いよいよ発売日が発表されたが、本命は4月らしい。
3D V-Cacheでメモリ増量
AMDのRyzen 7000シリーズに、新たな製品が追加される。
3D V-Cacheで、キャッシュメモリを増量させたモデルで、今の所7950X3D、7900X3D、7800X3Dの3モデルが予定されている。
発売日は7950X3Dと7900X3Dが2月28日、7800X3Dのみ4月6日となる。
米国価格も発表されていて、7950X3Dは699ドル、7900X3Dは599ドル、7800X3Dは449ドルと、思っていたよりも安めな感じで50ドル差程度に収まって登場する事に多少違和感を感じるのは私だけだろうか?
これらX3Dモデルは、全てのTDPが120Wとされ、基本的にオーバークロックはできないとされている。但し、どうやらメモリとInfinity Fabricのオーバークロックは解禁されているという。これは5000シリーズのX3Dも同様なので、驚く事ではないかもしれないが、7000シリーズではPrecision Boost OverdriveとCruve Optimizerを使用することが出来るというから、少なくない調整が可能な状態で発売されるようである。
Ryzen 7000シリーズは、電圧を絞ったりする事で性能を引き上げる事ができる(発熱をおさえてクロック上昇を促すため)ので、そうした事が多少なりできるようになっていると、実に面白いCPUになる可能性がある。
最適化が必要?
今回の3D V-Cacheを搭載したX3Dモデルの増量されたキャッシュメモリは、残念ながらそれぞれのモデルで倍増しているわけではない。
というのも、3D V-Cacheによってキャッシュメモリを階層化しているのは、CCDの1つ分のみという事で、7950X3Dと7900X3Dは片方のCCDのみに3D V-Cacheでキャッシュが増量された形になる。
これによって問題となるのは、使用するCCDによって、キャッシュメモリ量が変わるという事。つまり、動作させるプログラムによって、キャッシュメモリの効果が大きいプログラムを3D V-Cacheが存在するCCD側のCPUで動作させないと効果が薄い、という事になる。
Intelでも、Pコアで処理すべきか、Eコアで処理すべきか、というところでパフォーマンスが変わる可能性があるところ、それをIntel Thread Directorというプログラムで割り当てるタスクを選別し、より効果的に働くようOSと協調するよう作られているが、それと同じような事をAMDでもやらないといけないという事である。
実際、AMDではMicrosoftとその辺りの話し合いはしていたようで、実際には何かしらの対策が採られるものと思われるが、現時点ではその話は出てきていないようである。
ちなみに7800X3DはCCDが1つしか存在しないのでこの話とは無縁である。
気になるそのパフォーマンス
正直…7700XでPCを構成した私からすると、悩ましい話である。
載せ替えるだけのパフォーマンスが得られるのかどうか、が全てだが、今の所、載せ替える必要はないとも思っている。
7800X3Dは間違いなく高発熱のCPUになる。CPUにキャッシュメモリを多層化して載せているのだから、ホットスポットに今より熱が入るという構造が予想される。そうなれば、より冷却能力の高い環境が必要なので、現在空冷CPUクーラーを使用している私からすると、X3D系コアを動作させるのは厳しいのではないか? と予想する。
が、前述したように、7000シリーズのX3D系コアはPrecision Boost OverdriveとCruve Optimizerを使用することが出来るので、これで電圧を下げ、発熱を抑えて運用する事ができるため、TDPを120Wから引き下げ、TDP88W辺りで運用すると、能力は高めのまま運用が可能になるかもしれない。
この辺りは、実際に製品が出回って、各所からレビューが出てこないと何とも言えないが、もしそれで大幅なパフォーマンスアップが期待できるなら、載せ替え…なんて事を考えてもよいのかもしれない。
といっても、おそらく国内では6万円近くにはなるんだろうなと思うと、そう易々とは買い替える事はできないのが、今の私の財政状況である。
特定の環境下の運用でしか性能を発揮できない可能性が高いので、これは見送りになるかな?