ついにここまで来たかという感じ。
IronWolf Proの最高容量更新
Seagateから、近日発売予定として、容量20TBのHDD「ST20000NE000」が、アキバ店舗で予約が開始となった。今までは2020年10月に登場した18TBが上限だったが、それを上回る20TBが約1年2ヶ月の期間を経て登場という事になる。
価格は72,800円とされており、容量単価として1TB3,640円と、多少高めなのは致し方ない所。
ブランド名である「IronWolf Pro」は、クリエイティブプロ、中~大規模企業向けのNAS用HDDという立ち位置で、「IronWolf」よりMTBF(Mean Time Between Failure=平均故障間隔)が120万時間と長く設定されており、長期5年間保証が付属する。
また、無料のデータ復旧サービス「Rescue Data Recovery Services」も付属しているので、データの保全という意味であれば、むしろこの価格は安いと言えるかも知れない。
また、エンタープライズ向けHDD「Exos X20」の20TBモデルも同時に発表されており、両モデルともデータ記録方式はCMR(Conventional Magnetic Recording)となっている。
ではCMR以外の記録方式には何があるかというと、SMR(Shingled Magnetic Recording)という方式があり、違いがわかりづらいところがある。
詳しく知りたい方は、比較的簡単に説明されている以下を参照すると良いだろう。
mogalabo
https://mogalabo.com/smr_cmr/
大容量モデルは高速アクセス
「ST20000NE000」の主なスペックだが、インターフェースはSATA 6Gb/s、キャッシュ容量は256MB、回転速度は7,200rpm、最大連続データ転送速度が285MB/s、平均消費電力がアイドル時5.5W、動作時7.7Wとなっている。
コレ、同じSeagateの4TB「ST4000DM004」と比較するとどうなるかというと、インターフェースはSATA 6Gb/s、キャッシュ容量は256MB、回転速度は5,400rpm、最大連続データ転送速度が190MB/s、平均消費電力がアイドル時3.4W、動作時5.3Wとなる。
「ST20000NE000」の方が転送速度で1.5倍ほどになっている。HDDで1.5倍というのは、なかなかな速度と言える。
HDDは大容量モデルであればあるほど、体感的に速度が高速化するのだが、それは封入されているディスク枚数が多くなればそれだけ同時記録する数が増えるからである。
おそらく「ST20000NE000」は2TBプラッタのディスク10枚で構成されるHDDになるだろうと思われるので、同じ記録データ量なら4TBの「ST4000DM004」より同条件で5倍ほど高速に記録する。ただ、理論値で全てが決まるわけではないので、数値的には前述の違い程度になるのかもしれない。
どちらにしても、高速アクセス、長時間駆動などいろいろなメリットはあるものの、保証が大きく謳われているのは、緻密大容量化すればするほど、データ損失があったときの被害が大きくなるからと言える。
SSD化が進むコンシューマ
最近のPCはひょっとしたらHDDをあまり搭載しない方向に進んでいるのかも知れない。
ショップブランドPCなども、SSD搭載モデルが当たり前だし、データ用としてHDDを載せているPCはあるものの、価格を安く抑える意味でメインドライブとしてSSDのみ搭載したモデルが圧倒的に多いのではないかと思う。
そう考えるとHDDは今後業務用というものが圧倒的に多くなり、コンシューマ系はSSDのみになる可能性もありうる。
最近、各種サービスのクラウド化も進んでいて、あえてクライアントPCに大容量記録装置が必要ない、というケースも多く鳴ってきている。動画など、昔はクライアントPCがそれぞれにダウンロードしてデータを保持していたものだが、最近ではストリーミング配信サービスが当たり前になり、あえてクライアント側に大きな容量を必要とするシーンが少なくなっている。
現在、業務用では、圧倒的大容量が必要な保存データにはテープストリーマが使われているが、今後はHDDに置き換わる…なんて時代がくるかもしれない。…いや、そんなに簡単にくるわけはないのだが。
ただ、コンシューマ系はSSDが大容量化すればするほど、そちらが生き残っていくハズなので、HDDそのものをあまり見ない時代がやってくるのかもしれない。