AMDの次期GPUがテープアウト(設計終了)となったようだ。
Navi 31
AMDの次期GPUであるNavi 31(RDNA3)がテープアウト、つまり設計終了段階になったらしい。これにより、今後は不具合の修正や見直し等の様々なトライ&エラーが行われる段階に入ると予想される。
Navi 31は、MCM(マルチチップモジュール)設計になると噂されているもので、MCM設計は本来ならGPGPUを意識したモデル、つまりAMDならCDNAアーキテクチャをベースにしたGPUで採用されるべき設計なのだが、AMDはGraphics向けの製品でも最上位はMCM設計を採用する可能性があるらしい。
もう少し詳細に噂を検分すると、80個のCompute Unitsをそれぞれ搭載したデュアルチップレット設計、という事らしい。
単純にNavi 21の2倍の160個のCompute Unitsを提供できる、という意味である。
このユニット数となった背景には、より高いレイトレーシングアクセラレーションを可能にするためらしい。ただ、NVIDIAのTensorコアのような計算を主としたコアを実装してより高いレイトレーシングアクセラレーションを可能にする、という事なのか、それとも増加させたCompute Unitsによってそれらを可能にするのかはわからない。
ただ、AMDがMCMベースのGPU間でワークロードを同期させる技術と、レイトレーシングパイプラインをオーケストレーションする新しいコマンドプロセッサを開発しているらしい事は見えているという。
Patent: GPU cache management based on locality type detection – AMD
Cache management for MCM GPUs
More details: https://t.co/jt5hHBFWGU pic.twitter.com/WiFWDtFv9R
— Underfox (@Underfox3) January 22, 2021
実際の登場は2022年第4四半期?
テープアウトされた事は間違いないようだが、ではすぐに製品化するかというとそうではない。
今からトライ&エラーが繰り返され、製品としてブラッシュアップされていくわけだが、現時点では5nmプロセスのグラフィックスコアダイと、6nmプロセスのマルチキャッシュダイの混合ダイ(つまりマルチチップモジュール)を採用する可能性がある。
これによって、1つのダイに256基のStreamProcessorからなるWGPを30基搭載となり、これを2ダイとして合計15,360spを実現する、と目されている。
MCM設計にしたり、混合ダイにしたりしているのは、おそらく歩留りの関係もあるかもしれないし、単純に1つのダイサイズを大きくしすぎるリスクを避けているだけなのかもしれない。
AMDは、NVIDIAよりも製造に関してはリスクを取らない傾向があるので、おそらくは歩留りの事を考えて、モジュール化したGPUにしてくるだろうと予測できる。
イマドキのGPUはいろいろな側面から複雑化していて、中々にして難しい問題をいろいろと抱えているようだが、それをより簡単に、かつ無難に収めるというやり方は、いかにもAMDらしいやり方ではなかろうか。
価格設定は戻るのか?
正直、次期GPUの内容も気になる所だが、私はそれ以上に価格設定が元に戻るのか? というところが気になって仕方が無い。
以前から当Blogでも書いているように、GPUの単価は確実に上がっていて、価格ラインそのものが異常なまでに上昇している。
以前は一部のGPUがようやく10万円を超えるか? という程度のものだったものが、気がつけばハイエンド、ミドルハイと呼ばれるランクのビデオカードは、軒並み15万円程度にまで価格が上昇した。
異端とされたRadeon VIIですら、10万円の大台には乗らなかったのである。
それが、今や最上位は30万円にまで行くかというレベル。これを異常と言わずして何というのか?
いや、実際問題、希少価値があるからこそ、価格が上昇しているのだろうが、ここまで上昇するともはや金持ちの贅沢品、という状況である。
自作PCって…もう金持ちだけの娯楽になってしまったのか?
そうは思いたくないのだが、マイノリティであれば部品単価も上がるので、もう自作PCは高級志向の趣味になりつつあるのかもしれない。
貧乏任は「PC Building Simulator」で遊んでろって事なのだろうか?
無念…。