価格、同じ設定だったのね…。
キャッシュ増量で価格は同じ
先日、当BlogでもRyzen 7000X3Dの記事を書いたが、この時、私は一つの事を見落としていた。
それは最上位のRyzen9 7950X3Dの価格は、実はRyzen9 7950Xと同価格の699ドルだという事である。つまり、価格差がないわけで、どう考えてもRyzen9 7950X3Dはお買い得だと言わざるを得ないのである。
この価格で発表されたという事は、恐らくだが既存のRyzen 7000シリーズの価格改定があるのかもしれない。既存のXシリーズは価格が下げられる可能性がある。
もともと、売れ行きはあまり良くないという話だったし、ここでXシリーズの価格を下げればX3Dとの差はもう少し大きくなり、コストパフォーマンスのバランスが取れるようになるのかもしれない。
まだ日本国内の価格が発表されていないので、実際の購入価格がどの程度になるのかは判らないが、リーク情報だとRyzen9 7950X3Dは10万円を切り、9万円後半で販売されるのではないか、という話もあるようだ。
実際には発売されてみないとわからないが、そうなると今回のRyzen 7000X3Dの中では、7950X3Dがもっともお買い得な製品になる可能性がある。
TDPが下がったが…
今回のRyzen 7000X3Dシリーズは、3モデル全てがTDP 120Wと設定され、Ryzen7 7800X3Dのみ7700Xの105Wより上昇、他2モデルは逆にTDPが低下という状態で発売される。
Ryzen7 7700Xを使用して1ヶ月経つが、マザーボードの設定で、TDP、PPT、ピーク電流や接続電流など、概ねメーカーの標準値よりも低く設定して運用している。
TDPに至っては75Wと設定していて、PPTも100Wとして運用している。
実際には、TDPは105W、PPTは142Wなのでかなり下げた設定で運用しているが、そこから発揮される性能に関しては、実はほとんど標準から低下していない。
逆にFF14ベンチでいうなら、スコアは数百程度高い結果が出ている。
これを考えると、TDPが下げられている状況でも性能低下はほとんど考えなくても良いのではないかと思える。
たしかに3D V-Cacheが積層される事で、ホットスポットに熱が集中、より発熱が大きくなるのはわかるのだが、その冷却を有利にする意味でも、TDPやPPTなどは低めに設定して運用するのが良いように思う。
Thread Director
今回、Ryzen9 7950X3DやRyzen9 7900X3Dは、その搭載するCCDのウチ、片方のCCDにのみ3D V-Cacheを実装する。
そのため、3D V-Cacheが搭載されていない側のCCDで処理されているプログラムは、残念ながら増量したCacheメモリを使用する事ができない。
プログラムはその用途や性質によって、使用するCCDを上手く切り分けないと、想定している性能がでない事になる。
つまり、Intelで言う所のPコアとEコアのどちらでその命令を処理するのかをコントロールしなければならないのと同じである。
そのため、AMDはMicrosoftと協業して、Thread Directorのような対応を進めている、という話があるのだが、ホントにこれができないとTDPが下げられたりしている関係から逆に性能が低下する事になる。
この辺りの仕様の話が全く出てきていないのが、とても気になる。
Intelは、ハイブリッド構成にする時に、早い段階からIntel Thread Directorの話を出していた。何故なら、その仕組みがないと第12世代コアは性能が伸びないからだ。
Ryzen 7000X3Dシリーズも、本来ならその仕組みがちゃんと働かないと性能が伸びないのだから、この手の情報は早い段階から出しておくべきと思うが…。
それにしても、価格的に据え置きでキャッシュ増量とは、他メーカーだったらやらない事をよく発表したものである。
正直、第13世代のIntelコアよりもRyzen 7000シリーズの方が使っていて省電力的に安心できるところがあり、今回のメインPC更新は結果的によかったと思っている。
マザーボードやメモリなど、比較的良い品質のパーツを選んだので、できれば7950X3Dとか載せてみたいと思うのだが…ま、その場合でも水冷クーラーは使わないと思う。
今月末発売なので、早々にテクニカルレビューが出てきてくれる事を祈りたい。