男女という区別のある人間が産まれてくる、その男女出生比率は残念ながら同率にはなっていない。これは統計的な話であり、平均しても自然な状態で105という数字が出てしまっている。
つまり、女性100人に対して男性105人、という比率である。
これはあくまでも平均であり、自然な状態なわけだが、これを現在の国別比率として見ると、それはそれは大変な事実が浮かび上がってくる。
- 中国 113.3
- アルメニア 112.4
- インド 112.0
- アルバニア 111.8
- ギリシャ 106.4
- 日本 106.0
- アメリカ合衆国 105.0
- ブラジル 105.0
この数値はCIA, The World Factbook 2010の調査結果。
これによると、中国では女性100人に対して男性113人という結果だ。比率で見れば「よくないなぁ」と思う程度かもしれないが、恐ろしいのはこの比率から導き出される人数を具体的に数字化した場合である。
パリ人口開発研究所のクリストフ・ギルモト氏による2005年の研究によれば、もしこの過去数十年間に自然な男女比が維持されていたならば、アジア大陸だけでもあと1億6,300万人の女性が存在していた計算になるのである。
ま、簡単に言えば、日本の総人口を上回る女性がこの世にはいた事になるわけだ。
しかし、実際にはそれだけの人数の女性はいないワケであり、逆に男性の方がその数の分だけ多いという事。結婚できない男性が多いのは、何も社会現象というだけの話ではない事になる。
この事が書かれているのが、この2012年のピュリッツァー賞ファイナリスト作品で、タイトルは『女性のいない世界』という本である。
この本によると、地球温暖化や環境破壊も重大な問題であるが、それ以上に切実な問題がこの増えすぎる男が引き起こす世界問題なのだという。
本書の中で描かれる世界では、男性が増えすぎた結果、女性の希少性が増し、地位が向上する、なんて事ではなく、現実はその正反対であるとし、女性がいない世界では売春が増え、貧しい国へ嫁を買いに行く男が増え、嫁を買いに行く余裕のない貧しい国ではパートナーの見つからない若い男性が増える、としている。さらに、女性が金銭で売買され、若い独身男性が犯罪を繰り返す世界である、ともしている。もちろん根拠のない話ではなく、コロンビア大学の経済学者の出生性比と犯罪率の関係に関する研究によれば、中国では出生性比1%の増加がその地域の犯罪率を5~6%引き上げているという結果らしい。
この話、今日のニコニコニュースでも取り上げられていたため、知っている人も多いかもしれないが、本当に切実な問題と言えるかもしれない。
ニコニコニュース この世から「女」が消える日が来る!?
http://news.nicovideo.jp/watch/nw312232
特に日本では、女性の地位向上がめざましく、また男女雇用機会均等法により、女性も男性が必要のない世界が構築されてきている。
私の周囲でも、女性の中には「子供は欲しいけど旦那はいらない」とかいう人もいる。
ま、気持ちは分からなくもないが、そういう時代があるから、結婚できない男性が増えている、とばかり思っていたのだが、実際には産まれてくる、しかも自然の状態で男性は5%多いワケで、医学の発達した現代では子供の頃に不慮の死を遂げる男の子が少なくなった背景(幼児期は男の子の方が身体的に弱いと昔から言われている。実際その通りらしい)から、元々男性の方が人口として多い結果が、結婚できない男性を多くしてしまっている一因と言えるかもしれない。
さらに、中国では家督を継ぐのは男子、という日本にも古来からあった習わしが今でも根強く、しかも一人っ子政策という政策がある事から、妊娠中に女の子を身ごもったと分かった段階で中絶しているという事実もあるらしい。
そうなれば、男性が多く産まれるというのはもはや自然ではなく必然である。
人間という男女のある生物がもっとも自然な形で繁栄・維持できるのは、やはり同率による出生比率である。
しかし、元々の性差で生存率が異なる場合、自然の状態で出生比率が変わってくる。しかし、環境の変化や文明の変化で、生存率に大きく変化が訪れた時、自然の出生比率が逆に生物の繁栄・維持に大きく変化をもたらす。それが今の人類と言える。
たしかに、温暖化現象や環境破壊も地球規模の大問題かもしれないが、人類にとっての大きな問題の一つとして、この男女人口比率の問題はそれらを上回る問題になるのかもしれない。
ん?
>>男105人に対して女95人~
女100:男105じゃね?
そういえば昔の日本、江戸時代では男女比が結構違ってたよね
離婚に寛容で、むしろ推奨していて一人の女性が何度か結婚を繰り返すことであぶれる男性の数を補完していたとか。
最近の先進国では環境ホルモンに因る原因かは不明だけれど男性の+5%が減りつつあるという統計もあるようです。
http://www.kcn.ne.jp/~azuma/news/May2000/000501.htm
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比率の件、確かにそうでした orz
記事、修正しました。
江戸時代の話となると…やはり「三行半」という言葉があるくらいですし、そもそも道徳観や倫理観が今とは大幅に異なる時代なので今とは単純比較はできないでしょうね。
それと、環境ホルモンによる影響(と考えられている)は、男性+5%を減少させている事に加え、女性+α%を作り出している事もあると言われているので、性差そのものが昔ほどなくなってきている、と言えるのかも知れません。
しかし、それはあくまでも性別という枠組みの話ではなく、個人の身体的特徴と精神的状況の話であって、生物として機能する(しやすい)方向とは異なるように思います。
どっちにしても生物としてどんどん虚弱になっていく道は見えてきているように思います。
文明が発達すればするほど自然から遠ざかっていく以上、これが進化という名の退化なのかもしれません。
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別にこんな話は今に始まったわけでもなく、
男性が多いだの、女性が少ないだのって数だけの問題じゃなくてですね、
世の中には平均寿命という概念がありまして…。
ご存じかもしれないですけど、女性のほうが平均寿命は長いのです。これはヒトという生物における性差であり、この観点で考えれば出生数の違いがあっても平衡はとれているのです。
医学をかじったことある人なら結構知ってる豆知識ですね。
ここ数十年って話はどうなの?って疑問になる方もいるかもしれませんが、
ここからは自分の推測にすぎないですが、統計学上の数値の問題であって、統計学という分野に関しては周知され徹底されてきたのは近代ですから。
そういった意味で本来の(神が定めた)出生率が見えてきたってことじゃないでしょうかねー。
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確かに統計学という学問そのもので見えてきたものはあくまでも最近の事でしかなく、古来からの事を考えれば、今騒いでいる事そのものがヘンな話なのかもしれません。
平均寿命というもので見ても、男性の数を多くしておかねばバランスが取れないのかも知れません。
ただ、私が気になるのは、現代医学の発達で妊娠中に性別が判明し、希望にそぐわなければ中絶する、という人為的行為が可能になっている事です。
これは自然の出来事でなく、確実に人の手による操作であって、その事が保たれていたバランスを崩していく可能性を誰も否定できない所が最大の問題なのではないかと思います。
もちろん、ソレすらも憶測でしかないワケで、この本に書かれている事も憶測でしかないのでしょう。それでもそのことで起きている変化もあるわけで、そういう細かい変化を見逃さない事が、一番重要なんじゃないかと思います。
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