正直、最近必要性そのものをあまり感じていなかった。
記録メディアはかくも変わる
データを持ち運ぶという必要性があった時、使用する媒体を何にするかという事は、その時代によっていろいろと移り変わってきた。
古くはフロッピーディスク(FD)、いや、人によってはカセットテープという人もいるだろう。
そのフロッピーディスクにしても、それが3.5インチなのか、5インチなのかも人によって変わるはず(中には8インチという人も極稀にいるかもしれない)。また、似たような時期にクィックディスク(QD)というメディアも…なんて人もいたかもしれないし、もっと特殊な3インチディスクを使ってた、なんて人もいたかもしれない。
そしてそれが過ぎた頃、MOディスクやCD-R系、DVD-R系へと移り変わっていくが、その中で極稀にPDという人やMDという人もいたかもしれない。さらに極稀にZIPディスクという人もいるかもしれない。CD-R系、DVD-R系の先はBD-R系へと続くが光メディアはその後の進化がほぼ止まったような感じがある。
こうしたリムーバブルメディアと併行して浸透していたのがUSBメモリやSDカード、いや、そのさらに前にあったMMC(マルチメディアカード)やメモリースティック系メディア、さらにはコンパクトフラッシュカード(CFカード)なんてものもあって、使っていたという人もいるだろう。
カメラの世界ではまた別の進化を遂げたメディアもあって、古来からデータを持ち運ぶ、いろいろなデバイスでデータを記録するという為の記録メディアはいろいろなものが開発され、淘汰され、統合され、今にいたっている。
この中で、比較的変化があまりないにもかかわらず、ずっと生き残っているのがUSBメモリである。
しかもそのコネクタ形状はUSB Type-Aという、一番最初のUSB規格から採用されているものである。
容量が今でも拡大している媒体で、ここまで進化なく継続しているメディアは他にはないのではないかとすら思える。
BIOSアップデート
そんな記録メディアだが、突然USBメモリを一つ持っておいた方が良いかもしれないという事態になった。
今年組み立てたメインPCのBIOSアップデートに使用するためである。マザーボードのファームウェアアップデートに使用するものなので、使用するメディアはUSBメモリになるが、今改めてUSBメモリを買うとなると、容量はどれぐらいが良いのだろう? とふと考え込んでしまった。
容量は多ければ多いほど良い、という人もいる。というのも、USBメモリなどは容量単価は容量が大きいモノほど安いからだ。
だが、ちょっと待った。問題は用途によってそれは正しくない時がある、と私は考える。
記録媒体といえど、システムで読み込む以上、そこにはフォーマットと呼ばれるものが関係してくる。
通常USBメモリのような媒体のフォーマットとして採用されているものはFAT32と呼ばれるフォーマットで、Windowsという標準OSの上では32GB未満でないとこのFAT32でのフォーマットは実行できない(コマンドラインのdiskpartやPowerShellコマンドでフォーマットすれば32GB以上でもできなくはない)。
手軽に32GB以上の容量に対してFAT32でフォーマットする場合、社外製ソフトなどでフォーマットするしかない。
ならFAT32以外のフォーマットをすれば使えるじゃないかと言うかもしれないが、USBメモリで保存するデータをWindowsのみで使用する場合はNTFSフォーマットで問題はないが、NTFSでフォーマットしたUSBメモリはMacでは読み取る事はできても書き込む事ができないなど、いろいろ弊害がある。
FAT32は、そうしたシステムの違いによる問題がまずないフォーマットであるため、トラブルを回避したいならFAT32フォーマットはとても便利で安全なフォーマットと言えるのである。
であるなら、イマドキの持ち運び可能な記録メディアは、32GB未満のUSBメモリがもっとも汎用性が高く、便利ではないかという結論に至る。
記録するデータの大きさにもよるが、32GBを超えるデータを扱うという事そのものがそう多くはないハズなので、イマドキの持ち運び記録メディアとして32GBのUSBメモリを買ってみた。
価格は1,000円ほど。
もっと安く買おうと思えば買えるかもしれない。
セキュリティ的に…
ただ、最近仕事でUSBメモリを使用するケースは極度に少なくなってきている。
セキュリティの関係からUSBメモリの使用を禁止する企業もあるだろう。USBメモリからウィルス混入なんて事が起きやすいという事が、そうした禁止される理由という事だが…いや、それ使う人のセキュリティレベルの問題だからと言いたい所だが、一般的にそこまで詳しい人ばかりと言えない事情からあるから、ウィルスが蔓延するワケで、こうした媒体が禁止されるのだから致し方ない。
私の勤め先でも、最近はUSBメモリの使用を禁止し始めたのだが、残念ながら社長など幹部がUSBメモリの使用をやめてくれないので、なかなか全体が禁止となる状況にない。
とりあえず経営層以外の使用は禁止したが、それでも一部データの持ち運びで一時的許可を求める声がやまない。
また、USBメモリなどの媒体のもう一つの不安事は、紛失である。そこから社内データの漏洩が考えられる。こちらも別の意味でセキュリティ的に問題だ。
USBメモリの中には、パスワードを入力しないとシステムに接続できない媒体があるが、価格はハンパなく高い。OSにインストールするソフトでセキュリティを担保するUSBメモリも存在するが、こちらはシステム依存になってしまうので、製品としてはハードだけでセキュリティを担保できるセキュリティUSBメモリがお薦めなので、会社側にはそうしたメディア以外は購入しないでくれ、とシステム担当としては伝えてある。
こういうところにもコストを考えねば成らない時代というのは、如何にも残念極まりない。
使い捨てメディア
セキュリティの問題もあるが、そうした話は置いておいたとしても、正直、昔のFDくらいの価格で簡単に使い捨てられる媒体がなくなったのが痛いところである。
1MBや2MBなら、最近ではメールやSNS系の通信ツールでの送受信はイマドキ何ら問題はないが、10MBを超え始めると途端に選択肢が狭くなる。
ファイル転送サービスを使用する、という手もあり、GoogleドライブやDropBoxなんてサービスもあるが、常にオンラインになっていないといけないという問題もある。出先ではWi-Fiが確実にあるとは言い切れないので、パケット通信が制限されている環境では使いにくい。
どうして10~30MB程度で使い捨てられるメディアが登場しないのだろうか?
やはり前述のようなウィルス感染の観点から、要求がないという事なのだろうか?
私としては、フィルム基板のようなものでメモリが実現できるなら、使い捨ての10~30MBくらいの媒体があるととても便利だと思うのだが。
ICタグだって使い捨てられるくらいの価格にできる時代になってきている事を考えると、そうした使い捨て記録メディアが登場しても、不思議ではない気がするが…さて、世間一般ではどうなのだろうか?
というわけで、BIOSアップデートの為にUSBメモリを購入した。
4月~5月程度に24GB、48GBのDIMMに対応したAMDのBIOSが登場する話があるので、その時にBIOSアップデートをしようと思っている。
マザーボードが読み込めるようFAT32フォーマットがデフォルトで可能な32GBという容量を選択した。
準備は万全である。