ASUSのZenBook Duoは買いのノートPCか?
面白い構成だが重い
ASUSが上下にディスプレイを配置した14型ノートPC「ZenBook Duo UX481FL」を発表した。
そのスタイルは一風変わっていて、14型の液晶ディスプレイ(タッチ入力可)以外に、キーボードの奥の部分に12.6型のタッチペン対応IPS式液晶が搭載されている。この12.6型パネルはタッチペン対応なので、WindowsというOSの上でも当然タッチペンによる入力が可能で、この液晶パネルを搭載する関係から、キーボードのパームレスト部分が存在しない。また、キーボードの右側、つまりフルキーボードならテンキーのある位置に2ボタンのタッチパッドが搭載されているのも特徴と言える。
このタッチペン入力可能なモニタはOS的にはマルチディスプレイという認識になっていて、14型のモニタ側をメインモニタとした構成になっている。あくまでもタッチ可能な12.6型パネルはサブディスプレイという形である。
搭載するプロセッサとメモリ容量によって2モデル存在するが、どちらも第10世代のIntel Coreプロセッサ(Comet Lake-U)を搭載し、上位モデルはCore i7-10510Uに16GBメモリと1TBのストレージを搭載し、下位モデルはCore i5-10210Uに8GBメモリと512GBのストレージを搭載する。
上位モデルも下位モデルもGPUはCPU内蔵のIntel GPUとGeForce MX250を搭載している。これは2画面をコントロールする上で必要な構成という事なのかもしれない。
また、有線LANは搭載しておらず、Wi-Fi 6対応モジュールが搭載されている。他には、Bluetooth 5.0 、USB3.0×1、USB3.1×1、USB3.1 Type-C×1、92万画素Webカメラ、microSDカードリーダを搭載する。WebカメラはWindows Helloに対応するのもポイントである。
バッテリー駆動時間は概ね13.9時間で、実測も11時間を超えるようなので、液晶パネルを2枚搭載しているとは言え、イマドキのノートPCと同等に使用する事はできそうである。
ただ、一つ注意があるとすると、その重量は通常のノートPCとは異なると言える。
約1.66kgという本体重量は、イマドキの軽量ノートPCとは異なる次元の重量なので、持ち運ぶ事はできるものの、その重さがネックになる事はあるかもしれない。
2画面をどう活かすか?
本製品の特徴は言うまでもなくそのキーボード奥にある12.6型のタッチパネルにある。
テンキーのある場所にあるタッチパッドも特徴ではあるが、これはマウス入力の代わりのタッチパッドがこの位置に移動してきたと考えれば特徴という程の特徴ではない。
この12.6型のタッチパネルは、14型のメインパネルよりも輝度的に暗く見える。これはIPSパネルと言えども使用する際の角度の問題で目に入ってくる色合いがどうしても悪くなる。しかも若干色域がメインパネルと異なっているようなので、とても同じようには見えない。実際、輝度はメインパネルより低いようで、メインパネルと同じように使用するのは難しいと言える。そう考えると、本当にサブパネルとして使用する事を目的としたエリアに思え、用途としてはウィジェット系、クリエイション系アプリのタイムラインなどを表示するというのが、実用的な使い方なのかもしれない。
ただ、こういうサブパネルは、使いようによっては化ける可能性があるので、使用者のアイディア次第でいかようにもなるというのが面白い所である。
価格的にどうみるか?
「ZenBook Duo UX481FL」は、その構成から価格は普通のノートPCより高額な設定になっている。
上位モデルで219,800円、下位モデルで182,800円となっていて、ちょっとした国内メーカーの上級ノートPC並の価格になっている。
パネルがマルチという事もあって、比較対象として普通のノートPCを持ってきてもあまり意味はないのかもしれないが、私なら同じこれくらいの価格を出すなら、先日発表されたMacBook Pro 13インチ2020年型の購入を検討するかもしれない。
特殊な使い方ができるので「ZenBook Duo UX481FL」が良い場面というのもあるのだろうが、「ZenBook Duo UX481FL」はその重量からデスクトップリプレースノートPCという位置付けになりがちなのではないかと思う。
そうなると、イマドキのノートPCの使い方なら、液晶モニタを別に一台接続して使用する事になるだろうから、この2画面の特徴は薄れてしまう。
持ち運んだ先がどこであろうと関係なく2画面使えるという意味はあるかもしれないが、それなら15型くらいのモバイル液晶を一緒に持ち歩き、それとマルチディスプレイにして使用する方が、より現実的ではないかと思える。
そう考えると、このノートPCはもっと別の用途でしようされるべきノートPCかもしれない、と思えてくる。
例えば…サンコーレアモノショップなどで販売されている、寝っ転がって使用するPCマウンタに搭載して、寝っ転がって「ZenBook Duo UX481FL」を使用すれば、ひょっとしたらこの12.6型パネルはもっと活きてくるかもしれない。
どちらにしても、イロモノっぽい感じのノートPCだが、使い方によっては化ける可能性があるので、気になる人はチェックしてみてはどうだろうか?