Intel製CPUで発生しているVRAM不足エラーの原因はCPUにある?
高クロックだからこその問題
Intelの第13世代および第14世代のハイエンドCPUで高負荷時にVRAMエラーが発生する不具合が報告されているらしい。
主となる製品はCore i9 13900KSやCore i9 14900KSといった、最上級高クロックモデルが中心だったが、最近ではCore i7でも発生しているようで、単に高クロックモデルだから発生する、といった問題ではない様子。
具体的には、対象CPUを使用してUnreal Engine 4/5採用のゲームなどをプレイしている時に、シェーダーコンパイルなどのCPU負荷の高い処理を実行すると「VRAM不足エラー」が発生し、クラッシュするようだ。
VRAMのエラーという事でこのエラーが発生した時、ほとんどの場合グラフィックボードに何かしら問題が発生した、と思いがちだが、いろいろ調べて行くとどうもCPUに起因する問題であるらしい事が判明したようだ。
この不具合に関しては、以前から指摘されていたようだが、今年2月になってIntelから問題に関する報告を分析中であるコメントが出されていて、現在解決に向けて取り組んでいるようだ。
It seems these issues can also affect non-i9 13th/14th gen Intel CPUs, as evidenced by this Reddit user who was able to fix his crashing issues related to shader compilation in a UE5 game (Ark Survival Ascended) on his i7-13700KF+4080 system by enforcing Intel spec power limits: pic.twitter.com/hzdtYj6nU1
— Sebastian Castellanos (@Sebasti66855537) April 8, 2024
不安定な症状
今回のこの問題、動作クロックを引き下げて利用するアンダークロックという方法を使用すると一時的に解消した、という話もあり、シビアな調節の上で無理な高クロックを実現している事か問題の一因ではないか、とも考えられるが、厄介なのはCPUを使用開始してから数ヶ月後にこの問題が発生し始める事もあり、内部に何かしら損傷の蓄積が起きているのではないかと、いう事も考えられる。
この手の問題として思い出されるのは、昨年春にAMDでも3D V-Cacheを搭載した製品においてメモリオーバークロックを行うとコアが焼損した、という問題が出たことがある。
この時は問題が発生しない対応BIOSを適用させる事で解決したが、昨今のCPUやGPUでは、その性能を引き出すためにかなりリスキーなクロックアップをメーカー自身が実施している事もある。
Intelで発生した事がAMDで発生しないとも言えない事なので、利用する側はあまり極端なオーバークロックには十分気をつけた方がよいだろう。
省電力運用
私はRyzen7 7700Xを利用したあたりから、定格電力よりも低い電力で動作させるという事をしている。
Ryzen7 7800X3Dに変えた今は定格出力で動作させているのだが、Ryzen7 7700Xは今よりも高クロックで動作していたので、省電力設定にしていた。
これには理由があり、AMDはGPUも含めて若干省電力気味で動作させても、低下する性能は微々たるものという傾向があるからだ。
しかも、使用電力を低くする事で、逆に温度が下がることでクロック上昇幅を大きく取れるようになり、高パフォーマンスになるなんてケースもあった。
このような電力との兼ね合いで決まる性能は、時には使用電力を低くして熱を抑える事で性能を引き出すという事もありうる事なので、運用上困るような性能にならないのであれば、省電力設定で運用するのが好ましいと思っている。
実際、省電力設定にしたところで、性能下落で困るなんて事にはまず出会わないと思う。
TDP 105Wを95W運用したところで、落ちる性能は数%といったところで、105Wを65Wにしたとしても、9割くらいの性能は出たりもする。
もちろん、定格出力より低いので、どこでどれだけの性能が落ちるかはケースバイケースだが、今まで困るほどの性能低下には出会った事はない。
省電力運用はIntelコアでもAMDコアでもUEFI/BIOSの設定次第で可能なハズなので、一度試す事をお薦めしたい。
昨今ではCPUでも100Wを超える電力を使用したりするので、こうした焼けてしまう問題も起きないとは言えない状況と言える。
ホントにCPUでお湯を沸かせる時代がやってきたんだな…。