世界樹の迷宮というNDSソフトがある。
ゲーム好きなら名前は聞いたことがあるだろうし、その面白さも知っている人も多いと思う。
ただ、万人向けかと聞かれると答えに窮する。
この世界樹の迷宮シリーズは、そのシナリオテキストがかなり挑戦的な言い回しになっている。もちろんそれにも理由がある。
そうした言い回しが気に入らないという人もいれば、全体的な古めかしさを嫌う人もいる。
だが、逆にそうしたテイストを絶賛する人もいる。
世界樹の迷宮シリーズとは、理由はどうあれ、非常にピーキーな特性を持つゲームと言えるだろう。
私はといえば多分好みの部類に入る。
多分…と言ったのは、前作をやっていないからだ。
前作を購入しようと思ったのだが、予算的および時間的な都合から購入に踏み切る事はなかった。
今から買ってもいいのだが、ちょうど2月11日に続編が出るという事でその続編を待ちかまえることにした。
だが…
私の想像以上に人気作のようで、初回版がどこを見てもほぼ予約で埋まっている状態。
唯一、まだ予約を開始していないAmazonがメール対応をしているというので、とりあえずそれに登録はしたが、おそらく転売屋に枠を採られてしまうのではないかと予測する。
前述したシナリオテキストがかなり挑戦的な言い回しになっている理由はただ一つ。
それは古き良き時代にブレイクした文庫本で遊べるというゲームブックの言い回しにしているからだ。
当時のゲームブックはほとんどが翻訳モノだった。
訳者は飛び切りゲームファンという事もなかったのだろう、淡々とその文章を翻訳し、文体が非常に素っ気ないものになってしまっていた。
だからそうした文体になじみのある人にとっては、世界樹の迷宮はその時代を彷彿させるゲームであり、そこに魅力を感じている人も少なくない。
また、ゲームを支えるサウンドを古代祐三氏が担当しているところも外せない。
古代祐三という名前を聞いてピンときた人は1987年ごろのゲームに詳しい人だろうと思う。
この年、ゲーム史における名作が生まれている。
その名はイース。
当時、難しさがゲームの魅力という常識を簡単に覆した作品である。
そしてその音楽を担当したのが古代祐三氏であり、当時まだ18歳ぐらいだったそうだ。
イースから奏でられる音楽は、FM音源という今の音楽から比べると遥かにチープな音でありながら、そこに確固たるメロディとリズムが刻み込まれた名曲だった。
古代祐三氏はイースの他にもXanadu Scenario2の曲やロマンシア、ソーサリアンなど、多くのファルコム作品の音楽を担当しているが、どれも名曲ぞろいで、おそらく今の現役ゲームクリエイターがプレイしてきたゲームの曲は、そのほとんどが古代祐三音楽の流れを組んでいると言っても過言ではない。
世界樹の迷宮シリーズは、まさにその頃の音楽を模倣している。
NDSは頑張ればオーケストラのサンプリング音楽を使うこともできるが、あえてチープにFM音源調の音色にしているのは、このためだ。
ゲームの中身に関しては今更言うまでもない。
世間では現代のウィザードリィとか言われてるみたいだが、そうしたテイストになっている時点でユーザーを選ぶ。
しかし、このテイストこそゲームの面白さの根源であり、現代ゲームに足りていない要素だと私は思っている。
世界樹の迷宮シリーズが人気作なのは、多分そうした背景がミックスした結果ではないだろうか?
とりあえず世界樹の迷宮シリーズを知らない人は今回発売される続編からでも入ってみてはどうだろう?
蘊蓄(うんちく)がどうこうというより、まず感じてみるところから知っていくのも悪くない。
多分、感性が刺激される事、間違いない。
世界樹の迷宮Ⅱ 公式サイト
http://s2.atlusnet.jp/