初期投資だけで永遠に使い続けられるクラウドストレージ。
Cubbit
GREEN FUNDINGで、面白いクラウドストレージのクラウドファンディングを実施している。
なんと、初期投資だけでその後は永遠に利用する事ができるというクラウドストレージである。
通常、クラウドストレージを利用するとなると、無料で利用できるとしても、それらの容量には限りが有り、しかも運営企業の都合によってデータを損失する可能性もある。
さらに言えば、運営企業の業績によっては、ストレージ容量の削減が求められたり、或いはある日突然サービスを停止、なんて事もありうる。
大凡の人は、OneDrive、Google Drive、Dropbox、iCloudあたりが、利用しているサービスとして該当するだろうが、これらのサービスが永遠に無料で利用できるなんていう事は幻想に過ぎないという事である。
これらのサービスが無料で利用できるのは、運営している会社の何かしらのサービスと紐付いているから利用できるのであり、元のサービスと無縁になれば、当然だがクラウドサービスも利用できなくなる(Dropboxはそうでもないが)。
そこで、登場するのが「Cubbit」(カビット)と呼ばれる次世代分散型クラウドストレージである。
これは、グローバルなピアツーピアのネットワークで、ネットワークにアップロードされるデータは24個に分解、24カ所に保存するだけでなく、加えてそのコピーを12カ所に保存する。つまり世界中のCubbitデバイスの計36カ所上に保存される仕組みで、これによって高度な安全性を確保する技術である。
データの読み出しを行う時は、機器のAIコーディネーターが分散データを集め、暗号化されたデータを復元する。しかし、この復元する際の「鍵」はAIコーディネーターが持っているわけではなく、あくまでも自分だけが持っているという手法を採っている為、外部からの不正アクセスがあっても、鍵までは盗まれる事はない。
ちなみにAIコーディネーターは暗号化されたデータの保存場所情報だけを持っているため、万が一こちら側が不正アクセスで情報を盗まれたとしても、今度は「鍵」がないため復号化する事ができない。
この暗号化にしても、金融機構、政府レベルのAES-256によって暗号化されているため、そもそも復号も難しいという話である。
バックアップも自動的
前述したように、24個のCubbitにデータが分散保存され、さらにそこから12個のCubbitにそのコピーが保存されるので、自身のCubbitデバイスが故障などしても、データはネットワーク上から復元ができる。
同じように、自分のデータが保存されている他の人が持つCubbitが故障したとしても、世界中の36個のCubbitが同時に壊れない限りはデータが確保できるので、まずもってデータ消失という事は起こらないと言える。
このデータの保存先は常に変更される為、データ紛失のリスクは今の所ゼロと言っても過言ではない、という。
初期投資ではCubbit端末の購入が必要ではあるが、その端末を購入し、常時起動させておくだけで、永遠に喰らうとストレージが運用できる…その秘密は、この分散したデータストレージ群にあると言える。
Cubbit端末の仕組み
Cubbit端末は、単純に言えばARMベースのNASのようなものと言える。
ただ、そこに接続されているストレージ容量の1/4を自分が使える分として確保し、1/4をデータのコピーや知人や家族など限られたグループにシェアできるプライベートクラウドとして使用できる。そして残りの1/2を他のユーザーの分散保存領域として使用するわけである。
言葉にすると難しいが、仮に1TBのCubbit端末を購入したとすると、自分の利用容量1TB、コピー&グループシェア容量1TB、分散保存容量2TBと、実際には4TBのストレージをもったNASがCubbit端末という事ができる。
4TBの内、自由に使えるのは1TBだけかよ、と思うかもしれないが、実際にはグループシェアで1TB使えるので、2TBが自分で使える領域という使い方もできる。ただ、半分の2TBをサービス運営に提供する事で、高度なセキュアとバックアップサービスを受ける、と考えると良いかもしれない。
また、このCubbit端末に外付けHDDなどを接続し、最大ユーザー領域を4TBに拡張する事も可能だという。さらにその上の容量上限の開放も視野に入れているというがそれはまだ計画の段階である。
但し、この追加で拡張した容量の50%は、シェア領域として使用する事になるので、現状で拡張する場合は6TBのHDDを外付けで追加すると、ユーザー領域を4TBにする事ができる。おそらくイメージとしてそんな感じになるはずだ。
事業継続性は?
ユーザーの半分の容量がサービス運営に利用される事で、初期投資費用だけでクラウドストレージを永遠に利用できる、というのがCubbitのサービスになるが、当然これだけだとCubbitを運営する企業は初期投資費用の売上げだけで会社運営することになる。
だが、当然だがそれでは事業継続は難しい。
そこでCubbitは、この分散しているストレージ容量をB2B向けに開放・販売する予定としている。この話を真っ当に考えると、全容量が足りなくなる可能性も考えられるのだが、そこは機器を増やしたり、特定の機器の容量のみをさらに大きくする事で、対応する事もできる。
おそらく、そうした一般家庭での対応以外の機器も用意していると考えられるが、こうしたB2Bへの展開を行う事で、事業として成立する事を考えているようである。
なお、万が一事業継続ができなくなっても、AIコーディネーターのコードをオープンソースで公開し、誰でもホスティングしてCubbitを使い続けられるようにする事を考えているようである。
現在のビジネスプランで、まずもって事業継続不可という事はない、と考えているようだが、そのアテが外れたとしてもデータの消失を防ぐシナリオは用意されている、というのは、安心できるポイントと言えよう。
一部データ領域をシェアする必要があるという事、そして機器を常時稼働させ続ける必要があるという事。これらの事を許容できるなら、Cubbitという仕組みは、実に面白く、有用なサービスではないかと思うが如何だろうか?
興味のある人は、GREEN FUNDINGの該当ページから手続きしてみてはどうだろう?
GREEN FUNDING Cubbit
https://greenfunding.jp/kibidango/projects/3915