Mini-ITXに搭載できる今世代dGPUがようやく登場。
全長は169.9mm
香港のGPUカードベンダーであるPalit Microsystemsが、NVIDIAの最新ミドルレンジGPUであるGeForce RTX 4060Tiを搭載するビデオカードを4種発表した。
内2種の「GeForce RTX 4060 Ti Dual OC 8GB」及び「GeForce RTX 4060 Ti Dual 8GB」は2スロット厚の全長249.9mmサイズのもので通常サイズとも言える製品だが、他2種「GeForce RTX 4060 Ti StormX OC 8GB」及び「GeForce RTX 4060 Ti StormX 8GB」は、全長169.9mmのショート基盤を採用したモデルで、Mini-ITXを意識した製品といえるものになっている。
どちらもOCモデルと標準モデルで構成され、性能に大差はないのだが、ショート基盤のOCモデルである「GeForce RTX 4060 Ti StormX OC 8GB」はブーストクロックが2,670MHzと標準サイズのOCモデルである「GeForce RTX 4060 Ti Dual OC 8GB」のブーストクロック2,685MHzより少し低く設定されている。
それ以外のベースクロックなどは共通で、標準モデルは通常サイズもショートサイズもスペックは同等である。
クロック以外のスペックも共通で、CUDAコア数4,352基、メモリスピード18Gbps、メモリバス幅128bit、ビデオメモリはGDDR6 8GBとNVIDIAの発表と全く同じ内容になっている。
ショート基盤モデルが登場した事で、ミニPCを自作している人などは、ようやくRTX 4000シリーズのdGPUを搭載したPCを構築する事が出来る様になったワケで、このショート基盤モデルは結構な需要があるのではないかと予想される。
RTX 4070もショート基盤は作れる?
実の所、RTX 4070Tiや4070も、基盤そのものは大きくはないようで、それでもビデオカードが全長30cm近くに設定されているのは、冷却機構を大きくしているため、と言われている。
もし、この冷却機構を何とかできれば、RTX 4070系でもショート基盤モデルが登場するかもしれない。
こういうのは、その昔はAMDが得意としていた部分ではあるが、最近のAMD製ビデオカードでもショート基盤モデルというのはあまり存在していない。
これも冷却という問題が最近のGPUには避けて通れない問題になっているからだが、NVIDIAも含めてミドルレンジクラスでようやく冷却に余裕のあるモデルが出てきた事で、ミニPC向けに利用できるビデオカードが出始めた感じがある。
問題はそのミニPCに搭載するdGPUの性能レンジとしてミドルレンジ止まりになるのか、それともミドルハイまで行けるのか? という事。
RTX 4070系まで搭載できれば、ミドルハイの性能を持つミニPCも可能という事になり、多くのミニPCファンに受け入れられると思うのだが、そういったチャレンジ製品を出すようなメーカーは現れないのだろうか?
さすがにロープロは…
2スロット厚のショート基盤のRTX 4060Tiカードが登場はしたが、それでもサイズはあくまでもフルサイズの枠に留まった製品しか出てくる気配はない。
もっと小さいプロダクトが出せるのであれば、次はロープロファイル版が出てきてくれる事を希望したい。
コンパクトスリムな筐体に搭載する場合は、多くのケースでロープロファイルな拡張カードであれば搭載可能という事が多い。
この場合、搭載する電源容量からミドルレンジレベルまでのdGPUしか搭載できない事が多いので、RTX 4060シリーズぐらいまでの製品で十分なのだが、スリムケースゆえにロープロファイルでないと搭載できない。そういった問題はあるにしても、ロープロファイルであるという事のインパクトは大きい。
実際、登場してくれるといいな、というレベルの話で、製品化される話は出ていないが、出てくれると自作PCの幅も広がるわけで、小さくても更なるパワーを求める層にきっと受け入れられるだろうと思う。
とはいっても、おそらく今後はロープロ仕様のカードは登場しないだろう。何故なら今はCPUとGPUの混合コアが圧倒的に多いし、その性能も年々強力なモノになってきているので、外付けの必要性がないわけで。
というわけで、特殊かつ変わった使い方でないとロープロファイル版は登場しないだろう。
絶対とは言えないものの、売れ筋製品を作っていくのが企業なのだから、この辺りはやむを得ないだろう。