、この変化にまず付いていく必要がある。
難しい時代になったものである。