ようやく出てきたCezanneだが、やはりOEM Onlyになるのだろうか?
Zen3のAPU
AMDが4月13日付で、デスクトップ向け“Cezanne”、Ryzen 5000G/GEを正式発表した。
Cezanneは、Zen3アーキテクチャのAPUで、GPUを内蔵したAM4ソケットのAPUである。
CPUは最上位のRyzen7 5700Gで8コア/16スレッドで、GPUはVegaアーキテクチャの8コアとされている(明確にVegaアーキテクチャとは言われていないが、おそらくVegaだろうと推測される)。
TDPは65wで、搭載するPCIeも3.0止まりだが、Zen3コアとなった事で、全体的なパフォーマンスはかなり向上している。
ラインナップは、前述したRyzen7 5700G、Ryzen7 5700GE、Ryzen5 5600G、Ryzen5 5600GE、Ryzen3 5300G、Ryzen3 5300GEと基本3ラインにそれぞれGモデルとGEモデルとなる。
GモデルはTDPが65w、GEモデルが35wとなり、動作クロックがGとGEで異なる。
全て7nmプロセスで製造され、メモリは2chのDDR4-3200まで搭載できる。
最近、GPUが不足して過去の型落ち品ですら高値で売買されるような事態になっているので、こうしたAPUの存在は非常にありがたいのだが、残念な事にAMDの公式ページにはこのCezanneは「OEM Only」と記載されており、DIY市場には発売されないとされている。
対Rocket Lake-S
AMDのAPUなので、性能的にはさらに上位のRyzen 5000シリーズの下に位置するのがRyzen 5000Gシリーズだが、GPUを搭載するモデルという意味では、IntelのRocket Lake-Sとの対抗品と言っても本来は間違いではないと私は思っている。
実際にはTiger Lakeが対抗馬になるのかもしれないが、TDPを考えればRocket Lakeの方が合致すると言えるだろう。
そのRocket Lakeと比較すると、おそらく、CPU性能では良い勝負をするだろうが、GPU性能ではもはやIntelには叶わなくなった…そんな状況と言える。
Intelの内蔵GPUは、Xeアーキテクチャへ移行してからというもの、その性能は驚く程向上した。一方、AMDはディスクリートGPUはVegaアーキテクチャからRDNA2アーキテクチャへと更新されているものの、APUでは未だRDNAアーキテクチャにすらなっていない。
現状、AMDのAPUが有利なのは、7nmプロセスで製造されている事の消費電力の少なさであり、CPU性能はIntel第11世代と同等なので、消費電力さえ気にしないなら、Intel第11世代のCPUを選択する方が性能的には有利になると言える。
もっとも、ディスクリートGPUが前提であれば、Ryzen 5000シリーズが対象となるので、PCIe 4.0対応も含めて、Intelとの比較はまた違ったものになる。
一般市場に出回るか?
今回発表のあったRyzen 5000Gシリーズは、おそらく小型PCを自作したい人に対しての需要は相当あると考えられる。
ただ、問題なのは自作PCにおける需要というものが、全体の製品における比率で言うと、そう大きなものではない、というのがネックになる。
前回のRyzen 4000Gシリーズも、本来はOEM Onlyだったわけだが、日本AMDが手を回して日本市場にバルク状態で流通した、という経緯がある。
今回も、本家のAMDはOEM Onlyとしているので、通常の流れであればDIY市場にRyzen 5000Gシリーズは流れる事はないが、日本AMDが前回同様の流通を実現してくれれば、ひょっとしたら流れるかも知れない…という淡い期待はある。
ただ、今現在は半導体業界すべてにおいて品不足が続いているため、DIY市場にどうあっても流れてくる事はないだろう。可能性としては今年秋以降にありうるか? というレベルではないかと予想する。
まずは製品は発表、発売された。
今後、それが自由の利く自作市場に登場するかは、別の力が働かない事には実現しない、という事である。
日本AMDにはもう一度がんばってもらいたいところである。