やはり出るのか? それとも…
NVIDIAの動向
Nintendo Switchの上位機種が発売されるという噂は、過去何度も出てきている。そしてその都度、任天堂の株主総会などのコメントで否定され、結果、上位機種の登場はなかった。
前回もその流れで、結局任天堂の古川社長のコメントでは「発売4年目で最高の販売台数を記録したばかりの状況において」という前置きがあった上で新モデルの発売はない、と述べられている。
なので、新モデルはない、という事が確定したワケだが、そもそも古川社長の言葉は、あくまで「2月の直近、数ヶ月以内に」という期限付で示唆したに過ぎず、その後に新型が出ない、と言及したわけではない。
つまり、Switchの新型は可能性として未だ登場する可能性がある、という事になる。
そしてこれを裏付ける話が別方向から出てきた。
情報の出所はNVIDIAまわりからで、Nintendo Switch及びNintendo Switch Liteに搭載されているTegra X1というSoCの生産を年内に停止する、という噂が出てきたのである。
Tegra X1はNVIDIAのARM系SoC(System On a Chip)で、ARMプロセッサにNVIDIAのMaxwellアーキテクチャのGPUを組み合わせたものである。
Tegra X1はTSMCの20nmプロセスで製造されており、おそらくTSMCが20nmプロセスの製造ラインを別の製造プロセスラインへと移行するにあわせて生産を停止するのではないかと、私は勝手に想像する。
当然だが、Tegra X1がNVIDIAから供給されなくなると、任天堂はSwitchを生産する事はできなくなる。もし代替品に切替えるとしたなら、そこでフルモデルチェンジが行われるか、最低でもマイナーチェンジされると考える方が妥当である。
そこで浮上するのが、Nintendo Switch Pro(仮)というわけである。
あくまでも上位版
このNintendo Switchの新型の話は、数々の噂という形で広まっていて、確たる何かがあるわけではない。
登場する時期としても2022年になるのか、2021年後半になるのかなど、様々な情報が飛び交っているので、真実はわからない。
だが、海外のGame Informerの記者Imran Khan氏は大手ゲームフォーラムResetEraで「新型モデルは主にFPS(画面書き換え速度)と解像度の強化が目的であり、Switch2ではないだろう」と発言しているという。
また、同氏は「開発キットを持っている人が相当数いて、近いうちにリークがあるだろう」とツイートしている。
It's funny, I was talking to some people today who were like "There's enough people with dev kits that leaks should happen any day now."
Guess it didn't even take that long.
— Imran Khan (@imranzomg) March 4, 2021
開発キットを持っているとなると、新型の登場は間違いないところまで来ているのかも知れない。
ただ現時点では投入時期がわからないが故に、任天堂の株主総会では話を出せずにいるのかもしれない。
新型はどうなるのか?
現在、新型Switchのスペックとして予想されている内容は、有機ELディスプレイを搭載し、4K出力に対応するのではないか、と言われている。
有機ELディスプレイは韓国Samsung製で、サイズは7インチ、解像度は720p(1280×720)のものらしい。現行機種が6.2インチで、Liteが5.5インチなので、解像度そのままでサイズが大型化する事になるが、有機ELディスプレイは液晶パネルよりも消費電力が低い事もあって、コントラストの高いバッテリーの保ちのよい新型になると予想される。
ただ、このバッテリーの保ちの良さの分だけ、性能に消費電力を持っていく可能性はある。
というのも、4K出力に対応するのに合わせて、NVIDIAのDLSS技術に対応する、という話もあるからだ。もしDLSS技術に対応するとなると、AIによる高画質化が期待できるので、GPUとそのサブプロセッサは結構忙しい動きをする事になる。
7インチのモニタを採用する理由をもう一つ考えると、おそらく熱処理の問題が出ることを予想しての事かもしれない。
現状のSwitchでも、処理の重いソフトをプレイすると、空冷ファンがガンガン回る。それが原因で熱暴走する事もあるらしいが、それは現在の筐体の大きさが放熱する上であまり好ましいサイズではない、という事が考えられる。
そこにきてDLSS技術をもつSoCを組み込むとなればできるかぎり筐体は大きくしておきたい、という思惑も考えられる。大画面化は簡単に言えば筐体が大きくなる事を意味するが、それは画面の大きさをアピールする裏側に筐体サイズを確保できるという側面が隠されている。
ま、あくまでも私の予想でしかないが。
というわけで、Nintendo Switchは構成部材の側から新型の登場が予測された、という事である。
どこまでの性能向上になるかはわからないが、少なくともGPU側でもっと多彩な表現力を持たせたい意図はあるのかもしれない。
PS5やXbox Series X/Sといった他社新型の表現力との差を少しでも縮めておきたい狙いは、この新型でカバー、といったところだろう。
というわけで…Switchが欲しい、と思っている人にとっては、実に悩ましい時期に突入したと言える。