PCゲームのプラットフォームであるSteamのコンソールマシン?
実はPC
ポータブルゲーミングPCというジャンルになるそうだが、Steamを展開するValveから、SteamプラットフォームのゲームをプレイできるモバイルPCである「Steam Deck」がいよいよ日本でも予約開始となった。
価格は、64GB eMMCモデルが5万9,800円、256GB NVMe SSD搭載モデルが7万9,800円、512GB NVMe SSD搭載モデルが9万9,800円と、やはり元々がPCというだけあって価格的には結構値の張るものになっているが、その中身はといえば、結構PS5に似ていて、Zen2のCPU(4コア8スレッド)とRDNA2のGPUコア(8CU)を統合したAPUを搭載していて、独自のSteam OS3.0で動作している。
SteamライブラリにあるほとんどのAAAタイトルを動作させるに十分な性能、としているが、実際はバッテリーの保ち時間がかなり短いと言われている。その稼働時間は僅か2~8時間で、DEATH STRANDINGなど動作させようものなら、10分で1割近くの電力を消費するらしい。
搭載しているメモリは16GBのLPDDR5で、それなりのアクセス速度は稼げていると思われる。
搭載する液晶は1,280×800ドットの7型で、Wi-Fi5対応の無線LAN、Bluetooth5.0、USB Type-C、microSDカードスロットを備える。
このスペックを見れば一目瞭然だが、もう普通のPCと同じである。違うのは、その形状とOSだけである。
しかもそのOSは、Windowsをインストールすれば使えるというから何も変わらないに等しい。
iPhoneの上のPS
このSteam Deckと実に対照的なのが、海外のPlayStation Blogで公開された、iPhone専用のPlayStation公式ライセンスコントローラーである。
PS5風のデザインで、iPhoneを挟み込んでドッキングさせる形になっている。
もともと、Backbone社がiPhone用のコントローラーとして発売していたものをPS風のデザインにした上で公式デバイスとして認定したものという事らしい。
接続はiPhoneのLightning端子で、そこから給電する事から特に他の電源を必要としない。
グリップ部にイヤフォンジャックとパススルー電源用ポートが着いているので、イヤフォンを使ってプレイする事もできるし、充電しながらのプレイも可能だ。
だが、問題はそのパススルーの充電ポートの形状がLightningとなっている事。ここは汎用的にUSB Type-Cなどにしておくべきではないかと思うのだが、内側のLightning端子をそのまま引っ張ってきているのか(そんな事は絶対にないはずだが)、コントローラーのグリップ部の端子もLightningになってしまっている。
残念な部分はあるものの、PlayStationは固有のハードから抜け出そうとしている様に見えるのは、私だけではないだろう。
先日もSonyがINZONEというPCゲーミングデバイスを発表したが、固有のハードから脱却し、プラットフォームとサービスを前面に押し出す戦略が見えてきている。
実にSteam Deckとは対照的な進み方である。
据え置きゲーム機の未来
Googleのゲームストリーミングサービスである「Stadia」は、サービス終了という噂が出たものの、Googleはそれを否定し、現在もプラットフォームをよくするべく取組みを続けているとしているが、Googleは結局、PCというデバイスに相乗りする形のサービスを提供するビジネスを打ち立てた。
時期がまだ早すぎたのか、そのサービスは現時点で上手くは言っていないが、PlayStationも結局は同じ方向に舵を切りそうな姿が見え隠れしている。
つまり、特定の専用ハードを製造して、顧客を囲い込むというビジネス戦略は、今後伸びていかない、という見通しをしているのではないかと考えられる。
もちろん、Nintendo Switchのように成功している例もあるし、海外でもPS5は失敗しているわけではない。だが、ハードウェアが供給不足になったのは事実だし、今後の行く末を見た時、専用ハードを持つ事が正解とは限らないのも事実だ。
Microsoftも、何だかんだとSamsungと提携してテレビにXboxクラウドゲームをブレイできる環境を提供する方向となったし、徐々に各社がハードに依存しない形を模索し始めているのは確かだろう。
この状況でSteam Deckというハードウェアを出したことの意味はどう考えるべきなのだろうか?
PCをゲーム機のように手軽に持ち出す、という意味でのSteam Deckだとしたら、Steam OSという形で提供するよりは、普通にWindows機として発売した方が意味はあると思うのだが。
さて、日本ではどのような普及の仕方をするのか、気になる所である。