私の前々職はゲームやアニメ、テレビ・ラジオ、CD・DVDなどのコンテンツを制作したり、関連商品を作ったりする業界の一企業会社員だった。
売れないプロデューサーをやっていたワケだが、業種的な問題なのか常に人手不足で、労働そのものが激務である事が普通だった。
一日に20時間働いてたなんて事はザラで、土曜日曜関係ないシーズンもあり、よほど好きでなければ続かないような職種だった。
コンテンツを実際に開発したりする仕事と、制作する仕事というのは、言葉的に似ているが、内容はぜんぜん異なる。
制作とは、実作業をしないケースもあり、簡単に説明すると雑誌編集によく似ている。
もちろん、実際に開発業務を手がけるケースもあったりするので、全く中身にタッチしないなんて事はない。
要するに、多才なスキルを要求される仕事でもある。スキルがなければ制作の管理という業務に就くことになるため、それはそれで結構忙しく、結果的にスキルがあろうとなかろうと激務の中に埋もれるのは間違いない。
だが、私はよほど好きだったんだろう。
結局、親の問題が無ければ多分辞める事は無かっただろうし、当時の知り合いから未だに連絡をもらったりして、企画にちょっとだけ参加したりしている。
そんな私ではあるが、今の製造業の同僚からこんな質問をされた。
『自分の好きな事、趣味を仕事にするって夢だけど、実際はどうなの?』
この部分、実はかなり難しい問題なのである。
殆どの人は、自分の生活の中に娯楽という部分を持っている。
仮に持っていないとするなら、持ちたいと思っているハズだ。
その自分の好きな娯楽を、享受する側から供給する側に転じたとき、人は好きだったモノを好きで居続けられるかどうかという事に関して、私は万人が好きで居続けられないと思っている。
娯楽、いや趣味と言い換えた方がいいかもしれないが、趣味というのは生活における仕事とは切り離して考えた方が楽しいのは間違いない。
たとえば、マンガを描く事を趣味としている人が、締め切りという当然やってくる納期に追い立てられたなら、その人は仕事と割り切ってマンガを描かねばならない。
作曲が趣味の人が、音楽業界で働いたとするならば、やはり同じように納期に追い立てられながら、イメージを必死に曲にしなければならない。
この、追い立てられる感覚に耐えられる人は、趣味を仕事としても結果的に長続きできる傾向があるだろう。
しかし、追い立てられる感覚に追い込まれてしまい、逃げ出したくなる人は趣味を仕事にする事は多分向いていない。
仕事は仕事、趣味は趣味と割り切って別モノにしてしまった方が、人生が苦しいものにはならないだろう。
好きだからそれを仕事にする、というのと、趣味を仕事にするのとは意味が違う。
仕事として好きという事は、それが趣味という事とは違うのである。
私は自分の娯楽や趣味を前々職の時に仕事にしていたわけではない。
正直、アニメ・マンガはキライではないが、特別好きという事はない。
ただ、ゲームだけは趣味の一つと考えられなくもない。
だから前々職の時、ゲームの制作に携わった際に結構苦しんだ。
ただ、耐えられなかったワケではなく、楽しいハズのゲームの裏側を知ってしまい、そのギャップに悩んだ時期はある。
たとえば、そのゲームに関するお金の流れであるとか、そういうコンテンツを享受する側では知らなくてイイ事を全て知ってしまうワケであり、楽しい事の裏側には知らない方が幸せな事が多々ある事をイヤという程見た。
このような状況におかれても、その仕事が好きと言えるなら、その人は自分の趣味を仕事にする事でかなり楽しい人生を送ることができるだろう。
できなければ、自分の趣味はやはり一線を引いて趣味にとどめておく方がいい。
しかしながら、覚悟は出来たという人で、では実際にどうやればそういう業界に行けるんだろう?と思った事はないだろうか?
私は人と人とのつながりの中で、そういう業界に入っていくキッカケを得られたが、普通はなかなかそういうチャンスはない。
だが、実はこの閉ざされた業界も人材募集は常に行われている。
ラクジョブ
http://raku-job.jp/
ラクジョブはそんなアキバ系の仕事をまとめたサイト。
かなりの件数がまとめられている。
つまり、それだけ求人が多いという事だ。
激務である事は間違いないし、金額面でも厳しい業種もある。
それでも趣味を仕事として楽しく生きていきたいというのなら、覚悟を決めてアタックしてみるのもいいだろう。
繰り返すが、私から言える事は、趣味を仕事にするという事の難しさに覚悟が必要だと言う事。
それさえあるなら、もう突撃しかあるまい。