FDA査察2日目。ココを切り抜ければ大枠が終わる。
順調かと思いきや…
初日を何とか指摘ゼロで切り抜けはしたが、依然気を抜けない状況にある事は間違いない。何しろ相手は「監査」ではなく「査察」で来ているのだ。
日本語だとこの2つの違いはあまり明確に解らないかも知れないが、広辞苑第六版では以下のように記載されている。
かん‐さ【監査】
(1)監督し検査すること。
(2)企業などの特定の行為、またはその行為を示す情報が適正か否かを、第三者が検証し報告すること。会計監査など。
さ‐さつ【査察】
情況を視察すること。「―使」「空中から―する」
こうして見ると、あまり違いはないように思うかも知れないが、査察の方がより広い意味がある事がわかる。
監査は検査する事に主眼を置くが、査察は状況を視察する事に主眼を置く。
つまり、現地で状況を把握する、という意味では査察の方がより強いという事である。監査はオフサイト(現地でなく別の場所)でも可能、つまり書類による文書監査が可能という事である。
しかし、査察は現地で確認する事になるわけだから、必ず査察官がやってくる。
今回米国から査察官が来たのは、まさにその意味において間違った行為ではない、という事である。
その査察官に現地でいろいろと調べられるのだから、そこにミスがあれば当然問題となる。ごまかしは一切効かないと言っても過言ではない。
そして本日、そのごまかしが効かない状況が目の前に訪れたのである。
米国は契約の国
これは米国に限った話ではないかもしれないが、日本は契約といっても結構その意味は「約束」だったりする事が多い。互いの信頼関係によって成り立っている所が多分にあるため、契約書、つまり文書による約束事の取決めという部分は、意識的にも低いところが多々ある。
しかし、米国や欧州といったところは、とにかく文書による契約書を重要視する。
特に我々のような製造業の場合、製品を製造する上で全てを社内で行っているのではなく、外部組織を使って製品製造する場合、この外部との契約という所に査察官は敏感に反応するのである。
というのも、その契約内容の中に、どれだけの事が書かれていて、約束として契約が交わされているか? というのが問題で、一定の約束事に関しては契約書に記載しなければならない、というルールが存在する。
今回、一応その契約書にそのルールの記載はあったものの、一部のルールにおいて不十分かもしれない、という所が見つかり、そこを指摘事項として扱われる可能性があった。
結果的にはその指摘は指摘事項としてカウントされる事はなかったが、この部分が我々の弱点である事は明確になった。
指摘事項としてカウントされなかった為に、本日も指摘事項ゼロとはなったが、後日、これは社内で是正項目として扱われる事は間違いない。
兎にも角にも、2日目も無事指摘事項ゼロを達成する事が出来た。初日に続いて2日目もゼロ…これはもう奇跡に等しい事である。
しかも、明日の査察は査察箇所も一つという事で、ほぼ問題なく終了する事が今の段階で見込まれている。
有りと有らゆる場所で前準備をしてきた結果が、今実を結ぼうとしている。
というワケで、明日もがんばって行く事にしよう。