ゲームミュージックというものが普通の音楽と肩を並べ始めたのは、多分1980年代の中頃だと思う。
特にその最先端にいたのがファルコム(当時は日本ファルコム)だと思う。
このファルコムの音楽が爆発的に人気を得たのは、当時別名YK-2の名でも知られていた古代祐三氏が楽曲を手がけてからだと思う。
ザナドゥシナリオⅡの音楽の中には、古代祐三氏がファルコムにアルバイトとして入社する際に持ち込んだサンプル曲も含まれているという話も有名であるが、当時のゲームミュージックの中で古代祐三氏の音楽性は一定のベクトルを示し、そしてその波はとても大きかった。
周辺事情を考えても、ファルコムの音楽は頭一つ、いや二つは抜きん出ていたと思うし、その状況の中からドラゴンクエストというものが登場し、ファミコン音源でありながら、その実、楽曲はオーケストラへの展開も見せ、ゲームミュージックは一元性では語れなくなってきた。
そして今では普通にCD音源と同じモノが使われるようになったゲームの世界だが、それだけに普通の音楽の中に埋もれる事が多くなってきた。
音楽という同じ土俵の上で展開されるゲームミュージックは特にNHKの番組にはゲームミュージックがBGMとして使用される事が多く、また民放でもその傾向が今以て存在している。
おそらく、一般の人が耳にしたとき、これ聞いた事がある、なんて事も多々あるだろう。
その、代表的な役割を担ってきたファルコムの音楽が、ライセンスフリーへと動き出した。
ファルコム音楽フリー宣言
http://www.falcom.co.jp/music_use/
音楽というのは、いろんなイベントなどで使われる事が多いが、それらは通常“音楽使用料”というものを支払わなければならない。
もちろん、その音楽をどの団体が管理しているかで、その使用料の支払う先が変わるのだが、これら音楽の楽曲管理をしている最も有名な団体がJASRAC-日本音楽著作権協会-である。
私も何度か行ったことがあるところだが、まぁ実にお役所的なところで、楽曲管理料だけで維持されている巨大施設である。
今回、フリー宣言されたファルコムの楽曲は、このJASRACの管理ではなく、ファルコム自社の管理。
そのファルコム管理の権利を、ファルコム自身がフリー化するという事で、今後商用として販売しないかぎり、利用がフリーとなる。
但し、利用するにはちゃんと楽曲利用規約に則る必要がある。
コピーライトの表記などが必要な場合もあるため、そのあたりには注意してもらいたいが、ネット配信に使われても問題がないという一文がある辺り、その利用の幅はかなり広いものと思われる。
その昔、楽曲の利用に権利料を発生させ、それ故に著作権保護機能なるものがシリコンメディアなどに付加され、ミュージックプレイヤーなどの互換性に大きな影を落とした事がある。
その中にあり、Appleは楽曲フリーを謳い、Apple Storeでいち早くフリーな楽曲を展開した。
そのApple Storeが最も普及したという事実がある以上、こうした楽曲のフリー化はあらゆるところで必要なもの、という姿に変わっていくのではないかと思う。
そして、おそらくは今後それは音楽の世界に留まらない。
映像の世界の話になるのに、そう時間はかからないような気がしてならない。そう考えると、出版の分野がもっとも遅れているのかも知れない。
ネットの世界は常識をどんどんと変えていく。
今、ダビング10というデジタル放送のコピー制限が設けられているが、今後それらが形を変えていくこともあり得る話だ。
ファルコム音楽フリー宣言。
これは著作権というものを見直す大きな一歩になるかもしれない。