やはり気になるのは購入したPCが搭載するAlder Lakeの後の世代。
思った程の変化はない?
Intelがモバイル版Raptor Lakeを2022年下半期に投入する、という話がある。
元々デスクトップ版のRaptor Lakeが2022年中に投入としていて、モバイル版はその後に続くという予定だったものを、結果的に投入時期を早める形になる。
私は先日、Alder Lake-Uを搭載したDellのノートPC「Inspiron 14 5420」を購入したが、実はこのタイミングで購入するにあたり、次世代の投入時期を随分と意識していて購入を結果的に遅らせた、という事実がある。
というのも、以前からの情報でAlder LakeからRaptor Lakeに切り替わる際に、Eコアの搭載数が増量される、という噂があったからだ。
Alder Lakeは、高性能コアであるPコアと高効率コアであるEコアに役割を切り分けた事で、ハイパワーと省電力を達成するという手法を採った初のx86コアである。
この話をそのまま受取ると、結果的に性能を示すのはPコアだと思われがちだが、Alder Lakeの核心は、実はEコアにあると私は思っている。
というのは、Eコアは仮想スレッド機能を持たない代わりに、性能を補えるだけの数を搭載していて、省電力動作ながら、Skylakeレベルの処理を延々と処理し続けるだけの性能を持つと言われている。つまり、通常使用するPCの処理において、Pコアが処理する命令よりもEコアが処理する命令の方が圧倒的に多く、また全体的なパフォーマンスを左右すると言うワケである。
もちろん、圧倒的なパフォーマンスが必要になれば、Pコアが消費電力を顧みず全開で動作して、その処理能力を見せつけるのだが、通常使用の時に活躍するのは主としてはEコアという事になる。
そのEコアがRaptor Lakeで増量されるとなると、今Alder LakeのノートPCを購入してよいものか? と悩むのは当然だろう。
限られた予算の中で買い物をするなら、ゲームチェンジャー的な世代でPCを切替えたい。
それが真実である。
が、いろいろ情報を調べてみると、どうもモバイル版のRaptor Lakeは、基本的にコア数は変わらないだろう、という予測が出ていた。つまりEコアを増量するのはデスクトップ版だというのである。そうであれば、モバイル版Raptor Lakeは2ndキャッシュ増量や最適化からのクロックアップが主となるはず。
そう考えると、Alder LakeでのノートPCの購入でも、劇的変化は少ない、と判断できるわけである。
さらにその先は…
Raptor Lakeの次の世代の話をすると、どうも2023年にはMeteor Lakeが登場するとされている。
Meteor Lakeは製造プロセスが進化し、Intel 4プロセスを用いて製造されると言われている。こうなると、Intel 7プロセスとはそもそも製造プロセスが異なるので、より省電力化する可能性がある。もちろん、その際の動作クロックによっては排熱がより難しくなる事から、その熱設計によって性能が変わってくると思われるが、微細化からもたらされるコア数の増量、省電力化などは未知数である。
なので、Meteor Lakeが登場すれば、また状況は大きく変わると言えるが、それを今語っても確たる話は何もない。
来年に入って、私が購入したDELLの「Inspiron 14 5420」が陳腐化する事は避けられないが、おそらく業務で使用するレベルで困る事は一切無いだろう。
とにかく、Raptor Lakeが登場した後のAlder Lakeの立ち位置は、思ったよりも悪くない。今の段階では私はそう考えている。
技術は進歩しつづける
このように、PCというのは実はとても買い時が難しい。
次世代を気にしすぎると、いつまで経っても購入できない、という事がおきる。
必要と感じたなら、その時に買える最高のものを購入する。
おそらく、この言葉は真実ではないかと思うが、先を知れば知る程、これを実現するのが難しくなる。
性能の進化は、絶対に起きる。それがどれだけ鈍化するかで、息の長い製品と短命の製品が分かれてしまう。
モバイル版Alder Lakeは現時点では息の長い製品群ではないかと思う。省電力性と処理能力のバランスが実に絶妙だし、欲を言えばGPU性能がもう少し欲しいか、という程度である。
ではRaptor Lakeは買いのCPUか? となると恐らく「買い」のCPUになる。Meteor Lakeと差が付く可能性はあるが、モバイル版Meteor Lakeの話は今の段階では分からないからだ。
ただ、期待値を考えると、そこにはいろんな要素が絡んできて判断が変わる。
なので、自分の中での判断基準を持つしかない。それによって、買い時が見えてくる。
そして、少なくとも私はモバイル版Alder Lakeは「買い」だと判断したので、Dellの「Inspiron 14 5420」を注文した。
ホント、こういう話は基準が曖昧になると途端に判断できなくなるので、情報だけが錯綜する事になる。
欲しいと思った時が買い時。
本当のところを言えば、この絶対的真理が全てであり、あとは自分たちの言い訳だけが並ぶだけではないかと思う。