昨日紹介した「分散学習帳」を使ってみたが…いろいろと問題が散見された。なのでこの手のツールを見直す事にした。
データ共有
昨日、資格を取る為に勉強していて、その暗記ツールとしてメンタリスト「DaiGo」氏監修の「分散学習帳」を紹介したが、使い勝手が良いと思えたので実際使ってみた。
確かにワンツールとして単独で使用する分には申し分の無いツールと思ったが、スマホだけで運用するには良いとしても、デスクトップPCで運用しようと思ったら、結構面倒くさい事が多いと言うことも判明した。
というのは、まずWindows上ではAndroidをエミュレートした上で利用するしか方法がないという事。つまり、実際には「Bluestacks」のようなPCの上でAndroid OSをエミュレートし、その上でGoogle Playで「分散学習帳」をインストールして利用する形態であるため、Windowsのデスクトップで利用してはいるものの、そのインターフェースはAndroid OSであり、しかもエミュレータそのものの操作も理解する必要がある事がわかった。
これはこれで結構面倒くさく、しかも実際にその上で「分散学習帳」を使った際、もっと面倒くさい事が判明した。
それはスマートフォン上の「分散学習帳」とWindows上の「分散学習帳」で、個人レベルの枠組みの中でデータ共有ができない、という事である。
例えば「分散学習帳」でカードを作成する時、その属性として「共有OK」にしてカードを作成したならば、そのカードは「分散学習帳」を使用している人全てに共有されるようになる。この全ての人に「共有」される状態にした上で、別端末の「分散学習帳」にカードを移植する事はできるが、これでは他の人にもカード情報を公開する事になる。
クローズドの状態、しかも同一アカウント上での共有ができないので、全てをオープンにする覚悟を持たないとデータ共有ができないのである。
ならば全てをオープンにすれば…と思うかも知れないが、正しい情報として自信がない内容などをフルオープンで公開する事に抵抗がある…という人も多いのではないかと思う。
確かに、いろんな人のカードをシェアできるという強みはあるものの、クローズした使い方をしたい人もいたり、特定のカードだけはクローズにしたいが、自分は複数端末で共有したい、といった用途では使えないというのは、些か問題があると感じた。
広告の問題
そしてもう一つ「分散学習帳」の問題として感じたのが「広告」である。
メンタリスト「DaiGo」氏は、広告はあえて表示させていて、問題を間違えると間違えた分だけ長く広告が表示される仕様にしているという。
つまり、広告が長いのがイヤだと思ったなら必死に覚えるしかない、という強制力のつもりで入れているという事だが、これが逆効果なのである。
というのは、覚える時間を採らなければならないのに、広告が長く入るようになるので効率がガタ落ちになるのである。1問や2問がそうした長時間広告になるくらいなら問題はないが、これが10問、20問と増えてくると広告時間がバカにならなくなる。
インターフェースとして「分散学習帳」が使いやすくとも、この広告の問題で使い続ける事が辛くなるようであれば、それは本末転倒という事になる。
おそらく広告費で稼ぐ事を前提にしているのだろうと思うが、これなら有料アプリにしてもらった方がまだマシである。おそらく、この広告の問題で分散学習帳を使わなくなった、という人も多いのではないかと思う。実際コメントにも同様に広告の問題を指摘している人も多い。
では、そうした広告に問題を感じた人は何を使っているのか?
いろいろ調べて見たら、海外のソフトではあるが日本語にローカライズできる「Anki」というアプリがある事が判明した。
Anki 公式サイト
https://apps.ankiweb.net/
Anki
暗記を補助する為のツールは結構多い。
特に昔のように単語帳の代わりになるようなスマホのアプリは多数作られていて、どれもインターフェースは微妙に異なるものの、主目的は同じというものが多い。
Ankiもその中の一つではあるのだが、Ankiは前述した同一アカウントでのデータ同期も可能で、しかもカードをデッキという単位で纏める事が出来、そのデッキをいろいろと交換して分野を分けられるという機能もある。
また、デッキを共有デッキとしてオンラインに公開する事もでき、世界中の人の共有デッキを取り込む事もできたりする。
つまり私が「分散学習帳」で懸念していた問題にも対処でき、しかも「分散学習帳」が目指した使い方もできるのである。しかもそれらが広告なしで利用できるので、インターフェースにさえ慣れてしまえば「分散学習帳」以上の使い勝手になるわけである。
また「分散学習帳」が目指していたような「一定期間をあけて復習を繰り返し、復習回数を重ね、復習間隔を伸ばしていく事で脳に記憶を定着させる」といった効果を出そうと思えば可能らしい。ま、これは実際に使ってみないとわからないので、まだ自分としては実感はないが、暗記アプリはどれも同じような効果を狙っているところがあるので、あまり心配はしなくてよさそうである。
また、このAnkiにはアドオンを追加する事が出来、問題作成を簡単にしたり補助したりするアドオンが用意されている。
アドオンでAnkiはさらに便利に?おすすめのアドオン28個を紹介
https://yurudream.com/2020/02/22/anki-add-on/
PCでしか使えないアドオンだが、これらを使う事でカード作成を楽にしたりする事ができる。
これらで効率良く問題を作る事ができれば、学習の幅も広がるというものである。
唯一の欠点
Ankiというツールはここまでの情報を読んで貰えれば、学習に対する使い勝手は「分散学習帳」を遙かに超えるものではないかと思える。
確かにそうなのだが、問題が一つだけある。
それは、何故かiOS版だけ有料なのである。
Windows版、Mac版、Android版、Web版といろいろあるが、これらは全て無料にも拘わらず、何故かiOS版のみ有料なのである。
App Storeでその価格を見てみると、3,060円となっている。アプリとしては結構な額である。もっとも、この3,060円を普通の教材として考えれば、決して高い買い物ではないのだが。
使われ方が特殊でもあり、一般的な用途には不向きな面も含めて、この価格であるので、もしiOS版をどうしても使いたい、というのであれば、この出費は覚悟する必要はある。
Windowsでのみ利用したりする分には不要だが、こうした暗記ツールはモバイルするからこそ意味があるという面もあるので、少し悩ましいところではある。
とりあえず、暗記の為のツールとしていろいろ探っていた結果、また新たな結論に至った。分散学習帳はわかりやすくて良いのだが、インターフェースに至らないところが多く、また情報共有という部分に大きな問題が残る。
そうした問題をクリアし、多少のわかりづらさを克服して使っていこうと思うなら、Ankiはそう悪い選択ではないのではないかと思う。