MINISFORUMから発売された3in1のPCはMacBook Airよりも魅力的か?
3形態で使用出来る万能機?
MINISFORUMが、Ryzen7 8840Uを搭載した14型3in1タブレットPC「MINISFORUM V3」を発売した。
3in1の意味は、着脱式キーボードを取り付けたノートPCという形態、キーボードを取り外したタブレットPCとしての形態、DisplayPort Alt Modeでの外部モニターとしての形態の3つの使い方ができるところから来ている。
モニタ部のスペックも比較的高く、2,560×1,600ドット、リフレッシュレートは165Hz、色域はP3 100%、輝度は500cd/平方mと、モニタとして使う場合であってもかなりのスペックではないかと思う。
PCとしての性能は、前述したようにRyzen7 8840Uを搭載し、メモリはDDR5-6400で32GB、ストレージもM.2 2280対応1TBのSSDを内蔵する。
電源ボタンには指紋センサーが取り付けられていてWindows Helloをサポートする。
タブレットとして使用するもよし、ノートPCとして使用するもよし、比較的万能な性能を持つと言える。
ま、価格が191,980円と比較的高いので、この性能であっても納得できる事は間違いないが、一つ気になるのは、この性能と使い勝手をもってして、MacBook Air(M3版)と比較した時、MINISFORUM V3を選択する、という声が出てくるか? という事である。
ノートPCとしての利用
ハッキリ言ってしまえば、MacBookシリーズは既にノートPCで作業する領域を超える性能を持っている、と断言しても良いと思っている。
Mシリーズのコアは、ユニファイドメモリをダイの中に持ち、CPUとGPUが同じメモリアドレスを利用する事で効率の良いメモリの使い方ができるだけでなく、その事でメモリの節約になるばかりか、処理すらも高速化出来てしまっているので、所謂普通の使い方をする上では、もう性能的にはコレより高性能なものを求めたとしてもあまり恩恵がないと言える。
一方、x86系アーキテクチャのWindows機でも、その性能はモバイルタイプでも相当な性能に引き上げられたと言えるが、効率性、省電力性、必要になったときのパフォーマンスにおいて、MacBookのmシリーズと比較すると、どうしても一歩及ばないところがある。
及ばないから使えない、という事ではなく、それだけARMベースのMシリーズの方が効率が良い処理をしていて、メモリの使い方の巧さ、処理の速さが際立っている、という事である。
そこにきて、MINISFORUM V3が価格19万円で発売されたとして、M3搭載のMacBook Airと比較した時、果たしてどれだけの人がMINISFORUM V3を選択するだろうか? という事である。
どうしてもWindows機でないダメだ、という人でなければ、MacBook Airでより上質な使い勝手と先進性を求めるのではないかと思うワケである。
ネットが見られて、メールを受け取れて、文書を作れて、ちょっとしたクリエイティブな事が出来る…MacBook Airなら、そのアプリケーションも含めて全て手に入れられるわけである。
MINISFORUM V3の場合、Windowsベースの使い勝手になるので、判っている人からすれば自分好みにカスタマイズはできるが、デフォルトでの使用で考えれば、さて利点があるのかな? と。
もちろん、ないとは言わない。前述したように3形態で利用できるので、そこに活路を見出す事もできるが、ノートPCとして使う場合で考えると、いうほどこの3形態は利点にはならないのではないかと思う。
x86の限界?
最近思う事がある。
私にとってx86アーキテクチャの利点は、単純にゲーミング性能でしかないという事。
クリエイティブな事をしようと思ったら、やはり最近ならARMベースのコアを搭載したデバイスの方が性能は上に来るのではないかと思う。
x86アーキテクチャは、長年使われてきてはいるが、そろそろ内部コードの複雑さから性能が伸び悩む傾向にあると見ている。
それに比べ、ARMベースのコアはここ最近急激に性能が伸びてきている。特に顕著なのがAppleのMシリーズだが、QualcommのSnapdragon X Eliteもまた、一気に性能が伸びたコアである。
Microsoftも、おそらくはx86アーキテクチャにそこまで拘る事はないのではないかとさえ最近思えてきていて、次第にARMベースのコアへと軸をシフトするのではないかと思える。
もちろん、x86アーキテクチャがこれですぐにおしまいだとは思わないが、徐々に苦しくなってくるだろうという予測はできる。
あとはどれだけx86が足掻いてくるか? という感じかもしれない。ま、それでも10年近い時間の先の話とは思うが。
ま、カスタマイズ性はWindows機の方があるので、そこで好まれているというのはあるかもしれない。ARMコアベースで自作PCができるようになれば、様相はガラリと変わるかもしれないが。
まず同じ価格でとなると「MacBook Air 13インチ(M3/8CPU/10GPU/8GB/512GBストレージ)」になるので、RAM 8GB且つストレージも増設不可な512GBストレージでクリエイティブというのは若干無理があるように思います。
やや高い224,800円のMacBook Air 13インチ(M3/8CPU/10GPU/16GB/512GBストレージ)であれば多少メモリ周りに余裕が出来ますが、4K動画の編集やRAW現像するのであればストレージは1TB以上なければデータの仮置き場にもならないので、NASや外付けSSD等の組み合わせが必要になるかと思います。
ですのでクリエイティブ向きというのであれば「MINISFORUM V3」以外の何か(ゲーミングノート等)を選んでいそうな気はしてます。
Apple Mシリーズの登場でArm系が省電力からハイパフォーマンスになってきており、既にM3を搭載した小型な13/15インチ系MacBook Air/Proでスロットリングを起こす等今まで起きなかった不具合が出始めているところを見ると、M1/M2程度に抑えてより安価且つハイパフォーマンスな構成を選ぶか幸せになれそうな気はしてます。
現状はArm系Windowsはライセンス体系的に販売が行われておらず、次のSnapdragon 8 Gen4でNuviaの手が入り、Oryonシリーズの投入でApple Mシリーズ以上まで引き上げられると噂されているので、この時点でMicrosoftがWindowsのライセンス体系を変えない限りx86は今後もシェアは減り続けるでしょうね。
返信
的確なお話、ありがとうございます。
タイトルが「マルチな使い方」なんて書き方をしたので、誤解を受けるタイトルにしてしまったな、という思いはありますが、「MINISFORUM V3」でクリエイティブな使い方まで考えたマルチな使い方をする人は限定的かな、とも思います。
ま、普通に考えてクリエイティブな使い方をメインとする人はいないと思います。
x86系アーキテクチャは、とにかく拡張に拡張を重ねてきた歴史があり、コードが複雑になりすぎていて、命令処理において比効率になってきている事はよく言われている事なので、ARM系コアとその部分を比較されるとどうしても弱い側面があると思います。
その中で「MINISFORUM V3」なんてx86コアを搭載した製品が登場したので、MacBook系と比較した時、どっちがユーザーにとって幸せになれる製品かな、と考えた時、クリエイティブな事をするにしても、普通の使い方をするにしても、今やARM系コアを搭載したノートPCやタブレットの方が扱いやすいのかな、と。
私は古い人間なので、やはりPCという箱に魅力を感じてしまいますが、現世代の人はノートPCすら使わず、タブレットやスマホで何でもやってしまうところがあるので、そういう観点から考えてみてもWindowsというOSである事の優位性は失われているように思っています。
ちょっと前は何をするにしてもWindowsだったのに…。時代の変化は恐ろしい。
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