Intelがついに戻ってくる。
Intel 740以来
Intelが公式Twitterで2020年にディスクリートGPUを投入する事を明らかにした。
IntelのCEOであるBrian Krzanich氏が、アナリスト向けのイベントで2020年に単体GPUを提供することを発表したようで、もしこれが現実になれば22年ぶりにIntelが単体ビデオカードを発売する事になる。
20年前に発売されたのは、Intel 740というビデオチップで、まだインターフェースはAGPの頃である。
2020年に登場するGPUの詳細は不明だが、Intelの戦略としてDatacenter領域だけでなく、クライアント向けの製品も含まれると説明しているようだ。
以前、LarrabeeというどちらかというとGPGPU向けのGPUを開発していた時期もあったが、この時はゲームや3Dクリエイター向けのグラフィック製品ではなかったが、今回は競合するライバルがGeForceやRadeonになるワケで、それはそれで非常に楽しみな話である。
Intelは2017年11月にAMDでRadeon Technologies GroupのトップだったRaja Koduri氏を引き抜いていて、当時から単体GPUの開発を本格的に行なうのではと噂されていたし、その話は私も記事にした事がある。
その後も各方面から人材を集めていた動きを見せていたので、ようやくその結果として製品が投入できると踏んだのかもしれない。
自社工場で生産
Intelは、NVIDIAやAMDと異なり、自社に生産工場を持つ事が強み。
それ故、他社よりも進んだプロセス技術を今まで誇示してきたワケだが、反面、その生産工場を維持する事が課題でもあった。
AMDは結果的に自社生産部門を売却し、設計に特化する道を歩んだわけだが、その切り離されたファウンドリがGlobalFoundriesである。
NVIDIAやAMDはファブレスになる事で設備の維持や新規開発のリスクをなくしたかわりに、今度は外部のファウンドリの都合に影響されるという問題を持った。
Intelは自社生産ラインを持っている事で、ファウンドリの都合に影響されずに製品開発や製造を進める事ができるメリットがあり、あとは生産するGPUの性能次第で、NVIDIAやAMDに打撃を与える事ができる体制を整えた事になる。
Intelは現在もCPUの内部に組み込むiGPUに関しては開発を続けているので、引き抜いた人材と共に新しい道を模索できれば、性能的にもNVIDIAやAMDに引けを取らない製品を投入できる可能性がある。
それだけに、私としては市場競争原理が働き、今よりずっとGPU業界が活発化するだろうと期待している。
現在はNVIDIAの圧倒的強さから、AMDもそこに到達できていない感があるグラフィック関係だが、そこに一石を投じてくれる事を祈りたい。