忙しいのは良いのだが…
本来と違うQMS担当
私は会社で主な業務として、現在はQMSの管理を行っている。
QMSとは、Quality Management Systemの略で、品質管理システムの管理、というのが、業務になる。
特に、私の勤め先は現在医療機器へ進出した事から、医療に特化したQMSの維持管理が必要で、ISO規格でいうところの“ISO 13485”という規格に則ったシステムを運用しなければならない。
このISO 13485のシステムの運用と同時に、日本国内では薬機法(昔の薬事法)にも適応しなければならず、いろいろな法規制に対応したシステムの運用や管理をしなければならないのだが、人の命に関わる製品を扱う為、とにかく必要になる文書や記録、決め事が多く、それらを何だかんだと言いながら、ごく僅かな人数で管理しなければならないのは、それはそれで大変な業務だったりする。
本来、QMSとよばれるシステムを運用するにあたり、管理の為に記録を作ったりするという部分はあまり多くはないはずなのだが、各担当者が本来はやらねばならない事がシステムの理解が難しいという観点から置き去りにされるケースが多く、結果的にそれらはQMSの管理を行っている者が穴埋めのように文書の作成をしなければならない状態になったりする。
製造上に必要な記録は確かに製造担当が作成したりするのだが、手順を変更したりする際に作成する事になる計画書や、それの教育関係の資料など、本来は各担当者が作成すべき文書でも、それが置き去りになるケースが多く、結局それらを全てカバーするのはQMS担当の仕事になってしまう。
まして、手順が変わるなんて時、私ではそれらの文書の作成など本来はできないハズなのに、文書を作るのが私の役目になったりして、仮に私がそれらの文書を作成したとしても、その文書の確認や承認は別の責任者の仕事になるにも関わらず、その人達が確認をしないなんてケースもとても多いのである。
そうなると、私のタスクは消化される事なく山積みになっていき、システムの管理どころか、単純な文書作成のタスクだけで時間に追われる事になる。
本来のQMS担当は、こういった仕事ではないハズなのだが…。
特性
とにかく、私は元々こうした管理業務がとても苦手である。そういう話を他の人にすると「管理業務が苦手という人は多いよ」というのだが、そもそも根本として存在する特性がまず合わない。
私は、元々企画屋だったわけで、製品開発やコンテンツ制作を得意とする分野の人間である。なので、システムを作るのは得意でも、それを維持管理するのは精神的に不向きである。
ただ、システムを作るのが得意だとしても、一定の責任と権限を与えて貰わないと、このあたりの構築など出来ようはずがないので、企画屋というのは、まず最初にこの責任と権限を明確にした上で、ゼロからモノを作って行く事になる。
そうした企画を前提とした業務をしていた私が、今の立ち位置にいるとどうなるか?
もうね…反する特性しか持ち合わせていない私が管理をするのだから、その管理の実体は杜撰にはなるし、全てが後手に回ることになるし、良い事など何もない。
もう4年以上も医療機器業務に関わってきたが、それでも法規制は理解できないし、システムの継続的な管理はできないし、と、貯まるのは私のタスクとストレスばかりである。
鬱の手前か?
そこにきて、ココ1年、私は人的問題を発端とした精神的なストレスにも晒され続けている。
私に上司ができたのだが、その上司の言っている命令が、とにかく絶対的であり、また反論の余地を与えない命令なのである。
仮に自分では処理できない、理解できない案件が来たとしても、それに対するアドバイスもなく、ただ実行する事のみを求められ、結果散々たる有様を露呈するという状態。
ここ最近、眠りも浅く、主治医すらも生活改善だけの問題ではないという結論に至り始めたようで、見る人が見ると、表面的にすら私が異常になってきている事がわかるような状態である。
このままではマズイ。
自分でもそう思うのだが、背負うべきものを背負っている事もあって、結局は現状維持を続けねばならないという側面との板挟みで、転職すら頭をよぎるようになった。
仕事だから…と割り切って仕事をできるレベルなら、ここまで病んでくる事はないのだろうが…。
転職も考えたが…
こんな状態なので、転職も実は考えた。
元の業界に戻る事を中心に、私のスキルが活かせる新天地へと向かうのも良いかも知れない。
この歳になってすら、まだそんな事が言えるのか? と疑問もないわけではないが、もうそんな事すら言えないレベルで追い詰められていたのも事実である。
今まで、私は前職のキャリアを全く意識しない転職を続けてきていたため、気がつけば経験値だけは幅広い形で残ってきた。
今回もそれと同じかな…なんて思って板野だが、ふとした事から、勤め先の経営者と話し合いをするきっかけを得た。
私が現在抱えている問題、今までやってきたこと、現状の業務を続けていく上で自分の特性の事、スキルの事、etc.
こうした問題を経営者にぶつける事で、経営者から得た言葉は意外なものだった。
「出てきている問題を総合すると、その問題は自分一人では解決できない。どちらかというと人の問題であり、その問題を解決するのは経営者の役目である」
要するに、私の問題の根底には、ほとんどが上司が絡んでいるという結論に至ったのである。
まぁ…確かにそれもあるのだが、そもそも業務特性として私には不向きなんだが…。
経営者はこうも言う。
「そもそも、ゼロの段階から医療機器事業のシステム(QMS)を(貴方は)構築したのだから、今、そのQMSを運用するレベルの大変さは、構築した時の労力より多い訳がない」
…いや、私は構築するのは大変だったが運用する方が大変なのよ…。
さらに言う。
「ゼロから構築したという事そのものを、もっと自分で自分を評価した方がいい。誰でもできる事ではないのだから」
ん~、とは言ってもコンサルが入っての構築だから、私自身がちゃんと理解できていたかと問われればできていないハズで、だからこそ今問題がでているんだが…。
結局、経営者側としては、私に対して一定の理解と評価はしているようだが、私が本当に困っている問題の半分くらいは理解されていない感じではあった。
ただ、人の問題というのは確かにあるわけで、今度の期末時には何かしらの異動含めた解決策は検討してもらえるようではある。
ま、それも人的余裕があれば、の話だろうから、期待できるかどうかはわからないが。
しばらくは現状維持
経営者との話し合いによって、自分の陥っている問題は一定の理解は得た。
それに対処していく事も検討はしてもらえる事にはなったが、そもそもの私の特性を考慮した配置になるかどうかはまだわからない。
しかも、今言ってすぐ変わる事もあり得ない話なので、しばらくは現状維持に留まりそうである。
問題は…その現状維持でいる期間に私が耐えられるかどうか、という事である。
自分としては、今すぐにでも変化を受け入れたい気持ちで一杯ではあるが、すぐに引き継ぎができるわけでもないし、現在は引き継ぐ相手もいない。
この引き継ぐ相手が果たしていつできるのか?
それによっては、まだまだ苦しむ時間が延びるような気がするのだが、とりあえずは一歩前進したと考え、未来に期待したい。