Radeon RX500シリーズが発売された。
従来品の置き換えシリーズ
先日、Radeon RX500シリーズの話にちょっと触れたが、正式に発売となったのでもう一度触れてみる事にする。
私的にはRX580に関してもう少し期待していた所があるのだが、結果としては性能的にはRX480と比較して3~6%の性能向上で、オーバークロック製品でも6~9%の向上と、クロック周波数が上がった度合いに見合った性能向上のみであった。
当たり前と言えば当たり前過ぎる結果なのだが、TDPも150Wから185Wと35Wも上昇しているので、消費電力はその分引き上げられてしまった。オーバークロック製品ではそれ以上の消費電力アップになっているので、あくまでも省電力重視という人であれば、リファレンス製品を中心に考えた方が良いかも知れない。
こうした結果から、あくまでもRX580に関して言えば値下がりしたRX480を購入しても大差ない、と考える人もいるかもしれない。
但し、これがメインストリームからローエンドのRX560より下位製品になると事情が異なってくる。
RX560とRX460を比較すると、RX460では一部無効化されていたCompute UnitがRX560は全て有効化されているため、性能向上幅がずっと大きい。
また、RX550に関してもRX450はアーキテクチャが“Polaris”系ではなかったものが、RX550からは上位と同じ“Polaris”系へと移行した為、性能向上幅が大きくなる。
つまり、RX500シリーズはどちらかというと既存製品の置き換え的要素が強く、しかもメインストリームからローエンドといった製品で大きな恩恵が得られる製品群と言えそうである。
第2四半期のVega
こうしたRX500シリーズの登場は、どちらかといと中継ぎ的製品であるため、計画が遅れている時などの当て馬的製品…と言えば聞こえは悪いが、どうしてもそうしたイメージがついて回る。
実際、2017年の初めには、元々2017年の第2四半期にはアーキテクチャ“Vega”が登場する、としていた。第2四半期といえば4月~6月だから、まだ2ヶ月は期間的にはあるのだが、総じて第2四半期というと4月中というイメージがある。
その4月のタイミングでVegaではなくRX500シリーズが投入されたという事は、Vega自体が遅れている可能性が非常に高いのではないだろうか。
Vegaは、HBM2をキャッシュに採用したりするという話があったり、アーキテクチャそのものが刷新されるなど、革新的な部分が多い為、難航している可能性がある。
NVIDIAと違い、ミドルレンジからGPUを発表するAMDは、こういう部分でハイエンド製品がどういった内容で、タイミングが何時になるかなどが非常に読みにくい。
Ryzenで好調なAMDではあるが、こういう部分で足並みが揃わないのは残念な話である。
3万円台というライン
ハイエンド製品を中心にPCパーツを見ていけば、確かにRX500シリーズは残念な製品群ではあるが、ディスクリートGPUを購入するにしても、パーツ価格として3万円台が上限、と考えるている人からすると、RX580含めてRX500シリーズは魅力的な製品という事もできる。
ライバルとなるGeForce GTX 1060は、SLIを組めないという問題もあり、導入しているパーツを利用したアップデートがそれ以上できない問題がある。
一方、RX500シリーズ(RX400シリーズ含めて)は、元々がCrossFireXが可能なデザインになっているし、2枚挿しで上位製品と肩を並べる性能を持つ事をRX480発表時に公表している。
なので、今後のアップデートを考慮し、かつ価格的には3万円台がデッドラインだという人であれば、RX500シリーズは一つの選択肢足りうる製品とも言える。
おそらく、Vegaが登場してもその価格はNVIDIAで言うところの1080クラス、場合によってはそれより上の価格になるだろう事は想像に難くない。
そうした背景で自分の最適な製品をチョイスする必要があるだろう。
私的には現時点で乗り換えるかは微妙である。
GeForce GTX 970と比較すれば、RX580は多少上回る性能を持つとはいえ、今から3万円半ばの価格を投入してRX580を購入するかと言われれば実に悩ましい話になる。
早い所、Vegaの詳細が出てきてくれれば、いろいろ判断もできるのだが…。
今は待つしかないのが辛いところである。