移動する時だけ使えるWi-Fiという存在。止まっていては通信しない。
車載用ルーター
パイオニアから、カロッツェリアブランドで車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」が発売される。市場想定価格は25,000円(税別)で、別途通信料が必要になる。
これはNTTドコモが提供する車載用サービス「docomo in Car Connect」を利用したもので、BAND 1/3/19でのLTE通信でWi-Fi環境を構築する。通常のスマホなどで利用するLTE通信とは異なり3日間での通信量制限がないという特徴がある。
別途通信料が必要というのは「docomo in Car Connect」の通信料の事で、1日500円、30日1,500円、365日12,000円という定額(税別)で、手続きはスマホで本体裏のQRコードを読み取って手続きする。その際dアカウントが必要になるのは通常のドコモの契約と同じである。
「DCT-WR100D」で構築するWi-Fi環境は802.11n/g/bの2.4GHz帯のみで、最大通信速度は受信150Mbps、送信50Mbpsになる。セキュリティとしてはWPA3 Personalに対応するが、同時接続可能台数は5台まで、となる。
問題は利用環境
ただ、問題はそうした通信速度や接続台数ではない。
個人的に不便かなと感じるのは、通信できる環境にある。
走行中や信号待ち、渋滞などの一般的な車の利用状況でWi-Fiを利用できるのだが、あくまでも車載用であるため、利用可能なのは走行中と一部停車中のみに限定されるのである。
具体的には、エンジン始動から30分間の停車中、走行中、総合後の停車(エンジンはON状態)60分の条件時のみ通信が可能となっている。
なので停車して60分が経過すると通信がOFFになるが、そこで走行を開始すれば通信は復帰する。またエンジン始動後停車した状態で30分が経過すると通信がOFFになるが、こちらも走行を開始すると通信が復帰する。
要するに、停車中はエンジンをONにしていても継続利用時間に制限があり、走行しないと通信は維持できない仕様なのである。
このような仕様になっているのは、この「DCT-WR100D」はあくまでも移動中の利用を想定したものであるためであり、停車時にずっと使える事は本来の目的と異なる為、制限されているようである。
常時接続
「DCT-WR100D」の一番良い所は、何と言っても走行中であれば常時接続が可能で、通信容量に関して制限がないところである。
その代わりに使用条件が限定されている、という事なので、どちらかを取れ、という話になれば、目的から常時接続&通信容量無制限を選択し、デメリットとして使用条件が限定される、としう事にしたのだと思う。
なので、車での移動が多い、という人や、移動が多く同乗者が通信する機会が多いなどの時は、「DCT-WR100D」は使い勝手の良い選択肢の一つになる。
また、スマホをカーナビ替わりにしている人で、カーナビ以外にも利用する事が多い、という人であれば「DCT-WR100D」は非常に安い常時接続プランになるかもしれない。あくまでもカーナビだけでなく、他でも使用するという前提があれば、の話だが。
個人的には、こうしたサービスよりも普通にスマホなどのプランがもっと自由に、もっと安く使える時代が来れば良いのに、とは思う。
だが、通信インフラを構築するにもお金がかかるわけで、通信会社としては収益を確保する意味でも、今後こうしたサービスが無償化する事はないだろう。
だとするなら、使い分けの選択肢が増えることで、コストを抑えつつ便利に通信出来るようになるしかない。
車載用Wi-Fiルーターという選択肢は、そうした使い分けで便利にするサービスであり、移動体の通信環境を構築する一つの選択肢である。