12月17日発売のPS VITA

　PS VITAの発売日が12月17日に決定した。
　これ自体は大凡の予測と大きくズレない結果で、やはり年末商戦に間に合う形にもってきたか、という所。
　まぁ、問題はどれだけの数を揃えられるのか？ というところになり、初回は争奪戦になる事も予測できる。
　しかし、私は本当の問題はその後に来るのではないか、と今回発表された内容で考えてしまったりする。

　今回、3G通信キャリアがdocomoに決定した。
　これも予測できる話だったのだが、その通信部分の内訳を知ると、本当にコレでよかったのか？ と疑問を感じずにはいられない。
　どう考えても、今までのビジネスモデルでは成り立たない事を予測して、新しくユーザーから金銭を搾取する方法を考えた、としか思えない所がいくつかあるのである。

　docomoがPS VITAに提供する3G通信は2種類。
　一つがデータ定額プランで、もう一つがプリベイトデータプランとなる。
　データ定額プランは、docomoの通常のプランと同じとの事なので、使用パケット量で金額が変動するプランを採用するならば、サイトで調べるかぎり、割引不使用で定額データプランスタンダード2だと月額最大9,765円(79,367パケット未満なら月額3,500円)、2年縛りの定額データスタンダード割という割引を併用する事で月額最大5,985円(79,367パケット未満なら月額2,500円)となる。もしくは完全定額料金プラン(使用パケット量での変動なし)を採るならば、月額9,240円、同じく2年縛りの定額データスタンダード割という割引を併用する事で月額最大5,460円となる。詳しくはdocomoの関連ページで確認して欲しい。

　そしてもう一つのプリベイトデータプランは、今回docomoがPS VITA向けに新規で用意したプランで、2種類存在する。
　一つが20時間分の通信が可能で980円の“プリペイドデータプラン20h”、もう一つが103時間で4,980円の“プリペイドデータプラン100h”となる。
　しかしそれぞれのプランは使用できる期間が決まっており、“プリペイドデータプラン20h”なら30日間、“プリペイドデータプラン100h”なら180日間でその使用期限が切れる。これら2種プリベイトプランは一定期間内にドコモの専用Webサイトにアクセスする事で更新手続きが可能で、更新手続き期間は通信可能期間に14日間の猶予をプラスしたものになる。つまり“プリペイドデータプラン20h”なら44日以内、“プリペイドデータプラン100h”なら194日以内となる。ただ、契約更新にはこれとは別に、契約事務手数料として2,100円も必要となり、結局980円プランであっても更新時に3,080円かかってしまうという、実に罠のようなプランである。
　さらにプリベイトデータプランには通信速度の制限もあり、通信速度は受信時最大128kbps/送信時最大64kbpsとなる。“プリペイドデータプラン100h”は103時間のうち3時間のみ、受信時最大14Mbps、送信時最大5.7MbpsのFOMAハイスピード通信が使用できるが、これのうま味がどこまで享受できるかはかなり微妙と言わざるを得ない。

　まぁ、予測していた所から大きく外れない内容ではあるものの、プリベイトデータプランがあまりにも使えない内容なのが一番の問題。
　“プリペイドデータプラン20h”が980円なのは理解するが、更新する度に更新事務手数料として2,100円必要という時点でもう使えないと感じるのは多分私だけではないはずだ。
　一応、3Gモデルの初回生産50万台に“プリペイドデータプラン100h”+事務手数料2,100円が支払われたdocomo UIMカードが同梱されるとの事だが、3Gデータ通信のうま味を感じることができない現状で3Gモデルを選ぶ人がどれだけいるのかがかなり微妙だと言わざるを得ない。
　このプラン発表を見る限り、要するに“おまえらWi-Fi使えよ”とSCE自身がユーザーに言っているようなものではないか？ と思うのだが、どうだろう？

　まぁ、その他にもPSPの既存UMDソフト対応についてや、バッテリー使用時間等、今回発表された内容は、コチラの記事などを参照して欲しいのだが、個人的に“？”と思うような部分が多々あったりする。あとメモリーカードの価格とか…。
　ハードウェアに魅力があっても、Wi-Fiで利用する事前提としか思えない通信設定やその他いろいろの事で、個人的にPS VITA熱は一気に冷めてきたかな、という感じ。
　まぁ…購入検討はするけど…。
　似たような時期にニンテンドー3DSのNEWラブプラスが発売され、それの本体同梱のコンプリートセットが33,000円強のプライスという事を考えると、PS VITAを急がず、今は限定品に走る！という人も出てくるのではないかとちょっと思ったりする。

　3G通信は、今やスマートフォンなどの利用でその回線圧迫が酷い状況で、定額制がなくなるのではないか？ と危惧される所もある。
　このPS VITAの登場でdocomoが定額制を辞めてしまうという事態が起きると、大部分の人が想定外のマイナスになってしまう可能性もある。
　個人的にはこんなプランにするくらいなら3G通信そのものが不要と思えるし、その3G通信によって回線が圧迫 → スマートフォン含めて定額制が廃止、という流れが起きてしまうくらいなら、3G通信不要論を唱えたいところである。

　なんとなく…どこかのタイミングでSCEはこのプランの見直しをしなければならない状況になるのではないかと思えてくるが…今はまだ見えない闇の中、といったところだろうか？