以前に会った時と全く異なるその姿に(良い意味で)驚き。
リハビリの凄さ
本日、再び入院中の母に会ってきた。
今回の目的は、前回母と面会した時に現在のケアマネージャが不在だった事、小規模多機能の施設に受け入れ拒否された事、それらに伴って今後の介護をどうするかを再検討する事を検討するため、ケアマネージャに現在の母の様子をちゃんと見てもらおう、という意図の元、面会が実現した。
前回私が母に会ったのは3月8日の事。
正直、会話する事が出来なくなった事で、当人に焦りもあっただろうし、私の衝撃もあったし、とにかく今までの在宅介護では絶対に無理、という状況が目の前にあり、私自身が混乱に陥った状況だった。
そしてあれから2週間ほど経った今、再び母と面会したが、その様子は明らかに以前とは異なるものだった。
ちょうどリハビリ室でリハビリをしていたところだったのだが、弱くなった右手の握力を少しでも強化するため、右手を使ったトレーニングが行われている所だった。
母は私の姿が判った瞬間、もう泣き始め、しかもその横には顔を見知ったケアマネージャがいた事で、さらに崩れ落ちる始末。ちゃんと私もケアマネも認識し理解している事は明白だった。
リハビリ担当の人に、母の現状の説明を受けると、以前よりはずっと体は動くようにはなったものの、車椅子とベッドを行き来する生活そのものに変りはなく、足や手の筋肉や筋をほぐし、以前よりはずっといろいろな体勢をとる事ができるようになった、との事だった。
言葉に関しては、前回の医師の説明の通りで、失語症そのものは変わらないが、こちらの医師はほぼ伝わっているようで、問題となるのは当人の希望が被介護者に伝わらない事だという。正直、それが一番困る事なのだが。ただ、2週間前とは明らかに当人の落ち着きが違う。
また、ケータイの扱いに関しても出来なくなっているという。やはり右手がより不自由になった事が原因らしく、今のままでは自らに起きた問題に対して誰かを呼ぶ術がないという事は重要な課題と言えた。
そしてコレが致命的な事なのだが、右手の力が衰えている事から、水分補給に関しても自分一人で補給できる環境を作る事が困難で、誰かが介助する必要があるだろう、という事。やはり見守り時間と呼ばれる、要介護者の様子を確認する術を綿密に考えないと、在宅介護は厳しいと言える。
それでも反応は上々で、工夫次第で在宅介護は可能だろうという感じはする。問題はその介護頻度と予算といったところか。
介護計画
という事で、母にはあと一週間ほどがんばって、と伝え、退院は来週末くらいを想定する話とした。
あくまでも想定としている理由は、ケアマネージャが介護計画をいろいろと立ててくれたものを吟味し、金額と介護内容を突き合わせたトライ&エラーが必要なためである。
今回、ケアマネージャが現状を確認した事で、状況がより判ったので具体的な計画立案は可能になったと言える。そしてもう一つハッキリした事は、私が介護と呼ばれるものに対してどのように向き合わねばならないかという事が明確になったという事である。
介護は本人とその家族がどうしたいかが全てであり、その方針に従ってケアマネージャが最善手を支援するスタイルだという。もちろんそれは最初から判っていた事だが、問題は、本人もその家族も介護にどういったものがあるのかがよく分かっていないという事なのだが、介護に関わる専門家たちはそのあたりに大きな認識の隔たりがある事が理解されていない。
本人達はその道の専門家なので、どういった介護手段があるかを知っているわけだが、介護を受ける側からすると、予備知識を誰もが持っているなんて事はないわけで、決断するにしても選択するにしても、その選択肢が異常に狭いのである。
なので、今回は介護者当人が自宅に帰りたがっているという事、そして私自身も可能なら自宅に戻してあげたい事、たた私としては私がいない平日昼間に、できるだけ一人にしておけない事を念頭に置いた、自宅介護とデイサービス混合のプランを検討してもらう事にした。
場合によっては、デイサービスに毎日出向いてもいいぐらいの気持ちだと伝えてある。そうすれば日中は少なくとも施設にいる事と同義の対応はしてもらえるのだから。
あとは予算の問題だが、一時は施設に入る事も想定しているので、ある程度の覚悟はもう決まっている。
あとは当人と私が納得できる内容が決まればそれでいい。
ケアマネージャは私の心配毎も含めていろいろと検討するとの事だったので、今はとにかく待つしかない。
特養と呼ばれる施設
今回、病院の地域連携室の担当者とケアマネージャに言われたのは、特養と呼ばれる施設に連絡して、入居の予約をした方が良い、という事だった。
私は施設にどうしても問題があって在宅はダメだと判断されない限り施設に入れるという事を考えない方向で考えていた。なので「予約を入れる事=空きができたら施設に入らなければならない」と考えていたのだが、そうでもないらしい。
特に特養、つまり特別養護老人ホームと呼ばれる要介護3~5の人が入居できる施設は、空きなく、入居待ちになっているのが現状なのだが、まず予約を入れておき、もし空きが回ってきたとき、まだ自宅介護が可能なら、とりあえず状況で入居をスキップできるらしい。
そして次の番が回ってきた時、もし入居が必要になるならそこで入居すればいいし、再び自宅介護が可能な状態なら再びスキップすればいいようだ。
…なるほど。
金銭的には介護保険を使用しても持ち出しとして10~15万円程度係るワケだが、どうする事も出来なくなれば、自分の生活の何かを切ってでも対応するしか道がない。そう考えると、予約だけは入れた方がいいかもしれない。
この特養と呼ばれる施設以外にも老健、つまり介護老人保健施設という施設もある。
特養の施設は終身が可能らしく、入居そのものに期限が切られていないが、老健は病院からの退院後にすぐに在宅生活に復帰できない状態の高齢者が数ヵ月程度滞在することを目的とした施設になっていて、最長でも半年程度しか入居する事ができない。
しかも老健の方がリハビリ設備が整っていたりする事から、月額費用が高めに設定されている。正直、ウチの場合ではあまり該当しないケースと考えている。
他にも、2018年から始まった介護医療院という施設、養護施設という施設もあり、それぞれに特徴があるのだが、問題は比較的新しい施設の場合、近隣にそうした施設がそもそも存在しないという事もある。
私の環境下では、特養か老健という二択になるだろう事が予想される。
こうした事も、その状況を考えねば成らない事になって初めて知る事であり、しかもその知識の出所は自分から出てくる事はまずない。
市区町村や病院の地域連携室やケアマネージャから聞く話でようやくその認識が出てくるのであって、しかも聞いたからといってそれらを検討するにしても、自ら調べて連絡する、という事を自然にできる人がどれだけいるんだろう? とやっぱり考えてしまう。
おそらく市区町村の機関からすれば、介護を受ける側が動くのは当たり前でしょ? と思っているのかもしれないが、やはりこういうのはもっと当人たちに寄り添うようなコンシェルジュ的な存在は絶対に必要ではないかと私は思う。