世界規模で6GHz帯を免許不要で利用できるようにするという事か。
免許不要のWi-Fi周波数
Wi-Fi Allianceは、Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)に6GHz帯の利用を追加する新たな「Wi-Fi 6E」の認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 6」を開始した。
Wi-Fi 6Eは、Wi-Fiで使われている2.4GHz帯と5GHz帯に加えて、新たに6GHz帯(5935~7125MHz)を利用可能にする新規格として2020年1月に発表していた。
今回の6GHz帯の追加によって、80MHz幅接続時には14本、160MHz幅接続時には7本のチャンネルが利用可能になる。
Wi-Fiや無線LANに詳しくない人からすると、何をゴチャゴチャ言ってんの? と思うかも知れないが、簡単に言えばWi-Fiで6GHz帯が利用出来るようになり、マルチチャンネル接続の本数が増えるのでさらに速いアクセスが可能になるよ、という意味である。
だが、無線の利用は各国で法規制が異なり、また使われているバンド(周波数)も異なっている事から、世界共通で統一するという事が難しい。
そこで予め6GHz帯の一部のバンド幅に関しては各国で予め免許不要にしてしまい、世界のどこにいってもWi-Fiが利用可能にする、という方法を採ったという事である。
2020年4月には米国が6GHz帯の電波を免許不要で使えるよう承認され、その後英国やEU各国、チリ、韓国、UAEが続いて承認していた。
現在、日本やブラジル、カナダ、メキシコ、ペルー、台湾、サウジアラビア、ミャンマー、ヨルダンなどの国々でも6GHz帯を免許不要にする手続きが進んでいるようで、これらが免許不要になれば、世界の主要国の多くが6GHz帯を免許不要で利用可能になり、より便利に通信できる世界が訪れる事になる。
対応デバイスも続々と
Wi-Fi 6Eは2021年に急速に浸透し、3億8,000万台を超える対応デバイスが市場に参入、全Wi-Fi 6対応端末の約20%を締めるとIDCリサーチディレクターのPhil Solis氏は予想しているようだが、これはコロナの影響を考慮した結果でそう予測しているのか、それともそうした考慮なしに漠然と予想しているのかはわからない。
ただ、最近は有線接続より圧倒的に無線接続が多くなったLAN環境を考えると、チャンネルが増える事によって安定して接続できるようになるという事の意味合いは大きいと思う。
おそらく、このWi-Fi 6Eは今後家電などにも搭載されていき、自宅内のあらゆる機器の無線LANの標準になっていくように思える。免許不要という事は、屋内、屋外を問わず利用出来るという事なので、そのハードルがぐっと下がるからだ。
問題は…その接続距離だが、一般的な家庭であれば、単一ルーターで家一軒程度はカバーできると思われるので、そうした製品の登場を待つのが良いのではないかと思う。
sub6
さて…ここで勘違いして欲しくない話を一つしておく。
それはケータイなどで使われている5Gという言葉とそれに付随するsub6という言葉である。
5Gは、第5世代移動通信システムの事であり、あくまでも移動通信システムを指す。そしてsub6とは、その5Gで利用する通信周波数の一部を指すが、その中でも3.6GHzからを中心とした6GHzまでの周波数帯域を指す。
日本国内では4.5GHz帯と3.7GHz帯が利用可能であり、100MHz幅で区切られ、ドコモとKDDIが200MHz幅、SoftBankと楽天には100MHz幅が割り当てられている。
5Gに関してはこのsub6以外にもミリ波という帯域があるが、これは28GHz~300GHzの帯域を指し、極端なまでに通信可能範囲が狭いかわりに通信速度がとても速く、また同時接続量が多いという特徴がある。
5Gも同じ電波を利用するものだが、Wi-Fiとは電波を使うという意味では同じだが、そもそも目指しているものが異なるという所に違いがある。
こういう違いが、いろんな誤解を生むのだろうな、と思っている。
とりあえず、Wi-Fiはモバイル通信とは異なるので、基本的に光回線などで回線を契約している人であればルーターの設置で使えてしまう。
光回線を契約しているのに、自宅でモバイルWi-Fiを契約して利用している人がいるという事実を知った時には驚いたが、世間ではそれぐらい理解されていない事の一つである。
間違えないように押さえておきたい知識である。