発売後2週間の価格変更で市場は混乱。
AMD、Intelを超える
3月にZenマイクロアーキテクチャを採用したRyzen7を発売し、その後もサーバ向けにEPYC 7000、ハイエンド向けにRyzen Threadripperと次々と製品を投入したAMDだが、ついにIntelをCPU販売シェアで追い抜いた事が判明した。
ドイツのオンライン通販Mindfactory.deが、毎月CPUの販売データを公開したが、2017年3月から8月までのここ6ヶ月における両社のCPU販売台数を見てみると、3月はAMDが27.6%でIntelが72.4%だったものが、8月にはAMDが56.1%でIntelが43.9%と、ついにAMDがIntelを超えるという状態になった事が明確となった。
AMDがIntelを超えるというのは、直近10年では初めての事で、今年のAMDがいかに絶好調かという事がよくわかる。
また、このデータで見るとAMDのCPUの売れ方がIntelとは全く異なっており、AMDはラインナップが全体にわたって均一に売れているのに対し、IntelはCore i7-7700Kのみが突出して得れているという状態。
おそらく、AMDの製品の方が性能を明確に切り分けられている事が消費者側にとってわかりやすかった事がそうした状態を作ったのかも知れないが、どちらにしてもIntelは商品ラインナップのバランスが悪い事が明確になった形。
全世界を対象に見てみれば、実にAMDは堅調な推移を見せていると言えるだろう。
国内では…
全世界的にはそうした推移で見事なまでにバランスの取れた売れ方をしているAMDだが、一方国内ではそうとも言えない。
先日から私もこのBlogで書いているが、とにかく発表された米国価格に対して国内販売価格が高すぎるという問題が出ていて、特にRyzen ThreadripperはIntelの対抗品と同じ価格に揃えられたのか、異様に高く設定されてしまった。
それ故、個人輸入に走る人がかなり出たようだが、その2週間後には価格改定が入り、最上位品で一気に2万円程度の値下げが実施されてしまった。
これによって、販売店も消費者側も混乱する事となり、買い控えしていた人は値下げ後価格で購入できたかもしれないが、初物に飛びついた人は納得がいかないという状況を生み出した。
一部店舗では、こうした事態に対して値下げ前に購入した人へレシート等の準備をするよう独自に告知を出し、何かしらの準備をする体制を促していたが、この度、正式にAMD JAPANが値下げに伴うユーザー対応を行う事をTwitterで表明した。
詳細については翌日である7日中に正式発表するようだが、恐らくは返金対応などが実施されるのではないかと予想される。
最初から吟味すれば…
今回の騒動は、間違いなく最初の価格設定のミスであろう事は想像できる。
Ryzenの時にはそうした問題も出なかったにもかかわらず、Threadripperでこうした問題が噴出し、そしてその後Radeon RX Vega56でもこうした問題が発生した。
Vega56に関してはThreadripperのような対応が正式表明されていないが、Vega56は発売翌日には5,000円も値下がりしたという問題もあり、こちらも今後の説明があるのかが気になる所。
とにかく日本国内では販売価格が非常にアテにならないという後味の悪い対応をしている。
私個人で考えるなら、Vegaシリーズの国内価格はそもそもが価格設定ミスをしているように思えてならない。
米国ではVega64が499ドルという設定になっているにも関わらず、国内販売価格は同じ499ドルのGeForce GTX 1080よりもずっと高い価格で販売され、Vega56も米国では399ドルという設定だが国内販売価格はGeForce GTX 1070よりずっと高い価格に設定されている。
まだ市場としてこなれていないから…という理由かもしれないが、ライバルより有利な条件がほぼ揃っていない製品を高価格で売るというのは、そもそも売れないものを販売しているに等しい。
徐々に市場内で価格がこなれてきて、ライバルとの価格差に問題のないところに落ち着くのかも知れないが、最初の印象は最悪である。
何はともあれ、まずはThreadripperの対応が公式にどうなるのかを見定めていきたい。