AMDしか見ていなかった私が今のIntelを考える。
思ったよりもイイ感じ
IntelがAlder Lakeを発表、発売した事で、巷でいろいろなレビューが行われ、その情報が各所に出回りはじめた。
それらを見ると、最高性能ではAMDのZen3を超えた、という最高性能の奪還は間違いなく達成したものの、その犠牲として大きな消費電力は避けられなかった、という評価がほとんどである。
実際、消費電力はとんでもないほど大きなものではあるが、その電力を消費する事で、Intelは最高性能で勝てるCPUを投入してきた事は間違いなく、各種ゲームでのベンチマークはほぼAlder Lakeの最高峰、Core i9-12900Kがトップという結果である。
ただ、この動画を見たところ、その大きな消費電力と言われるCore i9-12900Kの通常の消費電力が実はRyzen9 5950Xよりも下回っている、という事実を知り、私の次期メインPCのコアはAMD一択という考えを捨ててもよいかも知れない、と思い始めた。
というのも、ゲームのようなコアの負荷が均一ではない状況だと、Alder LakeのPコアとEコアという状況によって使い分けられるコアが上手く動作してRyzenよりもワットパフォーマンスが向上する事がわかったのである。
であるなら、実際には消費電力という面で見ればIntelはそこまで悪い状況ではないワケであり、しかもAlder LakeはDDR5のメモリにも対応したチップセットで動作するという事、PCIe5.0が使える事などを考えると、より未来性のあるプラットフォームではないか、という風に見えてくるのである。
ま、これはIntelとAMDのプラットフォームの登場する時期に違いが出た事も一つの要因なので、あくまでも現時点での話という事にはなるが、AMDといえども、今のIntelと同等の性能を達成しようとすればその消費電力はとても高いものになる、という事が明確になっただけでも、考え方を改める意味では良い情報だったのではないかと思う。
Windows11限定
ただ、このAlder Lakeの良さが前面に出てくるのは、あくまでもWindows11での動作下限定だという事。
これはWindows11というOSがPコアとEコアにタスクを割り振るスケジューラに、Alder Lakeのコアに内蔵された「Intel Thread Director」とよばれるユニットがタスク割り当ての指令を与える事で、より効率の良い動作が実施される為であり、Windows10環境だとこれが使えないが為に性能が伸び悩む、という側面があるので、注意が必要のようである。
ただ、今後Windows11への移行は必ず行われる事になるので、Alder Lakeがタスク割り当てで性能を落とすという事は今後は考えなくても良い話だろうと思う。
メインPCを入れ替えるという事は、ある程度の期間使われるPCの環境を構築する、という事なので、今回のように次のOSが視野に入っている場合は、そちらを考慮する必要がある。
単純にプラットフォームの入れ替えというだけでなく、全体の方向性を左右するものなので、Alder Lakeのような次のOSで真価を発揮するようなものがある場合は、そこを検討しておく必要がある。
AMDも…Zen4にこういった仕掛けが入ってくるのだろうか?
Zen4は噂では2022年第4四半期に投入される、という事で、しかも最大コア数は16に留まるとされている。Alder LakeのようなPコア、Eコアといった用途の異なるコアの混載になるかどうかはまだわからないが、最大コア数が16という事であれば、Alder Lakeのような混載コアとは違うかも知れない。
マルチスレッド
Alder Lakeの挙動を見ていてハッキリわかったのは、マルチコアを搭載したCPUにおいて、マルチスレッド動作は処理するプロセスのスケジュールで処理効率が変わる、という事である。
Alder Lakeのように、PコアとEコアといった得意分野が異なるコアを搭載した場合、スケジュールされるタスクが、ちゃんと得意とするコアに割り当てられた時、そのワットパフォーマンスが大きく変わるワケで、それはPC全体の電力効率に大きく響いてくる、という事でもある。
Ryzenは今の所全て同じ性能を持つコアが、処理の軽いタスクも処理の思いタスクも同じ性能を持つコアで処理している関係から、電力効率はどうしても悪くなってしまう。タスクが処理されるタイミングを一切無視してよい状況ならそれでも良いが、全てのプログラムはタイミングというものが必要なので、ハイパフォーマンスコアで負荷の軽いプログラムを処理するのは効率が悪い。
Alder Lakeはそうしたタスクの重い、軽いを上手くコントロールする事で、よりワットハプフォーマンスを向上する道を切り開いた。いや、ARM系コアでやっている事をx86系に持ってきただけの事なのだろうが、製造プロセスに遅れを持つIntelの起死回生の一手にはなったようである。
もし、このような負荷の重さによって処理するコアを切替えるという事をAMDがやったとしたら、Intelは再び苦境に立たされるかも知れないが。
というわけで、ハイエンドクラスの話でいけば、Alder Lakeは決して悪い選択肢ではなく、消費電力的にもAMDのハイエンドとあまり変わらない、と言えそうである。
今、PCを自作しようという人であれば、Alder Lakeは十分検討に値するプラットフォームなのではないかと思う。
但し、2~3年後はわからない。今は、その2~3年後先のことすら、見通しが無が香椎時代だという事である。
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