当Blogでも「みおふぉん」を紹介したが、最近のMVNO業者は徐々に通話可能なサービスプランを展開している。それら通話可能なサービスが人気のようで…
大手通信キャリアを追い立てる低価格
日本通信はMVNO事業者としては古参に入る部類だと思うが、その日本通信でも昨年11月に「スマホ電話SIMフリーData」という通話可能なサービスを展開した。
このサービスが好評なようで、2014年1~3月期は想定以上に売上が推移していて、その売上高は45億2000万円と前回据置になるも、営業益も前回予想から13.3%引き上げ、7億円に上方修正すると発表した。比率で言えばなんと42.6%増というから、どれだけ好調かが窺える。
「スマホ電話SIMフリーData」は、月額1,560円(税別)で、通話30秒20円、データ通信は200kbps制限無しというプラン。値段的にもIIJmioの「みおふぉん」とほぼ同等だが、若干「みおふぉん」の方がデータ通信でお得な部分がある程度である。
3人で使用するとなると「みおふぉん」のSIM3枚サービスの方がお得な感じがあるが、基本的な内容は酷似している。
こうしたプランが人気を得ているという時点で、今のスマホの月額料金に不満を感じている人が多いという事が窺い知れる。
実際、最近は通話するよりもメールする人の方が多く、そういう人はデータ通信でもヘビーな使い方をしない人が圧倒的多数であるため、日本通信やIIJmioのサービスで月額料金を劇的に下げる事ができるというのはかなり魅力的に感じるはずだ。
だから通信関係にちょっと詳しい人であれば、こうしたプランに乗り換えて月額料金を劇的に下げる事が可能になる。
ハードルは決して低くはないが、乗り越えれば月額料金を最低でも半額以下にできるのではないかと思われる。
問題はSIMフリー端末
こうしたMVNOによる通話サービスを利用するには、普通にdocomoやau、SoftBankで扱っている端末では利用ができない。SIMロックがかかっているためだ。
利用するにはそのSIMロックを解除したSIMロックフリー端末が必要になる。最近では海外製も含めていろいろ入手性が高くなったが、この部分に一つのハードルが存在する事は否定できない。
しかも、SIMフリー端末は通信バンドが決まっているため、MVNO事業者がどの通信事業者の回線を利用しているかで、使える端末と使えない端末が存在する。
ほとんどのSIMフリー端末の場合、docomoかSoftBankの通信バンドを利用する事ができるため、日本のMVNO事業者であれば、そういった端末でほぼ問題がない。というのは、今ある通信事業者のほとんどはdocomoの回線を利用しているからだ。
だから日本通信にしてもIIJmioにしても、SIMフリー端末はdocomoかSoftBankを利用可能としているものであれば、問題なく使うことができる。
これは、通信バンドの仕様と周波数によって実際の電波と端末を合わせるだけの事なので意味がわかれば難しい話ではないし、こういう技術的な部分と意味がある程度分かってくると、断然ハードルは低くなる。
ハードルを越えた先に
実際、MVNOサービスによる通話プランを開始すると、毎月の通信費は格段に安くなる。
問題は、その通信品質になるわけだが、これは使ってみないと何とも言えない。
実際に使っている人のレビューを見るしかないわけだが、問題があるケースもあるようだ。
最近ではLINEが通話サービスを始めるという話もあるが、そういった類いのものと同じと考えて良い。巨額を必要とする通信インフラの整備は、よほどの企業でないと対応はできないため、日本では基本的に3大キャリアの通信インフラを間借りするというのがMVNO系の流れになる。
だから、どのサービスも基本的には似通ってくる。
ただ、サービス企業も回線の中に割り込む機器を入れているため、そういった機器のメンテや性能によって通信品質などが変わってくる。
私が知る限りでは日本通信よりもIIJmioの方が評判は良さそうである。
ただ、こういうのも地域性があったりするので、必ずしも同じサービス企業が同じ結果を出すとは限らない。そこを理解した上で、自分にベストなサービスを探すしかないだろう。
MVNOの台頭で三大キャリアは…
MVNOが通話サービスを始め、低価格で推して来ている以上、当然だが三大キャリアにも影響は出てくるだろう。
docomoも格安プランなどを用意しているようだが、それでも基本的な人件費などを削減してきているMVNOと価格的に張り合うのは難しいと言える。
だが、ここは考えどころで、場合によっては末端サービスを止めてしまい、MVNO業者にそういったユーザビリティの必要な部分を全て任せ、キャリアは通信インフラの拡充のみに力を入れるという戦略も生まれてくるだろう。
航空機業界と似ているが、要するにジャンボジェットを作っているボーイングやエアバスは航空機そのものを作るが、エアラインの提供はしないという事。つまり、日本航空や全日空がMVNOで、ボーイングやエアバスがdocomoだったりSoftBankだったりする位置付けになる。
こういう通信インフラの提供の在り方も今後は出てくるんじゃないかと思えるわけである。
何も今までのやり方が全て正しいというわけではなく、今までは統括的にそうしてきた、というだけの事なのだから。
どっちにしても今すぐ何かが変わるというわけではないだろうが、徐々に今までの常識が常識でなくなる時代が来るように思えてならない。
人々の通信利用状態が通話からデータへと変遷して行く中で、そうした道が分かれていき、新たに生まれていくのだから。
とりあえず、そういう過渡期にある以上、利用者も現状から最適なプランを見つけ、乗り換えていく必要もあるだろう。
それが賢い通信費の使い方、という事になるかもしれない。
最後にこれだけは言っておくが、三大通信キャリアのサービスを私は否定しているつもりはない。
三大通信キャリアの価格が高いのは、あらゆるサービスの総合形態の上に存在しているという事を忘れてはならない。MVNOでは実現できないようなサービスだったりサポートを、三大キャリアなら心配する事なく受けられる。このメリットは非常に大きい。
ただ、人によってはそうした三大キャリアのサービスやサポートが過剰である事があり、それを望まない人が過剰な分をさっ引いてMVNOを選択する、という道が用意されているに過ぎない。
解らなければ三大キャリアを利用すればいい。それで何の問題もなく通信できるのだから。
それを忘れない事が肝要である。