新しいPascalアーキテクチャ、登場。
性能2倍、電力効率3倍
NVIDIAから遂に新しいアーキテクチャであるPascalを採用した新型のビデオカードが発表された。
名称は前モデルの980をさらに繰り上げた1080となり、GeForce GTX 1080となったが、もう中身はまるで別モノと言ってもよいぐらいに変化した。
Pascalアーキテクチャは、前モデルのMaxwellより絶対性能で2倍、電力効率で3倍の性能を持ち、それでいて価格は3割減となるようで、その凄まじい性能に出会えるのは5月27日からになるという。
GeForce GTX Titan Xの絶対性能2倍ともなると、その性能は9TFLOPSにもなり、その領域は未だ家庭用で実現できた例がない。
当初、GeForce GTX 1080関係のコアとなるGP104の上位コアであるGP100には、HBM2が搭載され、より高速なメモリアクセスを可能にするといったものだったが、グラフィックス中心の製品であるGP104は、Micron製超高速DDRである「G5X(GDDR5X)」を世界で初めて採用し、そのアクセススピードは10Gbpsに達するという。
それでいて消費電力は180wと従来カードと同じかそれ以下の消費電力でしかなく、NVIDIAが公開したデータを見るとそこには偽りがないだろう所が見えてくる。
16nmプロセスのFinFET
今回のGP104コアは、台湾TSMCによる16nmプロセスのFinFETによる製造コアとなっている。従来の28nmコアと比べ、大幅に微細化したワケだが、その微細化が驚くべき省電力化と高性能化を成立させているワケだが、私が今回のGeForce GTX 1080で驚いているのは、AMDのRadeon系がまだこの16nmプロセスのFinFETによる製造を実現していないにも拘わらず、NVIDIAは順調に製造に乗せてきたという事と、その結果とても良好な性能を発揮させたという事である。
通常、微細化アーキテクチャが更新された時、そこにはいろんなトラブルが待ち構えているため、成熟したアーキテクチャ、つまり現行のアーキテクチャを微細化させ、まずは微細化のハードルを下げるという事をする。これでまずは微細化の安定化を進め、その後新しいアーキテクチャへと移行する。Intelではこの手法をTick-Tockと呼んでいた。
通常、これでリスクを分散させるのが世の常だったのだが、最近は微細化プロセスの進みが遅くなった背景から、いきなり微細化プロセスと新アーキテクチャを一気に乗せてくるケースが見られるようになった。Intelも全く同じである。
だが、CPUを立て続けにリリースしてきたIntelならそれもわかるが、製品をIntelほどリリースしていないNVIDIAがIntelと同じ方法で技術を詰めてきたという事に、私は多少なり驚いたし、随分と冒険をしたな、という感じに思えたのである。
まぁ…ここまで大々的に製品発表したのだから、何ら問題なくリリースできるという事なのだろうから、NVIDIAはAMDと比べてこれでまたアドバンテージを得たのではないかと思う。
私としては、GeForce GTX 1080の下位モデルであるGeForce GTX 1070の存在が気になるところ。何しろ、手を出そうと思えばコチラは手が届いてしまう可能性があるだけに、次に考えているメインPCに搭載するビデオカードとしての筆頭製品になるだろう。