Parallels Desktop 16.5が提供開始となったが、ARM版Windows10は、未だInsider Preview版に頼る事になる。
Parallels Desktop 16.5
Parallelsは、Apple M1に正式対応した「Parallels Desktop 16.5 for Mac」の提供を4月14日(現地時間)に開始した。
Apple Siliconが登場してすぐに、米Parallelsは仮想環境のWindows10を実現すべく、いろいろなアプローチを取っていたが、翌年の2月には、Microsoft製のARM版Windows10のInsider Preview版が走る状態のものを構築していた。
一番の問題は、ARM版Windows10がOEMにしかライセンスされていない事で、一般ユーザーがライセンスできる状態になっていないという事である。
MicrosoftがARM版Windows10を一般販売しないかぎり、ParallelsとしてはM1 MacにてWindows10が使えるという事を謳う事ができないのだが、技術的には動作する、という事でもって、現時点の対応としたようである。
なお、ARMベースのLinux系OS「Ubuntu 20.04」「Kali Linux 2021.1」「Debian 10.7」「Fedora Workstation 33-1.2」は利用する事ができると発表されている。
性能は高い
M1 MacでParallels Desktopを使用しての性能は、2020年版のIntelベースMacBook Airに対して250%の省電力性、Radeon Pro 555Xを搭載するIntelベースMacBook Proに対して、directX 11アプリで最大60%の性能向上、Core i9搭載のMacBook ProでWindows10の仮想マシンを動作させた場合と比較して、最大30%の性能向上が見込めるようだ。
それだけ基本となるM1という半導体の性能が高いという事を示しているわけだが、やはり処理コードが同じ方が性能は叩き出しやすいという理屈は変わらない。
にもかかわらず、Parallels Desktopを使用してのx86エミュレーション上の動作であっても、結構早いというのがM1 Macの特徴でもあった。
今回の対応で、正式にARMコードが高速動作する事が確立したとも言えるわけで、M1 Macを持っている人はアップグレードは必須ではないかと思う。
Intel Macに入れてみた
というわけで、私のIntel Core i7搭載の2020年版MacBook Proに、Parallels Desktop 16.5を早速インストールしてアップデートしてみた。
M1 Macでは大きな変化が起きるところ、Intel Macでは元々Windows10も動作するので、アップデートしたからといって大きな変化はおきなかった。
多少安定度を強化しているようだが、使った限りではその良さを感じる事はできないのではないかと思う。
ここまで何も変わらないと、ホントにアップデートしたのか? と疑いたくなる感じもあるが、この変化のなさは、つまるところParallels Desktopの安定感という事であり、少なくともIntel MacのMac OSの上でWindows10は普通に動作する、という事を表していると言える。
Appleは2年でMacをApple Silicon化させる事を発表している。
その性能を見れば、Appleが2年と期限を切ったのも理由がわかるが、問題はそれに伴うソフトウェアの追従である。
ネイティブで動作するアプリケーションも徐々に増えてきて、その性能の高さを実感する事が多く鳴ってきているが、未だWindowsでのみ対応というソフトもある。
Intel Macであれば、この辺りは大きな問題もなくエミュレーション対応はできたが、ARMアーキテクチャとなった今、それらx86アーキテクチャに頼る部分を何とかARMアーキテクチャへと移行させていく必要がある。
それを考えると、2年という期間はまだ足りないのではないかとも思うが…今後の技術転換に期待しよう。