普段は意識しないビデオカード2枚挿し。
帯域を考える
NVIDIAではSLI、AMDではCrossFireと言われる、ビデオカードのマルチ化技術。お金を湯水の如く使える人は別としても、ビデオカードをシングルで使っている人からすると憧れでもあり、また普段意識する事のないマルチビデオカードだが、以前のBlog記事にも書いたとおり、何故か今私の手元にGeForce GTX 970のショート基盤が2枚ある。1枚は現時点で使用しているが、全く同じ製品の手付かずのものがもう1枚あるのである。
売却してしまえばそれまでなのだが、折角あるのだから使わない手はない…のだが、使うには予算がかかるという問題があるため、今だ何ら手を打つことなく、私の手元にある。
もしこの余っているGTX 970を使うとした場合、もっとも予算をかけずにSLIを可能にする方法は、私の環境の中でマザーボードを交換する、という方法である。
ところが、このマザーボードを交換するにしても、もっともマルチビデオカードを有効に使う為には、厳選したマザーボードでなければならないという事情がある。それは、ビデオカードとマザーボードの情報をやり取りする通信帯域に起因する問題があるからである。
この通信帯域は、広ければ広いほど情報を沢山やり取りできるため、処理した映像を素早く表示できる。つまり、ビデオカードのパフォーマンスが最大限活かされる、という事であり、帯域が狭くなればなるほど、ビデオカードを活かしきれなくなる。
そもそも、現在のビデオカードはPCI Expressという端子で接続されるが、そのPCI Expressにも帯域というものがあり、それを表す言葉としてx16とかx8とかx1とか仕様がある。
ビデオカードは大凡x16で接続するが、問題はココから。
接続がx16のスロットを使っているからと言って、確実にx16の帯域で通信しているとは限らないのである。
この通信帯域を決めるのはマザーボード側の設定であり、このマザーボードがx16の通信を許可しない限り、ビデオカードがどんなにx16で通信しようとしてもマザーボードが受け入れない。
通常、ビデオカードをシングルで使用する限りにおいては、規定のスロット(だいたいはPCI Express x16の1番スロット)に挿せばx16で利用出来る。
ところがマルチビデオカードの場合は、2枚目以降のビデオカードを挿すスロットが、形はx16のスロットだったとしても、通信帯域としてx16で通信しているとは限らない。ココはまさしくマザーボードの仕様によるところが大きいのである。
x16を2スロット持つという難しさ
もともと、このPCI Expressという仕様は、チップセット内で総数が決まっている。
例えば総数が40だった場合、x16スロットを1つ使うと残りが24、x8スロットをさらに2スロット追加すると残りが8…となる。つまり、総数40を各スロットや接続端子に割り振って、総数40になるように設計されている。逆に言うと総数40というのがチップセットの性能限界、という事である。
PCI Expressはスロットだけで使用しているわけではないので、総数40を全てのスロットで使うという事は考えにくく、たとえばSATAなどもこの規格で接続されているから、総数40で全てを賄っているマザーボードだとx16スロットを全開のx16通信として2スロット用意しているマザーボードはまずない、と言える。
だから、ほとんどのマザーボードでは、マルチビデオカードを可能にするためにx16スロットを3、4スロット持っていたとしても、マルチビデオカード時はx8通信になります、というような注記をしているケースが多い。これは単純にPCI Expressの帯域総数の関係から、x16通信を2スロット分確保できないからである。
では、逆にそうしたx16通信を2スロット可能にしているマザーボードが存在しているのか? という事だが、実は存在している。
それは元々のPCI Expressをコントロールするチップを複数持つマザーボードである。
こうしたマザーボードは一部の高級マザーボードに存在していて、最初からマルチビデオカードを前提に設計されたものである。
そうしたマザーボードはx8で4スロットを持つようなものもあり、4wayによるマルチビデオカードなどが可能になっていたりする。当然だが、コノ手のマザーボードはx16で2スロットも可能であるため、ビデオカードの性能を完全に引き出したいと考えるなら、そうした帯域を確保できるマザーボードを使用するというのが最適解になる。
現行品は高い!
このように、マルチビデオカードと言っても、帯域を考えた上でパフォーマンスまでを求めるとなると、それなりのマザーボードを用意しないと性能を完全発揮する事ができない。
だが往々にしてコノ手のマザーボードは高いのがネックだ。しかも最近のPCパーツはどんどんと高級化していて、価格も以前から比べるととんでもなく高くなっている。
最新のSkylake-Sに対応するZ170シリーズのマザーボードで、PCI Expressの帯域を完全に確保できるものとなると、その価格は…なんと7万円とかそんな価格になってしまう。
昔の高級マザーボードなら5万円前後だったものが、今ではこの価格であり、さらに昔なら3万円台のマザーボードでも高級マザーボードと言えた時代もあったのに…である。
今という時代はとんでもない時代になったな、と思ったりするわけだが、それでは思うだけで何の解決にもならないため、私が最小限の投資で完全帯域を確保できる2wayのSLIを可能とするマザーボードを探す必要がある。
となると、CPUソケットがIntelのLGA1150のマザーボードで、かつ先程の条件という事になる。
それで探してみると…よさげなのはGIGABYTEの“GA-Z97X-GAMING G1”か“GA-Z97X-GAMING GT”になる。前者が4万円弱で後者が3万円強、といった所である。
…これでも十分高いのだが、既にZ97チップセットのマザーボードの在庫が少ないため、選択肢が狭まっているという事と、前述の条件を満たすとなるとこの二者択一になるのである。
しかしこの2つのマザーボードのどちらを選んだとしても、一つ問題が残る。それはPCI Expressスロットの内、前述の用途で使用した場合、残るスロットはx1しか使えない、という事である。
x16スロットが4本あるのだが、この内の1番と2番のみx16で利用可能なのだが、これに追加で3番もしくは4番のスロットを利用すると、1番と2番もx8モードで動作してしまうのである。
私はUSB3.0の拡張カードをビデオキャプチャユニットを使う目的で使用しているが、コイツがx4ボードであり、前述の使い方だとこのボードが利用不可能になってしまうのである。
まぁ、USB3.0に関しては、そもそもZ97チップセットでポート数が増えており、マザーボード単体で今の環境より安定かつ高速に利用可能であるから、大きな問題にはならないと思うが、x4ボードが1枚使われなくなるのはちょっともったいないかな、といった所である。
さて…購入するか?
だが、ここまで調べてもまだ迷いはある。
3万円強の投資自体もそうだが、この投資以外にATX用のPCケースも必要になる。今使っているケースがmicroATX用だからである。
ケースも1万円くらいは覚悟しなければならないため、どう見積もっても4.5万円くらいはかかるのかな? という試算になる。
そうなると…購入すべきか非常に悩むわけである。
ここからは完全に私の財布の中の話であり、実情との相談になるわけだが…。
SLIはいろんな意味でハードルが高いな、と言わざるを得ない。
にしても、余っているGTX 970ももったいないしなぁ…。
ジレンマですねぇw
正直シングルでも十分な性能だから、マザーボードの買い換え時期のタイミングじゃないなら一枚売ってしまうのが一番無難な感じですかね?
他にも金が必要なわけだしw
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今日の記事にも書いたが、大いなる勘違いが発覚。
もうね…予算足りない現実が押し寄せてきた orz
売却が一番現実的なのかもしれないなぁ…
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