ニチブツ…つまり日本物産は、ゲーム産業の黎明期に数多くの名作を輩出したメーカーである。
ニチブツと言えば…とこの後に続く作品名は、おそらく人によって様々な言葉が出てくるのではないだろうか。
ニチブツと言えば…
私は断然「クレイジークライマー」である。
まさにクレイジーな内容で、あの独特のシステムを持つタイトルはその後一作も生まれていない(続編などはあるが…)。
レバー2本を使い、右腕と左腕を操作してビルをよじ登る…というただそれだけの内容なのだが、これがまた熱くなる。
何しろ、その登っていく主人公をひたすらに妨害する輩がいて、植木鉢は落とされるわ、鳥はフンを落としてくるわ、ビルの住人からは窓を閉められるわ…と、そうした災難を潜り抜け、ビルの屋上をただひたすら目指すのである。
ゲームの内容はこれだけ。たったこれだけなのだが、妙な中毒性がある。
1980年にクレイジークライマーが登場し、その8年後の1988年に遂に待望のクレイジークライマー2が登場するが、残念な事にこのクレイジークライマー2はあまり評判がよくなかった。前作はとんでもない人気を誇ったのに、である。
理由は単純で、クレイジークライマー2はその難易度があまりにも理不尽で、ミス判定の厳しさがあのFC版スペランカー以上とも言えるものだったからだ。
結局、クレイジークライマー2はその後コンシューマ機のいくつかに移植はされたものの、この評判失墜の煽りを受けてか、初代クレイジークライマー含めて、大きな動きでのコンシューマ移植はあまりされなかった。
残念としか言いようのない結果である。
ほとんどの人はテラクレスタ
ニチブツといえば…多分ほとんどの人はテラクレスタというかもしれない。
テラクレスタはニチブツが世に送り出したシューティングゲームの代名詞的タイトルであり、主人公機の合体というファクターを持ったタイトルである。
テラクレスタ自身は、クレイジークライマーと同年に発売されたムーンクレスタの続編として作られており、ムーンクレスタファンはそのままスライドしてテラクレスタをプレイしていただろうと思われる。
このテラクレスタ、どんなにプレイヤーが連射に長けていたとしても、そのショットの感覚は常に一定という、実にクセのあるゲームだった。高橋名人の16連射が炸裂しても、決していつもよりたくさん撃ったりはしないのである。
テラクレスタもコンシューマ機に移植されたタイトルだが、こちらは比較的良好な状態で移植されたと言える。驚きなのは、イギリスのImagineからも移植作品が発売されていて、なんとあのCommodore 64(コモドール64)にも移植されている。
Commodore 64に関してはこれだけでも面白い話が山のようにある。当時の欧米における低価格ホビーパソコンの座をかけて、今でも時々その名を聞くAtariやAmiga、そしてAppleなどが席巻する話のだが…それはココでは省いておく。
名作を多数輩出しているニチブツだが、実は一番数多くリリースしたジャンルは、アダルト系含めた麻雀やアダルト系ゲームだったりする。
まぁ、よく出したね、ホント…
ゲームセンターに行けば必ず置いてある、というぐらい、ニチブツのアダルト系麻雀ゲームは一般的だった。
1981年から2005年までの24年間で総計200タイトル以上はこのジャンルをリリースしたというのだから、たまげたものである。
もっとも一般的だったのは、脱衣系麻雀と呼ばれるタイプのものだが、このタイプだけでもおそらく150タイトルは下らない。
だから、先程「ニチブツといえば…」とその後に続くのはほとんどの人はテラクレスタだろう…なんて書いたが、多分、多くの人は「ニチブツといえば…脱衣系麻雀(お気に入りのタイトルがあればソレ)」となるのかもしれない。
当初は稚拙なCGのみで展開していた脱衣系麻雀だが、1990年を超えたあたりから、筐体内にビデオデッキを内蔵し、実写のAVと麻雀をスーパーインポーズで合成し、ゲームで勝てばビデオを見られる…なんてシステムを投入している。なんかもう、バカげたアイディアに真剣に取り組んでいたメーカーというイメージである(もちろん良い意味で)。
1990年の終わり頃からはそうした映像もビデオからLDへと乗り換えたり、と、当時の時事とあらゆる技術を盛り込んで、この手のジャンルの頂点に君臨していたと言える。
まぁ…此の手の話を熱く語る人がネット上にいるので詳しい話はソチラで確認してほしい。
ここからが今日の本題
で、そんなニチブツのゲームだが、ライセンスは当然ニチブツが所有している。
ところが、ハムスターというメーカーがニチブツが所有するゲーム等に関する権利の譲渡を受ける契約を締結したと発表した。
ライセンスの数、なんと400以上というから凄い。
ハムスターは、ニチブツのゲームをPlayStation Storeのアーカイブスや、任天堂のバーチャルコンソール等で配信してきた会社だが、今回の譲渡でより本格的に制作、配信するようだ。
また、ハムスター自身が事業として進める事のできない分野(コレって…やっぱアダルト系か?)に関しては、積極的にライセンス事業を進めていくという事だから、場合によっては古き良き時代の脱衣系麻雀のシリーズが復刻、あるいは新展開…なんて事もありうるのかもれしない。…いや、多分ないなw
最近の音楽もそうだが、昔の曲の方が好きという人もいたりする。ゲームも同じで、昔のゲームの方が面白いという傾向がある。
昔のゲームはビジュアルこそ現代のゲームに叶う事はないが、その中身に関しては確かに洗練されているものも多い。ハムスターはおそらくそうしたニーズに訴求していくつもりなのではないかと思う。
個人的な話ではあるが、私としてはぜひともクレイジークライマー2の難易度調整版を発売して欲しい。あのゲームは難易度こそ問題はあるが、そのゲーム性は決して悪いものではないと思う。ただ、クリアするよりも時間経過による強制クリアの方が簡単という事実もあるので、そのあたりは難易度調整と強制クリアの仕組みを見直す必要はあるかもしれないが、クライマーを襲うトラップの多彩さなどは、あのゲームをより面白くする要素である事に違いはない。しかもPS系なら、専用コントローラーなどがなくても、操作できるというメリットを活かして欲しい。
繰り返すが、ぜひ、クレイジークライマー2の難易度調整版を検討してほしいところである。
ニチブツと言えばやはり、ドッキング失敗が主な死因のムーンクレスタ、なかなか5機揃わないテラクレスタが印象強いです。
個人的に忘れ難いのが平安京エイリアンですかねー。
ボンバーマンでも良くやるんですが、自ら袋小路を作り出したときの絶望感にのたうち回りましたw
私はあまりやらなかったんですが、クレイジークライマーもニチブツだったのかー。
寂れた温泉宿のゲームコーナーなんかで、ニチブツのエロ麻雀を見かけたことも結構あったけど、流石にあの当時の私には(年齢的に)プレイ出来なかったなぁw
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平安京エイリアンは、SFC版が日本物産ですね。アーケード版は…電気音響というメーカーが発売元だけど、この会社は村田製作所に1999年に吸収された(つまりライセンスは村田製作所という事になる)。
ちなみに、ムーンクレスタの基盤はナムコのギャラクシアンと同じ基盤を使っていて、背景の宇宙に光る星はギャラクシアンと全く同じものが使われているそうです。
当時は、アーケード基板に汎用品とかはなかったんだけど、黎明期という事もあって、開発サイドでは横の繋がりでこういう事が起きてたんだろうね。
どっちにしても、コアなゲーム以外で有名な作品はアダルト麻雀って事だろうね(爆)
これだけは誰に聞いても同じ事言うだろうなw
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