マイナス金利が解除されるという事はどういう事だ?
マイナス金利解除
先日から、日銀がマイナス金利を解除するという話が出ていて、それに伴う影響というもので資産形成や投資の話をするXのポストが騒がしくなっている。
というのは、最近になって始まった新NISAで、鉄板と言われている米国主体やオールカントリーを対象とした投資信託の価値が下がると言われているからだ。
何故そうなのか? という事が判らないという人は、もっと金融というものの勉強が必要になるだろうし、何となくわかるけど詳しく分からないという人も、これを機会に金融の勉強をもっとした方がいいだろう。
かくいう私も何となく分かるものの、具体的になぜ騒ぐ必要のある事なのか? という事がよくわかっていない。
マイナス金利が解除されるという事がどういう事なのか?
単純に言えば、金利が上がるという事なのだが、金利が上がるとどうなるのか?
言葉にすれば単純な事だが、それによって何がどう影響するのか?
この金利という言葉は金融にとって基本的な事なので、これを知らないと本質がわからない。なので今のこのタイミングでそれを知る事はとても重要だと言える。
重要なのだから、わからなければ調べるしかない。
需要が高くなるという事
金利が上がるという事は、つまるところお金の価値が上がるという事である。
たとえば、預金の金利が5%になったら、何もNISAのようなリスクを負う資産形成よりも預金して利息を貰うほうが確実に安定して資産を増やせる事になる。
もちろん現代において金利がいきなり5%になるなんて事はないのだが、昭和の昔では、これぐらいの預金金利だったのだから、日本国民の大部分は株などのリスクを負う投資よりも預金する、というのが当たり前の行動だったわけである。
ではなぜ金利が上がると投資信託の価値は下がるのか?
日本の金利が上がるという事は円高になるという事である。
円の人気が上がるので、必然的にドルや他の通貨との差が小さくなり、場合によっては円で運用した方が利益が出るなんてケースも出てくる。
そうなると、現在人気のS&P500やオールカントリーの投資信託はドル建てで運用されているので、必然的にそれらを購入した時の価格よりも金利が上がった今の方がドル建て資産の投資信託の価値が相対的に下がってしまうワケである。これが為替による影響である。
株価(投資信託の価値含む)は変わっていなくても、為替の変動だけで投資した資産の価値が変わってしまうわけだ。
ま、もちろんそれは、金利が上がった今売却すれば、の話である。実際には、今後の売り時になった時に価値が高い時を狙えばよいわけなので、そう焦る必要はない。
なので、今改めて何故今までNISAでS&P500やオールカントリーが好調で人気だったかを考えると、単純に日本の円がマイナス金利で弱く(つまり円安)、ドルの価値が高かったから、という事が言える。なので金利が上がる今後を考えると、大きくリターンを失う人が出てくる可能性もあるだろう。
NISAの今後
おそらく、今新NISAから始めた人の多くの人は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)やeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を選び、積み立てを始めている事と思う。
私は楽天S&P500インデックスファンドを選択しているが、これにしても同じS&P500をベースにしたものなので、内容的には同じ影響を受ける事になるだろう。
これらの投資信託が高いリターン率を示してきたのは、長期にわたり日本がマイナス金利だった事が大きく影響していると考えると、日銀のマイナス金利解除という影響は以前よりも大きなリターンを得ることは難しいという事を意味する。
もちろん、いきなり大きく金利が上がるという事は考えにくいが、少なくとも上昇する価値の上がり幅は小さくなるだろう。
ただ、それとて今考えられる一時的な予測でしかなく、今後どのように金融状況が変化するかはわからない。
少なくとも、過去3年前よりもずっとNISAでの資産形成は難しくなるのではないかと思う。それは即ち、マイナス金利による円安の状況がなくなる事で、一つの指標が見えにくくなったという事が原因である。ある意味、本来の難しさに戻っただけとも言えるのだが、初心者にとっては新NISAが始まったこのタイミングで厳しい現実に直面したな、と思う。
現在私は一極集中で楽天S&P500インデックスファンドを積み立てているが、今後の金利の動きによっては内容の見直しの必要があるかもしれない。
ただ、積み立ての投資は長期運用で結果を出すものなので、今のこの金利の動きに左右されるわけではない。焦らず動ぜず、といった考え方も重要なので、これが投資の難しさかと思うばかりである。