新しいわけではないが、手軽に実現できてしまうところが新しい。
最高速度140km/h
DJIが新しいドローン「DJI FPV」を発売した。
時速140km/hでの高速飛行に対応し、一人称視点を可能にする「DJI FPVゴーグルV2」に対応する新型で、価格はゴーグル等を含めたコンボ製品で154,000円(税込)となる。
時速140km/hで飛ばすには、本機をマニュアル操作モードにする必要があるが、それだけが本機の魅力ではない。
飛行モードはN、S、Mの3モードあり、Nモードは初心者向けで障害物検知などの飛行制御が組み込まれている。速度も制限されておりNモードでは最高54km/hまでとなっている。
Sモードは、従来の飛行制御にマニュアル操作の自由度が加わったモードで、ダイナミックな操作も可能となっているが、ある程度の姿勢制御や飛行補助が組み込まれている。最高速度も制限があり、最高97km/hとなっている。
Mモードが前述した最高速度140km/hを可能にするモードで、フルマニュアルでの操作であり、100km/hには約2秒で到達するという。またフルマニュアルなので、飛行補助は一切入らない為、障害物にもぶつかるし、機体制御も自動化されていないため、場合によっては機体が背面にまでひっくり返る場合もある。
但し、Mモードでも緊急的に安全飛行を必要とする場合を想定して「緊急ブレーキ&ホバリング機能」が全てのモードに搭載されている。送信機の所定のボタンを押すとこのモードが起動し、数秒以内に機体制御を開始、その場でホバリングを開始する。
全体的にかなりアグレッシブに動く機体に仕上がっているわけだが、そのボディ形状も従来のものと異なっている。
航空力学に基づいた設計となっていて、ジンバルカメラやランディングギア、トップシェルなどにモジュラー設計を採用、組立まで簡単にしメンテナンス性も向上しているという。
一人称視点のドローン
そして前述したように、この「DJI FPV」はゴーグルによる一人称視点での操作に対応している。
「DJI FPVゴーグルV2」を利用する事で、カメラ映像をゴーグルで見ながら操作できる。
コントローラーも従来のものと異なり、パッド状の送信機の他にグリップ型のモーションコントローラーも用意(別売)されており、手の動きで直感操作が可能になっている。
ただ、この一人称視点での操作に関しては、国内において航空法に問題が若干ある。
国内では屋外でゴーグルを使用したFPV(First Person View)飛行をおこなう場合は、航空法の定める「承認が必要となる飛行の方法」中の「目視外飛行」に該当することになり、航空局長の承認および国土交通省への承認申請をする必要がある。
ドローンはドローン法も含めて対応すべき法規制がいろいろとあるので、今回の「DJI FPV」はより飛行させる為のハードルは高いものと思った方がよいだろう。
未来のドローン
今回、FPV(First Person View)飛行が簡単に行えるドローンが登場した事で、従来よりもFPV(First Person View)飛行が身近になった事は言う迄も無い。
だが、今のままでは法規制によっていろいろな制限を受け、自由に飛ばせるという事にはなかなかならないだろう。
かつて自転車や自動車がそうだったように、多数の人がいろいろ使うようになり、安全装置がいろいろと考案され、それらが搭載される事で、未来にはもっと手軽にドローンが飛ばせる時代がやってくるかも知れない。
そうした時、FPV(First Person View)飛行は人々にどんな体験をもたらしてくれるのだろうか?
おそらく、それこそ自分が行けない場所を疑似体験できる特別なツールになっているのではないかと思う。
ドローンは、空撮の世界を変えたのは事実だが、それは今までの話。
今後はもっと違う分野で人々に未来体験を与えてくれるものになるのではないかと思う。
DJI FPV
https://www.dji.com/jp/dji-fpv