ニンテンドー3DSの本体拡販の一つのキーとなったNEWラブプラスが、ゲームの進行において重大な不具合があると発表されたのが3月13日。
あれから2ヶ月が過ぎ、対応はどうしたんだろう? とちょっと思っていたのだが、ようやくコナミから公式に不具合修正更新データの配信予定が発表された。
それによると2012年6月中と8月末~9月初旬の計2回にわたって更新データが配信される予定のようで、その内容は以下のようになるようだ。
---------------------------------------
■「更新データ」配信開始予定
第1回:2012年6月中
第2回:2012年8月末~9月初旬
■第1回で更新される主な内容(予定)
進行不能等、各種不具合の改善ならびに下記記載項目の改善が主な更新内容。
“カノジョ”とのスキンシップやメール及び電話などコミュニケーションの改善
タッチ操作の反応の改善
「ラブプラスTOOLS」で提供された「引継ぎセーブデータ修復」 を
「NEWラブプラス」で自動的に行えるように改善
他
■第2回で更新される主な内容(予定)
各種不具合の改善ならびに下記記載項目の改善が主な更新内容。
一部高速化による操作性の改善
ToDoイベントの改善
スケジュール入力画面の改善
他
---------------------------------------
詳細は公式サイトで確認して欲しいが、これらの修正更新データ配信が可能になったのは、任天堂がニンテンドーeショップにて修正データの配信を可能にした為。
しかしながら、NEWラブプラスの修正の場合は実に致命的な問題であり、こうしたサービスが存在しないと、ソフト全回収の後に修正版をユーザーへ提供というのが今までの常套手段だった。配信、という手段を使う事でそうした事を回避できるワケだが、果たしてユーザーからすると、そういう対応で納得するものなのだろうか?
修正されないのは大きな問題だが、NEWラブプラスを購入した人が、配信データで修正できるからそれでOKと納得するかどうかは、この際問題にならないのだろうか?
メーカー側からすると、無償配信しているという言い分かもしれないが、ユーザー側は少なくとも自宅の通信インフラを利用したり、ニンテンドーWi-Fiが可能なポイントで通信する必要があり、そもそも手元にあるソフト単体が修正されるワケではない。
この辺りをどう考えるか? という部分が、今メーカーのモラルを問う部分ではないかと思ったりする。
通信がここまで発達していなかった頃は、全回収による全交換が当たり前だった。
それしか手段がなかったわけだが、ユーザー側からすると全回収による全交換は正常製品が手元に残る訳で、欠陥品を手元に持ち続ける事を回避できるワケであり、そこに製品への安心感があった。
しかし、製品が“モノ”から“データ”へと移り変わっている昨今、こうした回収問題をデータ配信でどうにかしてしまえる時代になったワケで、手元にある“手に触れることのできる商品”が欠陥であっても、それを正規の製品として稼働させてしまうデータを後から手に入れれば、欠陥商品が正常製品へとデータ上では化けてしまう。
しかし、実際には“手に触れることのできる商品”は欠陥であり、その事実は全く変わらず残ってしまう。
それを是とする事ができるのか?
ゲームというものの捉え方が変わってきている側面もあるが、メーカーはこうした配信サービスがある事に安心感を憶えてしまうのは危険だと私は考える。
まぁ…私の考え方が古いのかもしれないが、消費者側なら欠陥品を持ち続けたいと考えるかどうかはかなり微妙な問題ではないかと思う。
トレーディングカードが流行った時、一部のメーカーが出したカードの初期ロットの一部がエラーカード(印刷ミスなどによる欠陥)となったが、逆にそのエラーカードの数が極端に少ない為、それがレアリティを帯びた…なんて事もあった。
これは紙幣や硬貨でもよくある事だが、コレクターからするとそうしたエラー品がレアリティとなるケースは少なくない。
しかし、実際問題としてニンテンドー3DSによる修正更新データというのは、カートリッジのROM内に修正パッチを当ててプログラムの改竄ができる仕様なのだろうか?
あくまでも3DS本体のフラッシュロム内(この場合SDカードかもしれないが…)に修正データを入れ、起動プロセスの変更によってゲームプログラムの修正を行うという仕様なら、製品は結局欠陥のまま、という事になる。
基本、あのモノとして形の残るカートリッジ内のプログラムが改竄されないかぎり、製品としては欠陥である事は残り続ける。
Aさんは配信プログラムを本体内にもっているから初版のNEWラブプラスカートリッジを入れても修正されたデータでプレイできるが、Bさんの本体にAさんの初版NEWラブプラスカートリッジを入れてプレイすると修正されていない状態となる…という事であれば、製品そのものの欠陥性は何もかわらない。
3DSの配信データは、カートリッジROM内のデータそのものを改竄できるのか? 否か?
論点はそこに尽きると思うのだが…。
あと修正されたバッケージは発売されるのだろうか?
そこも気になる所である。
噂では店頭に残っていたゲーム本体を回収した、とかいう話のようだが、もしそうなら修正版が再販される事になる。
再販となると…やはり初版を持っている人はその存在が気になるわけで…製品としての良否が配信データでどう変わるのか? を気にする人が出てくるのではないか?
こうした配信データによる修正パッチは、これからも増える事はあっても減る事はないように思えるだけに、そうした取り扱いに一定のモラルがないと、際限がなくなるように思えてくる。
果たして、ニンテンドー3DSの配信データは、どういった方式によるものなのか?
ちょっと気になる所である。