スタイリッシュなカラーリングとデザインで日本のPC界に旋風を巻き起こし、欲しいPCとして常に人気の上位にあったVAIOブランド。そのVAIOがついにSonyの手を離れる事になった。
売却先の日本産業パートナーズとは…
SonyがVAIOブランドで展開してきたPC事業を売却する日本産業パートナーズという会社、おそらくあまり知られていないと思う。
元々はみずほフィナンシャルグループ傘下であり、日本型のプライベートエクイティファンド運営会社という位置付けだった。
現在はみずほファイナンシャルグループは株式の売却等で関連会社に該当しないという立ち位置になったが、基本的には日本企業の事業再編に際して事業成長の為の資本や経営支援を提供する企業である。
今回、Sonyは日本産業パートナーズにVAIOブランド含めたPC事業を売却し、その日本産業パートナーズは新会社を設立、SonyのPC事業を引き継ぐ事となる。
元々、噂はあったし、予測もできた事だったが、私は自分の中で「そうなって欲しくない」という気持ちから「まぁ、大丈夫だろう」ぐらいに思っていたのだが、そう甘い話ではなかったようで、本日15時過ぎに正式発表となってしまった。
私のVAIO歴
私が初めてVAIOを手にしたのは随分と前だったように思う。機種はVAIOノート505(PCG-Z505)で、VAIOノートの中でも名機と言われていた。
当時のノートPCとしては見かけ倒しでもなく、それでいて薄く速い、理想のノートPCだったように思うが、何より目を引いたのは、そのバイオレットカラーだったように思う。
その、初めてのVAIOからしばらくして購入したのが、VAIO U3である。
特徴なのはとにかく小さいという事。厚みはあっても大きさそのものが小さいという、今まであまりないタイプの形状である。
このU3のCPUは、今はなきTransmetaのCrusoeという、コードモーフィングによってx86が動作するCPUを搭載していた。Crusoeはとにかく当時としては省電力CPUで、小型PCが選択するCPUとしてある種理想的であり、ただやはり処理能力はちょっと問題あり、というものだった。
U3の後継機にU101というのがあるのだが、コイツが名機だった。今でもこの形のPCは欲しいと思えるぐらい魅力的なPCだったが、世間ではイロモノと言われていたのかも知れない。
その次に購入したVAIOは、VAIOノートZ(VAIO Type Zではない)というノートPCでそのスタイリッシュなスタイルがオシャレなPCだった。
Coreシリーズの前身にあたるPentium M搭載で、使いやすいキーボード、高精細なモニターを持つ、扱いやすいノートPCである。
スタイリッシュという言葉はVAIOノートZの為にある、と言ってもいいかもしれないし、今現時点でこのデザインを持ってきても、古くささを感じるどころか、今のノートPCの方が時代後れに見えてくるかもしれないぐらい美しいVAIOだった。
そして昨年10月に購入したのがVAIO Duo 13である。
サーフスライドと呼ばれる独自機構によってタブレット型からノートPC型に変形する2 in 1である。
これについては新しいPCなので詳細は省く。
これらのノートPC遍歴の中に時にはThinkPadが入った時期もあるが、ノートPCは概ねVAIOを使ってきたように思う。
VAIO自体が消えるわけではない
今回の売却で、Sony直轄のVAIOブランドは消滅する事になる。が、それはVAIOの終わりを告げたわけではない。
IBMのThinkPadがLenovoに引き継がれたように、新会社がVAIOを引き継いで盛り上げていく…そういう流れもあり得るわけだ。
そこには、新機種もあり得るだろう。但し、Sonyテイストがどこまで入るかはわからない。或いはまるっきり入らないかも知れない。Sonyが撤退するのだから、関与しない可能性の方が高いわけで、それは当たり前の話である。
ただ、新会社設立当初は立ち上げと円滑な事業移行をサポートするために、Sonyから5%の出資を行なうという事だから、場合によっては何かしらのテイストが残る可能性もある。
それは今の時点では全くわからない話だし、今は祈るのみである。
私は、このような事態となってしまった事は残念に思いつつも、最後にVAIO Duo 13を購入した事を良かったと思っている。
しかも、VAIO Duoシリーズは、2014年春モデルには追加される予定がないようで、まさに私の購入したモデルがラストモデルになるようだ。
サーフスライド機構を持つ、世界的にも変わった2 in 1、しかも現時点で唯一Instant Go対応機という、Sonyテイスト満載の稀に見る名機を手にしたと思っている。
モノ作りとして昔のSonyらしさをようやく取り戻したと思っていた矢先のVAIOブランド売却だが、それによって他のSony製品がより活性化する事を期待しつつ、他メーカーへと転出するVAIOの今後が良い方向に行くことを切に願う。