23年ぶりにIntelから提供されるディスクリートGPUカード。
一般向けではない
Intelが1月26日(現地時間)に、ディスクリートGPU「Iris Xe」を搭載したデスクトップ向けビデオカード(コードネーム:DG1)を発表した。
ASUSをはじめとした2社とパートナー契約し、搭載製品をリリースするという。
この「Iris Xe」は、既にノートPC向けに投入した「Iris Xe Max」よりも搭載している実効エンジンは少ないようだが、以前デモで発表した「DG1」と違いASUS版はファンレス仕様となっている。
実際には、実効エンジンは80基で、4GBのメモリを搭載し、AV1デコードやAdaptive Sync、DisplayHDR、AIといった技術をサポートする。実効エンジンの数から考えて、ノートPC用の「Iris Xe MAX」のカットオフ版だと考えられる。
ASUSでは「DG1-4G」という名称で取り扱うようだが、前述したようにファンレス仕様になっており、インターフェースとしてDVI-D、HDMI、DisplayPortの3系統を持つとみられる。
もう1社がどこなのかは公開されておらず、どのメーカーが取り扱うのかはわからない。
その他の詳しい仕様も不明だが、要するにこれは現時点で一般販売される製品ではない、という事を意味する。
Intel 740以来約23年ぶりに提供されるIntelのデスクトップ向けディスクリートGPUだが、一般で手に入らないというのは些か残念な話ではある。
ファンレスに興味あり
「Iris Xe」は性能的には昨今の大電力消費GPUと比較すれば大した性能ではないと言えるが、ファンレスというところにその意味がある。
昨今はCPUにGPUが内蔵された事もあって、外付けGPUのローエンドモデルがなかなか刷新されなかったりする傾向にあり、CPUはハイエンド、GPUは映るだけでいいんだ、などという人に向けたGPUで使い勝手の良いビデオカードがなかなか見つからない時代になっていた。
そういう人は特に駆動部のないヒートシンク仕様の方が好まれる事もあり、今回のASUSの「DG1-4G」はそういったニーズの人からは販売して欲しいと言う声が出そうな感じだが、実際私も一つ持っておきたいような気もする。
というか、一定のニーズはあると思うのだが、何故少数でも発売しないのだろうか?
効率よく利用できないのか?
Iris Xeの気になる機能として私が注目しているのは、Iris XeはCPU内蔵GPUと共通のソフトウェアフレームワークを利用するという事である。
これは、1つのデバイスドライバで内蔵GPUとディスクリートGPUを一元管理できるという事であり、共に協調動作させられるという事である。
つまり、内蔵GPUに負荷がかっている時は外部GPUにリソースを融通し、その逆も可能だという事である。
この機能を上手く活用すれば、グラフィック処理は内蔵GPUで、外部GPUではGPGPU演算を行うといった、用途別に双方のリソースを使えるという可能性が見えてくる。
このような使い方は、残念ながら今までGPUの2大メーカーであるNVIDIAやAMDからは出てきていないので、Intelがぜひ流行らせて欲しい機能なのだが、やはりプログラムの実行段階で使い分けるというのは、命令的に難しいという事なのだろうか?
折角搭載している実行ユニットなので、ぜひとも全てを活用できるような仕組みにしてくれるとありがたいのだが。
とりあえず、Intelも徐々にではあるが2大メーカーに追いつくべく開発を続けているという事は見て取れる。
2大メーカーが意識するレベルの技術革新を持ち込んでくれればありがたいのだが、今後に期待しよう。