ちょっと前の話題になるが、Intelが手のひらサイズのミニPC“NUC”を発表した。そしてその発売が12月上旬という事に決まったようである。
このNUCは、Next Unit of Computingの略で、10cm四方の基板にIvy Bridgeコアを載せた手のひらサイズミニPCの事。搭載されるインターフェースはUSB 2.0やHDMI、そして2モデルによって違いが出るが、ThunderboltやギガビットLANを備えている。要するにノート向けパーツをデスクトップに使って、よりコンパクトなデスクトップPCにしようというコンセプト製品である。
とこの話を聞くと、日本ではあまり珍しい話に聞こえない。
というのは、もう既にそうしたニーズでデスクトップを作っているメーカーがあるからである。
古くはイーレッツというメーカーがBe Silentという製品を出している(既に販売はしていない)し、今でもエプソンダイレクトからSTシリーズという小型PCが販売されている(最新のSTシリーズはST160E)。
ただ、今回のIntel NUCはさらに小さな筐体になっているのが特徴で、10cm四方でCore iシリーズのCPUを搭載したPCはそうそうない(絶対にないとは言わない)。
先程2モデルあると言ったが、この画像の上モデルがThunderbolt搭載の型番“DC3217BY”で、本体色が黒で天板が赤というモデル。
下モデルがギガビットLANを搭載した型番“DC3217IYE”で、本体色は黒というモデルである。見て分かる通り、Thunderbolt搭載型はHDMIが1つしかない。これはThunderboltが映像出力機能とデータ通信機能を兼ねているため。
10cm四方だと、デスク上でもちょこっと載せておくぐらいで邪魔にはならないだろうし、モニター裏に固定できれば一体型PCにもなる。使い方としてはエプソンダイレクトのST160Eなどが参考になるのではないかと思う。
このNUCは基本的にベアボーンキットとして提供される。
要するにCPUとマザーボードと筐体はあるが、メモリとストレージ、そして外部電源(アダプターなど)は別売になっている。電源が別売になっているのは、国によって使用している電気の仕様が異なる為であり、形状が同じで入力に合わせた電源を用意しろ、という事だろう。
価格としては、300~320ドルという事らしいが、日本の場合は多分ドル換算した金額より高くなるのではないかと予想する。
NUCの細かい仕様は、TDP 17wのモバイル版Core i3-3217U(2コア1.8GHz)、ビデオはプロセッサ統合のIntel HD Graphics
4000、SO-DIMMスロットが2基 (最大16GB)となっている。さらに拡張用でmSATA対応 mini PCIe
スロットと、ハーフハイトのmini PCIe(おそらくワイヤレスネットワークカードを想定したもの)を備えている。
一般的と言えば一般的な仕様だが、これらが10cm四方のPCに搭載されているという事が重要なのである。
これにSSDとメモリを搭載、あとはUSB対応の無線ドングルを付けてやれば、キーボードやマウスもコードレスで使用できて、机上はかなりスッキリするだろう。
消費電力だが、外部電源が19Vを必要としているのだが、65wくらいになる感じである。もうちょっと省電力化してくれれば、ファンレスでもいけるんじゃないかと思うのだが、この辺りは日本の技術が入ればもっと高性能化しそうな気がする。
逆に、同じプラットフォームでAMDが製品展開すると、もっと面白い事になる。Trinityを使った同プラットフォームの場合は、もっと映像出力が高性能化するだろうし、ホームサーバ用途で考えても使えそうである。
ニーズは昔からあった。
ただIntelがそこに注力していなかっただけで、日本企業では古くから展開していた分野だが、ここにきてちょっとしたウェーブが来そうな感じである。
いささか真新しさには欠けるが、業界としてもっとやれw