ミドルレンジの本命と言えるAMD GPUがようやく発表となった。
WQHDをターゲット
AMDはNVIDIAよりも解像度で性能を表現する事が多い様な気がする。
Radeon RX 7900シリーズでは4Kという解像度を前面に押し出していた感じがあったが、今回のRadeon RX 7800XTも7700XTでは、WQHDに最適として製品発表を行っている。
この解像度を明確に説明しているあたりは、人によってはとても理解しやすいのではないかと思うが、ウルトラワイドモニタを使用している人からすると、結構微妙な表現とも言えなくもない。
つまり、今回の例でいえばRadeon RX 7800XTでは、WQHD(2560×1440)なら60fpsを超え120fpsに届く勢いのあるGPUかもしれないが、これが3440×1440だとそれよりも1段くらいは性能が落ちる、と判断すれば良いのか、それとももっと性能が落ちるのかが見えにくいり。昨今ではウルトラワイドモニタも普及が進んでいる事から、こういった表現にするならもう少し突っ込んだ性能示威が欲しいところである。
またRX 7700XTの性能指標は、WQHDで60fpsを超えるあたりなので、これもウルトラワイドモニタだと幾分かは性能が下回る事が見えてくる。
ただ、WQHDというフルHDよりも上の解像度をターゲットにしているという点において、ようやく自分の狙った性能に到達した、と感じる人も多いのではないかと思う。
あとは価格がそれに見合ってくれれば、消費者側としてはNVIDIA製品より魅力的に映るのではないかと思う。
実際の比較
全体的な性能については、Tech系サイトの評価で見て確認していただきたい。
RX 7800XTで価格も499ドルとNVIDIAで言えばGeForce RTX 4070Tiを意識した価格設定になっていて、7700XTなら449ドルという設定になっている。
米国価格だけでいえば十分対抗馬となる価格だが、日本市場での価格としてはどうなるかが気になる所である。
性能としては、ライバル比としてRTX 4070や4060系が該当するとしていて、4070Tiとの比較をAMDは想定していないようである。
実際出てきているベンチマークをみても、RTX4070と比較すると良い勝負をしているようで、残念だが4070Tiには今一歩届かない感じなのかもしれない。
それでも価格が安ければ、十分4070Tiと戦う事はできると思うし、消費者サイドの満足度は超えてくる可能性がある。というのも、メモリバス幅が256bitと、NVIDIA製品より広いからだ。さらに搭載メモリ量も16GBと多いというのもある。
メモリ周りのスペックでいえば4080と同等とさえ言えるので、全体パフォーマンスに劣っていたとしても、馬力を問われるシーンでは粘り強い可能性もある。
ここらへん、NVIDIAの考え方とAMDの考え方に違いがよく出ていて面白い所である。
期待はFSR 3か
AMDがいよいよもって「AMD Fluid Motion Frames」というフレーム補完技術を発表した。
ゲームへの実装としては「FidelityFX Super Resolution 3」(いわゆるFSR 3)、ドライバへの実装は「AMD Fluid Motion Frames for AMD HYPR-RX」として実現する技術としている。
Fluid Motionと名のある通り、フレームとフレームの間に中間フレームを生成するする事でフレームレートを引き上げる技術なワケだけが、旧来の動画フレームを補完する技術とは異なるものと言える。今回の「AMD Fluid Motion Frames for AMD HYPR-RX」はゲームにおけるフレームレート補完がメインなので、この機能のみを独立させ、動画に反映させられるかは現時点では読めない。
面白いのは、これらの機能はソフトウェア(ゲーム)側の対応が必要としているが、ハードウェアとしてはAMD製GPUに特定しないという事。
当初要件が詳しく説明されていなかったようだが、RadeonならRX 5700以降、GeForceならRTX 2000シリーズ以降を必須、推奨ならRX 6000シリーズ以降、RTX 3000シリーズ以降というのが公式見解のようだ。
個人的には、ゲームなどのリアルタイム映像フレームだけでなく、動画フレームにも中間フレーム生成ができるようになるととても有りがたいのだが「AMD Fluid Motion Frames」はその機能を独立して動画フレーヤーなどに組み込む事はできるのだろうか?
有志の活動に期待したいところである(公式でやってくれてもいいのだよ?w)。
AMDはチップレット技術でコア価格を抑えている関係から、性能が高めでもコストを抑えた製品を可能にした。
NVIDIAは残念ながらまだその域に達しておらず(技術的にできないという話ではない)、価格を抑えるためにメモリバスを狭くし、容量も削り、キャッシュメモリで対応してきた。
どちらが正解という話ではないが、ユーザーがよりありがたみを感じるのはAMD側の対応ではないかと思ってしまう。見解の相違とはいえ、私としてはAMDの対応の方がスマートで納得がいく感じである。