以前私が努めていた某コンテンツメーカー(アニメショップ系列)の会社では、その店舗で売り出すグッズを制作する部隊があった。ま、当たり前と言えば当たり前だが、版権元から権利を買い、商品化する部隊である。
私自身はゲームや映像、音楽などを手がける部門だったが、何故かそうしたグッズを制作する部門とのやり取りも多く、いろいろな相談を受けたり、私から企画提案したりして、私自身もいくつか関与した商品もあった。
その時に、私が制作部門に常に言っていた言葉が「再現グッズの基本は等身大(1/1)だ」という事。実用できればそれに越した事はないし、何より本物と同じ感覚というのがイイのである。
具体的な例でいえば、エ○ァン○リ○ンに出てくるプロ○レッ○ブ○イフの形をしたペーパーナイフとかそういうのである。場合によってはコスプレにそのまま使えるだけのレプリカとか…なんてのもある。
基本は実用できるのが望ましく、それがマニア心を擽るのである。
この流れは、こうした商業で制作している所ほど、この基本を忘れる事がある。何万アイテムとある商品を企画する人達は、既に一部流れ作業のようにグッズを制作している為、いつしかマニアの心を忘れてしまうのである。
だが、この心が間違っていない事を証明する事は簡単で、最近では同人でグッズを作ったりする所の動きを見ていると、ああ、やっぱりマニアは実用できるもので、かつ等身大のものがいいんだな、という事を実感できる。
これはガールズ&パンツァーに出てきたIV号戦車のシフトノブをアルミ削り出しで製作し、黒アルマイト処理をした同人グッズである。
有害毒電波
http://yuugai.com/
旋盤やマシニングセンターなどの工作機械を扱える人なら、おそらく設計図さえあれば作れるだろうアイテムだが、扱えないけどこういうアイテムが欲しい人からすると「羨ましい」の一言が出てしまうような同人グッズである。
でも、こうした実用アイテムとして再現する事が、マニアの夢であり、そこにお金を投じるのである。コンテンツメーカーは、こうした心を忘れてしまうと、ユーザーとの間に溝を作ってしまう事になる。
最近では3Dプリンタで、自作のフィギュアを作ったりする人も出てきていて、今後その動きは拍車が掛かるだろうと言われている。
個人で作る分にはそうした3Dプリンタでも申し分ないだろうが、私は3Dプリンタの登場で商業ベースのグッズ制作が廃れていくとは思っていない。
商業ベースはあくまでもクォリティと実用性を追いかけていけば、需要は必ずある…そう思う。3Dプリンタで制作するものは耐久力などいろいろな面でまだまだ問題があるし、実用面を考えれば不向きだからだ。
このIV号戦車シフトノブはCOMIC ZINで通販されているので欲しいという人はお早めに。
COMIC ZIN 商品詳細通販サイト
http://j.mp/15wjSij
シフトノブは車メーカーによってねじピッチが異なるため、この商品のねじピッチである“M12×1.25”と異なるメーカーの車の場合は、変換アダプターをいろいろ調べて見れば解決できる(ハズ)。
というか、車メーカーはこういう所はメーカー共通にすべきだと思うのだが…。
こうした商品を紹介しておいて何だが、最近はこのシフトノブを交換できる車そのものが減ってきている。マニュアルシフトの車がどんどんと減っているから仕方のない話なのだが、日本は特にその傾向が強い。
オートマチックでも積極的にシフトチェンジする…という流れになれば、シフトノブの需要もあるのだが…デュアルクラッチシステムが普及してくれば、せめてシフトノブ交換という文化は残るかもしれないが、それも今後の動向でどうなるかわからない話である。実に残念な事である。
何はともあれ、マニュアルシフトの車に乗っている人なら、今回紹介のグッズは使えるので、欲しいと思う人はお試しあれ。