十和田オーディオがアイワ株式会社を設立。
Sony傘下だったAIWA
個人的にAIWAブランドの製品というものはあまり使ってきた事はない。
だが、比較的低価格なオーディオ機器を選択しようとしたら、ちょっと前はAIWAブランド製品を選択肢に入れるという事は頻繁にあった。
こんな言い方は失礼だが、Sony製品に手が届かない時はAIWA、そんなイメージが私にはある。
人によっては三流のSonyというイメージも持っていたかも知れない。
だが、少なくとも2002年から2008年ぐらいの間では、SonyがAIWAを吸収合併していた事もあり、内部で製品展開を行っていたのは事実だ。
製品品質で言えば、基本的にAIWAブランドは決して悪いものではなかったし、基本ジャパン品質である事に違いは無い。
結局、ブランドという顔で人は製品を見る、という流れの行き着く先に、AIWAというブランドが存在していたという事である。
Sonyブランドよりもどうしても下に見られてしまっていた。それが事実であり、製品品質とブランドが必ずしも一致しないという好例のような気がする。
そんなAIWAブランドは、Sonyから十和田オーディオに譲渡され、その十和田オーディオが4月にアイワ株式会社を設立し、AIWAブランドを復活させる事となった。
長らく製品売り場で見る事のなかったAIWAブランドが、再び姿を現す事になる。
日本国内向け
展開される製品は、基本的に日本国内向けを想定しているようで、まずは4Kテレビ、ポータブルハイレゾプレーヤー、Bluetoothスピーカー、レコードプレーヤー、CDラジカセなどを順次発売していくようである。
意外に感じたのが、レコードプレーヤーの発売だが、最近はレコードやカセットテープという昔のデバイスが見直されている事もあり、需要があるようである。
レコードプレーヤーは、結構昔からオーディオマニアの間では需要があり、CDよりも遙かに広い再生帯域を持つ事がその需要を支えていた。ただ、再生する針を生産するところが現在ではあまり残っておらず、その中でも地道に製造を続けていた日本精機宝石工業(兵庫県新温泉町)が、気付けば世界的人気メーカーに成長していた、なんて話があるくらいである。
また、カセットテープは最近の若い人に人気が出てきた分野で、再生する音楽を容易にスキップできない(できるが時間がかかる)事が逆に人気を呼んでいる要因だとする人もいる。
アナログ的な扱いがウケている、という事かもしれないが、何でもかんでも便利になれば良いというものではない、という事かもしれない。
そうした所に着目してのAIWAブランドのレコードプレーヤーなのかはわからないが、見るべきところは見ている、というラインナップなのかもしれない。
妥当価格
AIWAと聞くと、やはりイメージとしてはリーズナブルという言葉がどうしても浮かんでしまう。それは私の中にもやはりSonyブランドとの比較というものが息づいているからかも知れないが、それこそがブランドの力というものである。
AIWAが国内販売予定の4Kテレビにおいて、55型で138,000円という価格設定は、激安ではないものの、新製品価格としては妥当な設定ではないかと思われる。
また、ポータブルハイレゾプレーヤーにしても、19,800円程度を予定しているとの事で、こちらも妥当な価格設定のように思える。
激安ではないが、高くもない。おそらく、市場に出た時の価格はもう少し下がってくるかもしれないが、日本国内製品としての価格設定としては無理のない価格のように思える。
ただ、日本国内製品といいつつも、製造は日本国内ではない。基本は中国の協力工場ベースで製造する事になると考えられていて、品質管理を日本国内で行うという事と想定される。
最近の日本の家電は、ベンチャー企業が展開している高付加価値家電か、もしくはベンチャー企業発の低価格家電の二極化が著しいが、UPQの4Kテレビ問題があったりと、会社規模が小さいが故の品質管理が問題となるケースがあったりする。その点、AIWAブランドはUPQ等と比べれば事業規模は確保されていると考えられる為、品質面では安心感がある。
一定品質でそこそこの製品であれば問題ない、と考えるなら、AIWAブランドは十分アリだと思う。
あとはブランドをどう考えるかだけの、どちらかというと消費者側の問題だけである。