タムロン初となるマイクロフォーサーズ用レンズが発売される。
発売は6月26日。価格は65,000円(税別)となる。
ようやく出てきた製品
2013年1月にタムロンから開発発表があった製品がようやく発売される。
発売されるのは「14-150mm F3.5-5.8」というレンジのもので、35mm判換算で28-300mmをカバーする。
特徴はズーム比10.7倍と高倍率レンズでありながら鏡筒径を小さく抑え、フィルター径52mmを実現しているところにある。
同じカバーレンジの製品でいうなら、オリンパス製、パナソニック製共に58mmと、ライバルより6mm小さくしている。これで光学特性が変わらなければ、随分とコンパクトなレンズと言う事になる。
本製品は、開発発表時に手ぶれ補正機構である「VC」を搭載する、としていたのだが、結局発売される製品には非搭載となった。非搭載となった理由が、フィルター径52mmとした事が影響しているのか、はたまた価格が高騰する事を嫌ったのかはわからないが、本体内に手ぶれ補正機構がないモデルでは扱いにくいかもしれない。
またAF駆動にはステッピングモーターを使用している為、静粛性には優れているし、LD(異常低分散)レンズ1枚にAD(異常部分分散)レンズ2枚、ガラスモールド非球面レンズ2枚、複合非球面レンズ1枚を含む13群17枚という構成であるため、機能的にはクラストップレベルと言えるかもしれない。
それと特筆…という程ではないが、150mmの最大望遠時の最短撮影距離が0.5mであるため、かなり被写体を大きく撮影できるのは面白いかもしれない。
パナ純正14-140mmを超えられない?
今回発表された本製品は、パナソニック製マイクロフォーサーズカメラを持っている人からすると、残念極まりない製品のようだ。
それもそのはず。現在のパナソニック機は本体内に手ぶれ補正機構を持っていないものが多く、高倍率レンズで手ぶれ補正がない本製品は、手ぶれ補正がない状態で使用する事になってしまうからだ。望遠レンズで手ぶれ補正がない、というのは、現在ではあり得ないと言って差し支えがない。
また、パナソニックは空間認識AFという新しい方式のAFを最新機種に採用していて、今後発売される機種についても同様に空間認識AFを採用していく事になる。
この空間認識AFを簡単に説明すると、ボケの大きさを割り出す原理を利用して、ボケの大きさからカメラと被写体の距離を割り出し、フォーカスに利用するAFという事である。
実際にはボケの大きさが異なる複数の画像を使ってボケを正確に認識し、AFで利用しているのだが、これには交換レンズの性能を加味した情報が不可欠になる。
よって、この空間認識AFを利用するには、おそらくパナソニック純正のレンズでなければならないだろうと予測できる。まぁ…動作検証しつつ、レンズのファームウェアで対応していく事も可能だろうが、それは今後の対応しだい、といったところだろう。
どちらにしても、今回のタムロンレンズはオリンパス機を使用している人をターゲットにしているとしか考えられない。
本体に手ぶれ補正機構が必要である時点で、それは決定づけられたような製品と言えるだろう。
ただ、どちらにしてもマイクロフォーサーズのレンズとしてラインナップが増えた事は素直に喜びたい。