空冷クーラーの名機「虎徹」シリーズの三代目が発売されたが…。
シミラボで酷評
空冷クーラーで比較的安価で高性能と言われた「虎徹」シリーズだが、ついに三代目となる「虎徹 MARK3」が発売された。
価格は3,980円と安いが、もともと「虎徹 MARK2 Rev.B」はとても評判も良かった製品なのだが、その後DEEPCOOLから発売された「AK400」がとても良い出来と評判になり、次第に「虎徹」と比較されるようになった事で、「虎徹 MARK3」の登場が待たれていた。
「AK400」はヒートパイプのダイレクトタッチというあまり評判のよい手法ではない製品なのだが、これが想像以上に冷える製品で、価格も4,000円前後と人気になる要素満載の製品だった。
どちらもサイドフロー型クーラーかつ比較的厚みの薄いフィンの製品にファンを1つ組み合わせた製品なので、CPUのハイエンド製品では冷却能力はちょっと足りないところはあるが、ミドルレンジならコレで十分冷えると言われているものである。
正直、私も今年自作したPCで最初はAK400にしようかと考えたが、Ryzen7 7700Xはそれなりの熱を発するので、AK620にしたと言う経緯がある。もし最初からRyzen7 7700をターゲットにしていたなら、AK400を使っていたかもしれない。
その新型の「虎徹 MARK3」だが、液体窒素おじさんと名高い清水貴裕氏のレビューで、これでもかというぐらいの酷評を受けた。
冷却能力の進化のなさ、作りが雑なところ、付属品の安っぽさ、精度の低さ、等々、その言われようは酷いものである。
コレ、サイズ(メーカー)の人からすると、営業妨害だとか言い出しそうな感じすらするが、消費者の視点に立ったレビューとして、ここまで言えるというのはとても凄い事ではないかと思う。仮にも同業に分類される仕事をしている人のレビューと考えれば、まさに忖度無しである。
だが、良い製品を世に送り出すという視点で考えれば、このレビューは正しい方向を向いていると私は思う。
マーケットインの精神
だが、これがマーケットインを意識した製品作りをしなければならないという話。
顧客が何を望んでいて、それを実現する為にどこまでやるのか? という視点で製品開発をしないと、良いモノなど生まれないのである。
今回の「虎徹 MARK3」は、限りなくプロダクトアウト、つまり製造側が作りたいモノを作った、という結果であり、そこにユーザー視点の要望が強く出ていないものという印象がある。
もちろん、ユーザーからの要望はある程度は受け入れているだろうとは思う。
だが、コストを意識するあまり、顧客の要望に応える事ができない、と切り捨てた部分が致命的だったのではないかと考えられる。
こうした、顧客の要望に対してコストが見合わないという時は、ライバル製品がなぜそのコストでその製品を実現可能にしたのか? という視点で考えないと、ライバルに勝つことなど出来はしない。
少なくとも「AK400」はあの品質で低コストを実現している。それを上回る事はできなくても、まずそこに近づく事ができなければ、同じ土俵では戦えない。
もし、コストが見合わないとなるなら付加価値をどこに求めるか? という事が重要になる。
残念だが、今回の「虎徹 MARK3」ではそのあたりがまるで見られない。価格的に頑張っているとは思うが、これでは王者に返り咲くことはできないだろう。
Noctuaが高いワケ
空冷クーラーで高級路線を貫いているNoctuaは、そもそも価格レンジが全く異なる製品になっている。
…いや、最近はそうでもないかもしれないが、Noctuaと聞くとほとんどの人は価格は高いがモノは良い、と考える。
実際、静音ファンの良さやその冷却性能において、他社より優れている事が多く、それなら価格的に仕方が無い、と考える人も多いだろう。
Noctuaは、おそらく初期はマーケットインで開発していたのではなく、プロダクトアウトで製品を発売していると思われる。人々に「とても良いモノを作ったので価格は高いです。でもモノは良いんです」と売り込んだのではなかろうか?
売り方としてプロダクトアウトが悪いワケではなく、プロダクトアウトでも人々に何かを訴求できれば、その製品が受け入れられる事は多い。問題は、訴求した内容が受け入れられるかどうか、である。
残念だが「虎徹 MARK3」はプロダクトアウトっぽい感じがするが、この内容では消費者は受け入れる事はないだろう。
というわけで、虎徹 MARK3はとても残念な製品と今の所は言わざるを得ない。
ひょっとしたらRev.Bになって改善されるかもしれない。
あくまでも現段階の話だが、私ならAK400を強くお薦めしたい。
結局液体窒素おじさんが言うてるからって話や
ん。何だそれw。
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たしかにそうですね。
でもたしかにそれに共感した、という事です。
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